小児アレルギー学会に参加して、いろいろと勉強してきました。
学会は、「アレルギーを持つ子どもを救いたい」という同じ志を持った小児科医の集まりですので、ある意味ホッとする瞬間です。発表があるとそれなりのストレスもかかりますが、恩師に会えたり、いろんなことを学べるので、ストレス発散できるという一面もあります。
とりあえず、感染症の講演、学会発表とプレッシャーのかかっていたイベントをこなしました。少し楽になれると思ったのも束の間、土曜を休診にしたせいもあり、診療はハードでした。いきなり現実に引き戻された感じです。
今日は、私の発表について触れるつもりでした。ちょっと事件がありましたので、急遽そちらについて書かなければなりません。
テレビの一部報道で、世界的に例年よりはインフルエンザの流行は早いと聞いていたのですが、新潟市や柏崎市で患者を確認したという話もあり、徐々に上越に押し寄せてくるのだろうと思っていました。学会の出先でも、携帯でメールチェックをしていましたのですが、地元上越でもインフルエンザが発生した情報を聞き、「エッー」と思っていました。
10月からインフルエンザの予防接種を行っています。10月に2回とも済ませてしまう方もいらっしゃいますが、この時期になって1回目という方もおります。私自身も、学会の直前になって本格的に準備をし始めるタイプなので、人のことは言えません(汗)。当院で予約を取りづらかっただけなのかもしれませんが、ちょっと急がないといけないかなと感じていました。それは、大人の場合でも、インフルエンザの接種をして2週間くらいして効果が出始めると言われているからです。
診療していて、インフルエンザが流行しているという学校のお子さんが当院を受診されました。学校に行ってから、具合が悪くなったそうですが、その学校では学級閉鎖になっているそうです。もちろん、インフルエンザの迅速検査は必須です。発症して間もないと、検査をしても「陰性」のことがあります。しかし、このお子さんの場合はしっかりと「陽性」でした。A型がはっきりと「陽性」だったのです。
インフルエンザは、以前に比べたら、タミフルのような抗ウィルス薬が出てきたため、治療がしやすくなりました。この調子だと、近隣の中学校や幼稚園、保育園でも感染が拡大するのは、時間の問題でしょう。市内の中心部にもいつ飛び火するか分かりません。となると、15年程前に12月に流行のピークを迎えた年があったと記憶していますが、そんな流行状況になるのかもしれません。もしかしたら、昨年同様に、インフルエンザの診療をする傍ら、インフルエンザの予防接種をしていかなければならないのかもしれません。
ここ最近、当院ではいろんな感染症を診ています。感染性胃腸炎、溶連菌、おたふく風邪、水痘、アデノウィルス咽頭炎、アデノウィルス腸炎、RSウィルス、今度詳しく述べようと思っていましたが、EBウィルスによる伝染性単核球症もいました。これらのうち、溶連菌、アデノウィルス咽頭炎、アデノウィルス腸炎、RSウィルスは迅速診断ができます。また、疑わしければ調べるつもりですが、ノロウィルスもじきに判定できます。
診察をして、流行状況からこれらの検査を行うと、再度診察室に入って頂いて、検査結果を説明する必要があります。更にインフルエンザが流行すると、インフルエンザも迅速検査ができるので、輪をかけて多忙になります。
待ち時間が長いのは、私の本意ではありません。しかし、他の医療機関で良くならないと当院をご指名で受診される患者さんも少なくなく、そういう期待も背負っているので、当院はいい加減なことはできないのです。
敢えて言えば、確定診断もせず、風邪とか言って中途半端な対応をしている方が、場合によっては待ち時間も短く、大勢の診察ができます。そちらの方が収益が上がってしまうのが医療システムのおかしな点です。
ここ最近、急に増えてきた印象がありますが、アデノウィルス感染は、のどに膿がつくのが典型的な所見です。これは平均で5日高熱が続き、抗生剤が効きません。当院では、アデノウィルスが原因と診断すると、抗生剤は一切使っていません。使うのは“ヤブ”だと思っています。
熱が3日続いているところで、アデノウィルスだと診断を確定すると、「あと2日は熱が続く可能性が高いので、気をつけてね」と指導しています。逆に、こういった指導をするために、疑ったら検査をする必要があるのです。疑っても違うこともあります。違っても、結果説明はしなければなりません。中にはあっさりと“扁桃炎”と診断して、抗生剤を出し続ける医師もいることでしょう。効果のない抗生剤の点滴をしている医師も少なくないと思います。
良心的にやればやる程、時間を取られ、しかも、治らないと当院へ鞍替えされる患者さんも少なくなく、より多忙を極めるなんてことになります。時間の取られることは一切しない方針にすれば、より効率は上がることでしょう。逆に敢えてそうしないことで、医療はもっと良心的なものだと患者さん達に知って頂く必要があります。
「あそこの医院は軽症しか診れない」なんてウワサのあるところもあるようです。軽症は、要は放っておいても治るので、ウワサが本当なら「何をしているんだろう」と思います。医師としてのプライドがあれば、良くならないと患者さんから見切りをつけられ、他の医療機関に移っていくようなことは極力避けたいし、逆に「あそこに行けば、何とかしてもらえる」という立場にありたいと思っています。それは効率が悪くてもです。
アレルギーは、医師の間で大きな差があります。学会に参加している、いないでも差が出ないはずがありません。開業してみて気付いたのですが、感染症でも驚く程の差があるのも事実でしょう。インフルエンザの流行とともに、更に多忙になるでしょうが、地元の医療レベルのアップのためにも、「効率」よりも「良心」にこだわって診療していこうと思っています。


