新潟県は、食物アレルギーのレベルが低いと言い続けています。
アレルギー検査が陽性だと、その食品は食べてはいけないと信じられています。これは患者さん、園や学校の先生、医師さえもです。
本日、小学校、中学校、高校の養護教諭の先生に子どものアレルギーの話をさせて頂きますが、この年代になると食物アレルギーの頻度は激減します。では現場では困っていないかというと、甲殻類や魚類、ナッツ類などでアナフィラキシーを起こしてしまうような子ども達もおりますし、学校で重症な症状を起こせば、学校の先生が必要があればエピペン注射を打たなければなりません。
食物アレルギーは、中には親御さんの心配や思い込みで食べられるのに除去を求められるケースもあることでしょう。ですから、本物の食物アレルギーの他に、“過剰”に対応している部分もあると思っています。
一方、問題にしたいのはぜんそくやアトピー性皮膚炎が治っていないのに、治っていると思っているケースが意外とあることです。これは逆に“過小”に評価されています。
先日、ある小学生のお子さんがヒューヒューするということで当院を受診されました。全国的にも有名な長岡まつりの大花火大会を比較的至近距離で見たのはいいのですが、周囲に漂う煙を吸ってしまい、ぜんそく発作を起こしてしまったのです。
このお子さんは、以前他院でぜんそくの治療を受けており、治ったという判断のもと医師の指示で治療を中止していたそうです。それが、家族も一緒に見ていた花火大会で呼吸困難に陥ってしまったのです。これは「ぜんそくがまだ治っていない」ことを意味しています。厳しい見方をすれば、ぜんそくの治療を中止して良かったのか?という疑問も残ります。ただ、症状があまりにも落ち着いていれば、止めても悪くはないと思います。いずれにしても、治っていないからこそ、発作が起きてしまいました。
中には、煙が刺激で発作が起きた場合、じきに発作が治まってしまうことも多いと思うので、翌日病院を受診しない方も結構いると思うのです。その場合は、治っていないぜんそくを更に放置してしまうことになります。あるいは専門でない先生のところを受診して数日の内服で「また具合が悪くなれば来なさい」なんて言われてしまったかもしれません。
この患者さんは、心配だったのでしょう、キチンと当院を受診して下さいました。私の場合、ぜんそく発作が「たまたま起きた」のか「起こすべくして起こった」のを区別する必要があります。実は、親御さんも把握していませんでしたが、運動すると苦しくなると言うことが見られていたそうです。運動誘発ぜんそくです。
結局、ぜんそくが治っていないのを、親御さんも、そして本人も知らなかったのです。ただ、ある意味発作を起こしてしまって、良かったと言えるかもしれません。
全くの「知らぬが仏」だったら、大人になってもぜんそく発作を繰り返していたことでしょう。まだぜんそくが治っていないので、治療をするチャンスを与えられたと言えると思うのです。プラス思考で治療に取り組んで頂きたいと思っています。
これは専門医しか行っていませんが、「呼吸機能検査」を行いましたが、かなり悪く、花火の煙の影響の大きさを物語っていました。その辺りから、「この子はぜんそくが治っていない」と判断して、更に運動誘発ぜんそくを疑い、いろいろとぜんそくの状況を聞き出すことができました。専門医にかかって良かったと思うし、私も見逃さずにホッとしています。
最近、他にも「呼吸機能検査」からぜんそくが治っていないことを見つけ出し、治療をし直している患者さんもいます。この患者さんも運動誘発ぜんそくが残っており、放置していて良いはずはありません。私が治療して完治するかまでは分かりませんが、何もしないよりはいい状況を作り出せると思っています。
よく「知らぬが仏」と言いますが、治っていないぜんそくを見逃すことは「知らぬが地獄」なのかなと思っています。
児童生徒くらいの年代になると運動誘発ぜんそくの有無が、ぜんそくが治っていないかどうかのポイントになると考えています。今回、学校の養護の先生にこの辺りの話もさせて頂こうと思います。きっと見逃されている子ども達は何人もいることでしょう。そういう子ども達を救うきっかけになってくれればと思っています。


