小児科 すこやかアレルギークリニック

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声なき声
2010年12月20日 更新

ここ最近は、ずっと忙しい状態が続いていました。

今月上旬に小児アレルギー学会があり、そこでも発表してきました。それが終われば、今年の大きなイベントが終了する予定でした。しかし、来年に行われる食物アレルギー研究会の会長を私の恩師がされると聞いては、発表をしてもり立てなければなりません。

私のように福岡の病院で研修させて頂いた先生方は、どちらかというとぜんそくをメインに据えた医療をやられているように思います。もちろん、私もぜんそくの治療もこだわっています。新潟には既にぜんそくの専門の先生が数名いらっしゃるため、全国最低レベルと思われる食物アレルギーや乳幼児のアトピー性皮膚炎に力を入れざるを得ない、というところもあります。

「食物負荷試験」を積極的にやっていると、いろんなことが分かります。アレルギー検査の数字があまり高くなくても、卵を少量含むビスケット程度でもアレルギー症状を起こしてしまったり、検査がクラス最高値の6だったり、その一段下の5でも卵焼きを食べられてしまうこともあります。つくづくアレルギー検査って当てにならないなと思っています。

データのために負荷試験をやっている訳ではありませんが、私の取り組みをまとめ、それが食物アレルギーで困っている患者さんを勇気づけることにつながってくれれば、これまでの負荷試験の結果を解析することに大きな意味があると思っています。

それとは別に、食物アレルギーの啓発も含め、様々な取り組みを行っているつもりです。当院の日頃の姿勢も発表したいなと思っていました。実は17日が発表のエントリーの締め切りでした。忙しい診療でクタクタになって家に帰ってきても、力を振り絞ってこんな内容で発表したいという文章を作り上げました。それを添えないと申し込みができないのです。何とか間に合い、ホッとしています。

2010年、診療以外で一番ハマったのが、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」でした。坂本龍馬という人物がどんなことを成し遂げた人間なのか、学ぶことができました。あとこの日曜が最終回でしたが、「獣医ドリトル」も医療ものとして、結構ハマりました。

ドラマの中で「動物達の声なき声に耳を傾ける」というフレーズがよく出てくるのですが、まさしく小児科も同じです。小学生くらいになると、自分の症状をそれなりに正確に訴えることができます。ところが、乳児は言葉はしゃべれないし、2~3歳でも表現がつたなく、言うことを100%信用しづらい状況ではあります。

当院は夕方になると小、中学生が増えます。ぜんそくなどの定期受診の子どもが多くなります。しかし、午前中は3歳以下など低年齢のお子さんが多く、しかも熱や咳、呕吐などの症状がメインです。まさしく「声なき声」に耳を傾けることが重要になります。

先週末の土曜に、上越市の休日夜間診療所に行ってきました。市内は胃腸炎も流行しており、結構混雑しました。やはり胃腸炎が多いのですが、咳のお子さんも目立ちました。寒暖の差があると、ぜんそくが悪化しやすくなるからです。

医院で診療している限り、当院の存在を知っている人しか受診しません。休日夜間診療所は他院で診ている患者さんも受診します。何人かは、ゼーゼーを繰り返しているにもかかわらず、“風邪”と診断されていました。ぜんそくと診断されるべきなのに、風邪と診断されていた訳です。話を聞くと、良くなっていないのに同じ薬が出され続けていました。これは私の言う“マナー違反”です。

ぜんそくの咳は、風邪の比ではなく、夜間目覚めてしまうくらいの強い咳です。詳細な問診と診察で、風邪との区別は簡単です。小さな子どもの「声なき声」に耳を傾け、真摯に向き合えば、ぜんそくがあることに気付くと思うし、同じ薬を出し続けることはなくなると思うのです。

他の医療機関で症状が良くならないと、当院を受診されるケースが開院以来ずっと続いています。ぜんそくの診療が変わってきた先生もいますが、全く変わっていない先生もいるようです。ちょっと不自然に思うのですが、ぜんそくなのに“風邪”や“マイコプラズマ”と感染症に仕立て上げられています。点滴に何度も通っているなんて聞くと、その先生にはもっと頑張って欲しいと思います。

「獣医ドリトル」の主人公は、何でも完璧にこなしてしまいます。ネットの書き込みで見たのですが、獣医学部では動物愛護の観点から手術の実習は難しいようで、若いのに難易度の高い手術を成功させることは困難なのだそうです。そこはドラマなのでしょう。

私の場合は、ドラマじゃないので何でもかんでも正しい医療をやれている訳ではありません。ただ、症状の改善が思わしくなければアレルギーなら、学会などで会った際に日本の第一人者の先生に、他の分野からその専門の先生に相談しています。

良くならなければ、根掘り葉掘り情報を聞き出して、「何で良くならないのか?」と悩み、答を見つけ出す努力をしなければなりません。その努力を怠っているケースも巷には少なくないと感じています。それはやってはいけないことであり、小児科医は「声なき声」に耳を傾ける姿勢が一番大事なのではないかと考えています。