小児科 すこやかアレルギークリニック

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今シーズン初
2010年11月08日 更新

今年はインフルエンザワクチンの供給が充分なため、当院かかりつけの患者さんにはなるべく接種しようと思っています。

予約の枠を増やしているため、例年よりは平日も土曜も多くの接種希望者が来院して下さっています。土曜は半日の診療のはずですが、平日以上の患者さんの対応をしなければならず、仕事の終わる頃にはぐったりです。

ここ最近、今月に行われる地元の園から依頼された感染症の講演の話をしています。それだけ「どの病気をより詳しく話すか」、「どう話したら伝わるのか」などが頭の中の多くの部分を占めています。ただ、頭も体も疲れていると、スライド作りがはかどらないのがちょっと悩みでもあります。

日頃から、ぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”などと診断され、過小治療で良くならない患者さんのことを書いています。当院にはほぼ毎日、そんな患者さんが受診されています。そういう患者さんには、正しく診断することが一番大事なことだし、医師の診断能力には差があることを理解して頂いています。

ところが、アレルギーだけでなく、感染症でも診断が医師によって異なることも少なくないようです。そうなると、患者さんや親御さん、園関係者に迷惑がかかってしまいます。時間がないとは言っていられず、園の先生方に分かりやすく、期待に応えられるような話をしたいと思っています。そのためには気合いで乗り切らなければならないと思っています。

さて、タイトルの“今シーズン初”というのは、冬場に流行り、乳幼児が呼吸困難を起こす可能性の高い病気であるRSウィルスが、当院でも確認されました。先日この場で触れたのは、糸魚川市と柏崎市、長岡市の患者さんで、今度は“上越市内”の患者さんでした。県内の小児科医の報告では県内各地でRSウィルスがみられているのは知っていました。怪しいと思って調べてみても、検出されいなかったのですが、とうとう出た訳です。

昨年は12月に入り、どっと増えた印象がありますから、今年はちょっと早いようです。昨年は上越では大流行でしたが、今年はどうなるのでしょう?。

インフルエンザウィルスは、大流行する年と大して流行らない年もありますが、RSウィルスは毎年冬から春にかけて、コンスタントに流行すると言われています。毎年3万人程の乳幼児が呼吸困難に陥り、入院しているとも言われています。中には痰のために窒息死するケースもあります。決して侮ってはならない感染症です。

しかし、重症化しやすい2歳以下の子を持つ母親の認知率は3割程度と言われています。その理由はいつも言っている通り、外来で調べると検査費用を患者さんに請求できないため、医院の損になってしまうからです。残念ながら、損をしてまで調べたくないという医師も出てきます。同業者から見ても、とても残念なことです。

上越市は、直江津地区と高田地区に分かれます。当院は直江津寄りですが、直江津地区にある開業医でRSウィルスを調べているのは当院くらいでしょう。

内科の先生で小児科の看板も掲げているところもありますが、多分RSウィルスを疑える医師は少ないと思います。もともと乳幼児がゼーゼー言ったりすると、心配して最初から小児科を受診されることは多いと思いますが、これまで内科にかかっていて、私がみればすぐにRSウィルスだと分かるようなケースでも、“風邪”という説明されていることがほとんどです。内科の先生にはRSウィルスを見極めるのは、ちょっと難しいのだろうと思いますし、内科の開業の先生が院内にRSウィルスを調べるキットを用意していることはまずないと思います。

小児科医でも、RSウィルスを調べない医師が多いのが現状です。RSウィルスと分かっていて調べないのか、本当に“風邪”と思っているのかはよく分かりません。中には「RSっぽい」と説明している医師もいますが、推測ですが分かっていて調べないのだと思っています。

自分で言うのも何ですが、私はウソがつけないのため、「RSっぽい」と思ったら、「シロクロをつけるために、検査しましょう」と言っています。食べられるかどうかシロクロをつけるために「食物負荷試験」をやっている訳で、「食物負荷試験」だけやっていて、RSウィルスを調べないのはおかしいですし、知っていて検査しないのは、医師のモラルにかかわるし、得になることだけやっている医院というレッテルを貼られてしまうと思うのです。

ちなみに、先週はRSウィルスのお子さんは何人か調べて、市内のお子さんは2人が陽性でした。いわゆる高田地区が1人、直江津地区が1人でした。最初は鼻水だけのことも多く、その時点で風邪と区別することは不可能でしょう。ただ、「ゼーゼーする」というのは、気管支の内側に痰が溜まり、呼吸する度に痰が震えてゼーゼーしている訳です。激しい咳は必発で、咳によってばらまかれたり(飛沫感染)、接触感染もします。驚く程の感染力を持っています。

乳幼児がゼーゼーいって、更に熱もあり、鼻水も多ければ、RSウィルスが強く疑われます。その時点で、シロクロをつけて隔離するようにすれば、今よりは何倍もかかってしまう子供たちを減らせると思うのです。医師が診断能力を上げると同時に、“損得にこだわらないようにしてもらう”しかないでしょう。

まずは、親御さん、園の関係者の方々に直江津地区でもRSウィルスが流行り出したようだと認識して頂くことが重要だと考えました。そういう意味では、RSウィルスを調べる開業医が少ないため、当院の役割は大きいのだろうと思っています。

今回の講演で感染症をキチンと理解して頂くとも大切ですが、医師が正しく診断しなければその知識は宝の持ち腐れになってしまいます。地元ではRSウィルスが極端に少なく、マイコプラズマが多いようになっていますが、この現状を徐々に是正していかなければならないと思っています。