11月に入りましたが、だいぶ寒くなってきたせいか、ぜんそくのお子さんが調子が悪いようです。
先日、咳がひどくなった、止まらないというお子さんが当院に殺到?しました。咳の悪化のお子さんだけで100数十人はいただろうと思います。
ぜんそくの悪化要因は、風邪が契機のことも多いのです。もちろん、風邪を引いて熱が出て悪化したお子さんもいましたが、発熱はみられない方が多いのが特徴でした。それから予想するに、寒暖の差など気候が誘因だろうと考えています。
中にはぜんそく治療中のお子さんもいましたが、ほとんどが調子が良くて、治療を中止していたお子さんでした。治療を中断していたお子さんもいました。自分の管理しているお子さんが発作を起こすと、非常に申し訳ない気持ちになります。ただ、調子が悪くなったら、早く対応するように指導しているつもりですので、点滴をしなければならないようなお子さんは一人もいませんでした。それだけはホッとしています。
寒くなって、風邪による発熱、胃腸炎のお子さんもやや増えてきたようです。お子さんが下痢をしたため、休日夜間診療所に行ったというお子さんが、翌日かかりつけを受診するよう指導され、当院を受診されました。
薬の内容をみてみると、ラックBという整腸剤とロペミンという下痢止めが出されていました。一般的には、あまり使わない薬だと思いますので、内科の先生が処方しているものと思いきや、小児科医だったようです。
いま、地元の園の先生から感染症の講演を依頼されており、準備を進めています。子どもがかかる科といえば、小児科、内科・小児科、皮膚科、耳鼻科、眼科などが多いと思います。いろんな医師がいろんな薬を処方すると思いますが、中には基本とズレている場合もあります。地元のレベルアップを図るために、その辺にも触れなければならないと思っています。
熱が出ると、慌てる親御さんも多いと思います。こりゃ大変だってなりますよね。今回の感染症の講演に備えて、子どもの病気に関する育児書も参考にしています。平易に書いてあるので、どう表現すればいいのか役立つと思って買ってきたのです。
子どもの薬についても色々と書いてあります。例えば、解熱鎮痛薬のところに「注意」として、こんなことが書かれていました。ポンタールやボルタレンはインフルエンザに用いると脳症を重症化させる疑いがあるとして、子どもへの使用は原則として禁止、アスピリン(バファリン、アスピリン)も稀に脳症のひとつであるライ症候群などの副作用を起こすとして15歳未満には原則として用いない、と記載されています。
そんなこともあって、小児科医が出す解熱鎮痛薬と言えば、アセトアミノフェンという優しい解熱効果を持つアンヒバ座薬とカロナールという内服薬くらいだと思います。先日、耳鼻科で中耳炎の痛み止めとしてポンタールが出されており、小児科の原則をご存知なかったのかもしれません。
他にも、原則はあります。胃腸炎で呕吐を繰り返す時は、言わば体の中で増殖するウィルスを追っ払うために吐いている訳ですが、やみくもに止めては体の反応と逆行する可能性があります。嘔吐=吐き気止めではないのです。ただし何度も吐くと脱水になりやすいため、脱水にならないように必要最小限で用いるのが一般的でしょう。
菌やウィルスに感染した時の発熱も、いわば戦っている免疫反応の結果として熱が出ているので、やはりやみくもに熱を下げるのは、どうかと思うのです。実際に先の育児書にも、解熱剤の使用目的は「熱のためにぐったりしたり、食欲もない時に使い、一時的に熱を下げ、体力の消耗を防ぎ、回復を助ける」と記載されています。
こんな風にも書いてあります。「体温を下げても早く病気が治る訳ではない。解熱鎮痛薬がウィルスや細菌をやっつけてくれる訳ではない。」と。結構と誤解が多いのが解熱剤だと思うのです。多少熱が高くても、元気で水分が摂れていれば、解熱剤は不要と明記されています。
下痢の時にタンナルビンなどの薬が処方されることがあります。実は牛乳成分が含まれるため、重いミルクアレルギーのある子には使えないことになっています。同じ理由で消炎剤であるノイチームやレフトーゼなども卵成分を含むため、重症卵アレルギーのお子さんには使ってはいけないことになっています。
さて、下痢止めのロペミンの話に戻りますが、これも育児書にこう書いてあります。「腸の蠕動運動を強力に抑えるので、便の回数は減りますが、お腹が張って苦しむこともありますので、原則用いない」との記載があります。体に入ったウィルスを追い払うための下痢を無理矢理止めてはいけないということなのです。普通の小児科医は、この辺に詳しいので、あまり使わないはずです。
もうひとつ言いたいのは、熱が続くと抗生剤の点滴に通院するお子さんも見かけますが、これがまた医師の指示だったりします。しかし、ウィルス感染の時は抗生剤を使っても効果は期待できません。熱が続いている時に、親としても何とかしてあげたいと思う気持ちは分かりますが、効果の期待できないものを使っても、意味はないのです。
昨日も触れたRSウィルスに乳幼児がかかると、数日間高熱が続くことがあります。抗生剤の点滴に何日も通わせる小児科もあるようですが、ウィルスが原因なので、効果は全く期待できないのです。理論的でない対応はすべきではないと思っています。
患者さんは“素人”な訳ですから、病気になるとどうしていいか分からなくて医師のもとを受診します。薬の使い方にしても、使ってはいけない原則があり、医師は原則を守って診療すべきでしょう。なかなかそうはされていないことも見かけますので、その辺で医師の診療への取り組みや態度が見えてきたりすると思います。子どもを守りたいと強く思えば、薬の副作用には敏感になると思うのです。
感染症の講演の時には、こういったことにも触れて、地元の医療レベルのアップにつなげていきたいと思っています。


