小児科 すこやかアレルギークリニック

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不思議なシステム
2010年10月01日 更新

秋になって、ぜんそくの患者さんが増えてきました。

軽いぜんそく患者さんは夏場は咳もしていなかったので、一旦治療を休止していました。秋になって寒暖の差だったり、風邪を引いたりしてゼーゼー言ったり、強く咳き込んだりするようになります。

発作が軽ければいいのですが、重いと入院治療がベストなのか、それとも何とか入院を回避できるのかを冷静に判断しないといけません。基本として、発作時にはメプチンなどの気管支拡張薬の吸入を行います。吸入してゼーゼーがなくなれば、発作は重くないことを表すと思います。吸入しても音が残れば、決して軽くないと思います。処置としての吸入後にもう一度聴診したり、酸素の取り込みを調べたりすると、もう一度診察が必要になるので、時間も取られます。

発作シーズンになると、患者さんを片っ端から点滴をしている医院もあるようですが、逆に自分の治療が適切なのか、現在の治療を見直す必要があるかもしれませんし、患者さんも発作を起こせば点滴するものと思ってもらうと困ります。

現在の治療が不十分なので発作を起こしたのではないか?と疑ってみる必要があると思います。私はぜんそくの治療にもこだわっています。他の医院さんよりはぜんそくの患者さんを多く抱えていると思います。医師の実力に差がなければ、当院には発作を起こして点滴に通っている患者さんが多いことになります。今のところ、熱などで脱水を伴った発作のお子さんひとりに点滴をしたのみです。

専門医の診ている患者さんほど発作を起こさないので、点滴も吸入もする必要が少ないのです。おかしな話ですが、専門でないところほど点滴などの処置が増え、医院の売り上げが増すことになります。不謹慎な言い方ですが、勉強しない方が好都合になってしまいます。逆に発作を起こす患者が多ければ、収入が減るシステムにしないとみなが必死に勉強しないということになってしまいます。

ゼーゼーを繰り返しており、素人でもぜんそくを疑うのに風邪だと診断されているケースもあります。ぜんそくと既に診断している患者さんが発作で受診すると「再診料」が請求されます。診察して考える手間がかからないので、安く設定されています。一方、これも不思議なことですが、ぜんそくと診断せずに風邪と診断した方が、「初診料」が取れます。医院には有利に働くのです。

最近は、秋ということもあり、咳の長引くお子さんの受診が多くなっています。やはり“風邪”と診断されているのですが、中には1、2ヶ月長引いているお子さんもいます。いつも言っている通り、風邪で咳がそんなに長引くものでしょうか?。症状が良くなっていないにもかかわらず、毎回同じ薬が出されているのは、“マナー違反”だと思っています。

先日、咳の長引くお子さんを連れてきた親御さんに「咳が長引いても、風邪という診断がおかしいと思いませんでしたか?」と聞いてみたら、親御さんは「うちの子はゆっくり薬が効くタイプだと思っていました」とおっしゃいました。そんな風に考えられるなんて、女神さまかと思いました。

よく都会の方が、言い方が正しいのか分かりませんが、医療にクレームをつける人が多いと聞きます。申し訳ないのですが、上越は患者さんの権利意識が高いとは言えないと思っています。「すべてお医者さまにお任せします」なんてタイプの方が多いように思います。これでは医師に緊張感も出てこないと思ってしまいます。

特に開業医は、自分を気に入った患者さんしか集まらず、やることなすこと全てを肯定的に受け取ってくれるので、10年前の治療法で対応されていても、医師も患者さんも気付かないこともあり得るのです。

アトピーの本を読んでいたら、未だにアトピービジネスに流れる患者さんが少なくないのは、日本の保険診療制度のもとでは患者さんへの時間をかけた対応が困難であることも要因ではないかと書いてありました。つまり、小児科も皮膚科も患者さんを大勢診ることに集中し、重症で本来時間をかけるべき患者さんにも時間をかけないために、患者さんが拠り所を失い、自費でも時間をかけて対応できるアトピービジネスに頼ってしまう現実を指摘していました。

アレルギーといった慢性疾患は、急性疾患を中心としたような保険診療で、しかも医師の実力がみな同じこと前提としたシステムの元では患者さんが煽りを食うのは明らかだと思います。そこに目を付けたのが「ガイドライン」なのかもしれません。つまり、日本の第一人者の先生方の総意によって作られた治療方針に沿えば、専門医でなくても適切な治療法を選択できると言うのが狙いです。

しかし、「ガイドライン」なんてお構いなしの治療をしている先生もいるようです。もちろんというか症状は良くならないのですが、かといって当院には相変わらず近隣の開業医の先生からの紹介はありません。少なくともアレルギーのような専門的知識を要する慢性疾患の場合などは、現在のシステムを見直さないと患者さんが報われなくなっています。

まずはアレルギーは良くならない場合は、専門医にかからないと適切な診断、治療が受けられない可能性が結構あることを地元に知って頂く必要があると考えています。