小児科 すこやかアレルギークリニック

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ナッツ類
2010年10月20日 更新

だいぶ昔のことになりますが、学校給食においてソバアレルギーで死亡事故があったことをご存知でしょうか?。

私の記憶では、学級担任がその子がソバアレルギーであることを知らずに、給食で出たソバを食べるように指示し、それを食べて具合が悪くなったのを一人で早退させたそうです。下校途中で倒れ、家の近くで死亡した状態で発見されたというあらましだったように思います。

それ以来、ソバが強いアレルギーを起こす食品と認識され、学校給食ではソバが出されることがなくなったと聞いています。

頻度で言えば、子どもでアレルギーを起こしやすい食品と言えば、鶏卵、乳製品、小麦でしょうが、強いアレルギーを起こしやすい食品として、ソバの他にピーナッツを挙げることができます。

実際に、ピーナッツでアナフィラキシーは時々みますし、前勤務先に紹介されてきたお子さんのアナフィラキシーの原因は、カシューナッツでした。クルミでアナフィラキシーを起こしたお子さんも何人かいます。ピーナッツも含めたナッツ類は、アナフィラキシーの原因になり得ます。私が以前読んだ食物アレルギーの本には、筆者がピーナッツも学校給食から外すべきだと書かれていました。

先日、当院で診ているぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの小学生のお子さんのお母さんから「クルミは大丈夫でしょうか」と聞かれました。当院は、理にかなった医療を患者さんに提供する努力をしています。

そのお子さんは、クルミはアレルギー検査ではクラス2でした。給食ではクルミ和えやクルミパンが出ることと思います。今年の春に給食でクルミパンを食べ、アナフィラキシーの状態で当院を受診された小学生のお子さんもいました。「ナッツ類は恐い」というのは確かですが、それだけではこの患者さんに除去を指示する根拠にはならないのです。

クルミ自体を使ってプリックテストをやってみました。クルミに小針を突き刺し、針先にクルミの粉をつけて、皮膚に小傷を付けるのです。傷から入ったクルミにアレルギーがあれば、そこが腫れ上がるという検査です。その検査も陽性でした。これで食べると症状が出る可能性は高まりましたが、やはり除去を確定させる訳にはいきません。

ナッツ類は治りにくいアレルゲンでもあるため、私がダメだと言えば、一生口にしないかもしれません。私の中途半端で、大した根拠のない指示で患者さんの一生を決めるかのしれないのは、荷が重過ぎます。結局、「食物負荷試験」をやることにしました。そこまでやる小児科医が全小児科医の何%いるかだろか?と思いますが、それでも決行しました。

最初はクルミの一部を削って、そのかけらを食べてもらいました。結果は、のどを痒がり、口の周りにも蕁麻疹が数個出ました。これでクルミを除去する充分な根拠ができました。

私自身も給食ではナッツ類を出さないようにするという意見には賛成です。しかし、現時点では、ピーナッツを含めたナッツ類は給食では出ます。ということは、ナッツ類の「食物負荷試験」も避けて通れない道ということになります。私もかつては、ピーナッツで症状があれば、クルミなども除去するように言っていましたが、必ずしもそうでないことが分かり、一歩踏み込んで「食物負荷試験」で白黒をつけるようにしています。

往々にして、開業医自身が手間がかかるような患者さんを診たがらない風潮があります。今はどの医院でもインフルエンザワクチンの接種で忙しいと思います他、卵アレルギーがあるとインフルエンザの予防接種ができないと思い込んでいる親御さんも医師も多いでしょうが、そんなことはありません。当院では、他の医療機関よりもアレルギーの体質が強いお子さんを大勢診ていますが、仮に卵白の値がクラス6であっても、希望者に断ったことは一度もありません。逆に当院が対応せざるを得ないところもあります。

ナッツアレルギーでお困りの方も相談頂ければ、白黒をつける努力をしたいと思っています。