小児科 すこやかアレルギークリニック

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事業仕分け?
2010年11月17日 更新

いま、感染症の講演の準備をしています。

地元の園の先生に子どもの感染症をより正しく理解して頂くためです。子どもはさまざまな感染症にかかるので、日頃診ている上気道炎、気管支炎、水ぼうそう、おたふく風邪、溶連菌、手足口病なども勉強し直しています。キチンとしたスライドを作り、どういう病気で、どう診断し、どう治療するか(しないか)を各疾患につき、理解を深めて頂きたいからです。

「(しないか)」と書いたのは、子どもの感染症の多くはウィルス感染によって起こります。ウィルスで積極的に治療できるのは、インフルエンザと水ぼうそうくらいです。おたふく風邪や手足口病、ヘルパンギーナなどに抗生剤がよく処方されていますが、ほとんど必要ありません。というか、飲んでも無駄と言っていいくらいです。

先日も、当院で今シーズン初めてRSウィルスを確認したと書きましたが、RSウィルスは高熱が4~5日続くこともあります。今年は分かりませんが、例年1月頃になるとインフルエンザが流行します。先に述べたように「タミフル」、「リレンザ」等の治療薬のおかげで高熱が何日も続くことはほとんどなくなりました。こういうRSウィルスやインフルエンザは高熱が出てぐったりすることがあります。

高熱=抗生剤の点滴、と思っている親御さんも多いと思いますが、私に言わせれば、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、“悪徳医”のやる治療です。先の述べた通り、RSもインフルエンザもウィルスなので、抗生剤は直接効かないからです。

ただし、例外があります。高熱が続き、体が弱ったところで別のばい菌がしめしめと体に入って悪さをすることがあります。これを「二次感染」というのですが、二次感染を起こせば、細菌感染も合併しているため、抗生剤が必要になってきます。それを判断するには、血液検査でCRPという炎症反応をチェックして、正常よりも高くなっていて初めて、抗生剤を使う正当性が出てきます。

安易に抗生剤の点滴をする医師もおり、それを当然と思わされている患者さんも多いため、こういう“治療”がまかり通っています。私自身も正直言って、無駄に抗生剤の内服を出しているケースもあると思います。しかし、あまり根拠のない抗生剤の点滴はやりたくありません。それにより医院の利益が上がってもです。

無駄に抗生剤を使っても、医師には何のペナルティもないので、このままでは今後もこういう“治療”がなくなることはないでしょう。全て医師の良心や良識に任されているのが現状だと思います。全国の小児科医、内科医など無駄な抗生剤の処方を一切止めたら、どれだけの医療費が節約できるのだろうと思います。

政府の「事業仕分け」が話題になっています。官僚の“良識”に任した故に、天下りなどで税金の無駄遣いが行われています。医療の世界でも無駄を省くことは必要です。「事業仕分け」のようなメスを入れることは必要だと思います。

「無駄」と言うためには、診断をキチンと付けないといけない訳です。診断が正しければ、治療方針も立ってきます。「これはウィルス感染だから、点滴は必要ない」、「これは細菌感染だけど、軽いので点滴ではなく、抗生剤の内服で対応しよう」といった具合です。

そのためには、医師が診断能力を磨く必要があります。熱が続くから念のため抗生剤の点滴というのは、理論的には正しくないし、医院の利益は上がるかもしれませんが、医師の腕を鈍らせることにつながります。

タミフルなどの抗インフルエンザ薬のお陰で、インフルエンザで高熱が続かなくなりました。この時期、高熱が続くと言えば、RSウィルスだろうと思います。昨年も上越でRSウィルスが大流行しましたが、RSウィルスを調べもせずに、血液検査の値も悪くないのに、抗生剤の点滴を何日もし続けた医師がいました。良くならないと当院に頼ってきた患者さんが、当院だけでも何人かいました。良心的な医療をやろうとしている医師からみれば、“悪質”と言わざるを得ません。これを反省する必要があるはずなのですが、敢えて言いますが、同じことを繰り返している人もいます。

もちろん、真面目に小児医療に取り組んでいる先生もいます。しかし、お薦めできないような医療を繰り替えしている医師もいるようです。混雑しているからといって、正しいことをしているとは限らないと思います。医療機関の人気って不思議なものと言わざるを得ません。いずれにしても、地元のおかしな医療を減らすためには、患者さんの意識のレベルアップも必要だと思うのです。

今回、講演のために感染症のことも勉強し直していますが、ここで触れたいことがいくつもあります。その成果を時折披露していこうとも思っています。