小児科 すこやかアレルギークリニック

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細菌とウィルスの違いって
2010年11月23日 更新

最近の当院は、おかしなことになっています。

何百人も患者さんが来るような医院ではないので、そうなってしまうと外来がいつになっても終わりません。

普段から、外来を混まないようにしているつもりです。つまり、風邪程度なら「治ったら来なくていい」と言っていますし、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の患者さんもマメに来なくていいように薬を多めに出しています。医院は、受診する患者さんが多ければ潤いますが、混んでいることを理由に説明が充分できなくなったら、医院としては存在理由をなくしてしまうと思っています。

症状が落ち着いていれば、診察は早く終えることができます。ただ、昨日の話ではないですが、何も解決していないのに、肝心の診断ができていないのに、「おたふく風邪ではなかった」で終わってしまう対応ではお粗末過ぎますし、時間をかけるところには時間をかけて、なるべくは期待に応えようとしているつもりです。

例えば、外来がごった返していても、結局、アレルギー性紫斑病だったのですが、出血斑が出て血友病を心配していたお子さんや食物アレルギーが重症で遠路から来て下さる患者さんは、混んでいるからと言って中途半端に帰す訳にはいきません。

また、相変わらず、新患の患者さんが多く、診断も治療も適切とは言えないことをされてきた患者さんにも、病気のことを充分理解して頂かなければいけません。アトピー性皮膚炎やぜんそくの過小診断、過小治療で良くならないお子さんが受診されると、当院まで来ているのに、「結局、何処に行っても同じ」とは思われたくないし、「絶対に何とかしてやる」と気持ちはいつも持っているつもりです。

自分で言うのも何ですが、最近は“激務”という言葉を使いたいくらいです。というか、土曜の夕方、インフルエンザの予防接種に来られた最後の親御さんから「激務のところ、すみません」と言われました。そういうお気遣いで、ちょっと救われた気分にもなります。確かに、午前中の外来から、昼ご飯を食べる間もなく、午後のインフルエンザの予防接種に突入しましたので、本当に休む間もない状況でした。

上越の園の先生方への感染症の講演が近づいてきました。スライド作りも進んでいますが、何ぶん2時間も子ども感染症についてぶっ通しで話したことはないので、話の構成などで随分と悩んでいます。外来が忙しいと、体も頭も疲れているので、講演の準備が遅々として進まない状況です。

ただ、日頃診療していて、他の医療機関から受診された患者さんの治療を見るにつけ、アレルギーだけでなく、感染症に関しても「ありゃりゃ」なんて思うことも少なくなく、上越のレベルアップを図らなければと感じています。

先日も、混雑する外来であるお母さんから「先生、細菌とウィルスの違いって何ですか?」と“問いつめ”られました。ぜんそくをよく理解しているお母さんだったので、急に真顔で聞かれてちょっとビックリしました。患者さんは素人なので、分からなくて当然です。分からないから、医師を頼るのです。そういう質問は全然オッケーです。

熱が続くと、抗生剤の点滴をする医師も少なくないと思います。言い方は悪いですが、患者さんが知らないのを良いことにって気もしています。細菌とウィルスの違いを知っていると、もちろん治療に決定的な差が出てきますので、医師が適切な治療をしているかどうかが患者さんにも分かるのです。おかしな医療をなくすために、患者さんが正しい知識を持つことが、地域のレベルアップには不可欠なのです。

子どもが感染症を起こすのは病原体が体に入るからなのですが、その病原体の主力メンバーが細菌とウィルスになります。

細菌は、溶連菌や大腸菌、肺炎球菌などがあり、ウィルスは、インフルエンザ、RS、ロタ、ノロ、アデノ、麻疹、水痘などがあります。フルネームに菌とつくのが細菌で、ウィルスとつくのがウィルスになります。ややこしいのがインフルエンザ菌とインフルエンザウィルスと同姓同名がいること。インフルエンザ菌のワクチンが「ヒブワクチン」で、インフルエンザウィルスのワクチンがいま各医療機関で行われているインフルエンザの予防接種です。別のものですが、「何で同じ名前を付けたんだよ」と思われる方も多いと思います。

病原体としては全く異なるものですが、治療にも大きな差があります。ウィルスの治療は「抗ウィルス薬」を使い、細菌は「抗生剤」を使います。

よく書いていますが、「抗ウィルス薬」はインフルエンザに対する「タミフル」、「リレンザ」、水痘に対する「ゾビラックス」くらいしかありません。RSやロタ、ノロ、アデノウィルスなどには特効薬がないのです。

一方、細菌には「抗生剤」を使いますが、「フロモックス」、「セフゾン」、「メイアクト」、「クラリス」などがよく使われると思います。ただ、菌によって効きやすい抗生剤と、あまり有効でない抗生剤があります。例えば、のどに膿がついて扁桃炎を起こしているとします。扁桃炎を起こす菌が何種類もありますから、のどから菌を取ってきて培養すると、何という菌が付いていて、どういう薬が効くのかが分かります。それが一番確実な治療です。

ただし、培養の検査は数日かかります。熱が出てのどが痛い状態を無治療のまま、放置することはできませんので、おおよその目安で抗生剤を選び、それを処方しているのです。その菌に合わなければ、抗生剤を飲んでも症状が改善されない、なんてことも有り得ます。ただ、それなりにいろんな菌に効く抗生剤を使っておけば、「間違いない」ことが多いのです。

この抗生剤も、内服と点滴という投与方法があります。手軽なやり方はもちろん内服です。ただ病気の勢いが強い時は、内服では不十分なこともあります。内服の場合、飲んだ抗生剤が胃に行って、腸に行って、そこから吸収されて血液に入り、扁桃炎なら扁桃腺に向かって、効力を発揮します。扁桃腺の炎症が強ければ、言い方は変ですが内服はチマチマした感じで効くので、治しきれないことになります。

そこで出てくるのが、抗生剤を点滴で投与する方法です。これは点滴の管を血管に入れているので、濃い抗生剤を一気に扁桃腺に送り込むことができるのです。内服で治療しているのに良くならない場合、もしくは血液検査で病気の勢いがとても強いと判断された時に、この抗生剤の点滴治療が選択されるべきでしょう。

病気の勢いを血液検査で判定するのですが、具体的には白血球数とCRPという炎症反応を用います。長くなったのでまた今度触れようと思いますが、ウィルス感染に抗生剤の点滴を使うという治療が理論的でないことを解説しようと思っています。