小児科 すこやかアレルギークリニック

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北風と太陽
2011年01月25日 更新

普通、例えば月曜の午前中は熱や吐いたお子さんで小児科外来は混雑すると思います。

当院の場合は、熱や嘔吐のお子さんは隔離しますので、診察室に入ってくるルートは変えていますが、午前中から「アトピーの薬がなくなりました」、「ぜんそくの薬が切れます」という理由で受診されるケースも多く見られます。

アレルギー科と小児科の“二足のわらじ”を履いていると言っていいでしょう。ここ最近は、インフルエンザが急増し、と同時に熱が出るとインフルエンザを心配して検査を希望される親御さんも増加します。

周囲にインフルエンザがいなければ、インフルエンザが出ないことがほとんどです。先日も触れましたが、別の熱の原因を探さなければならず、溶連菌を調べたり、熱が続いていれば血液検査をさせて頂くことになり、同じ患者さんが二度、三度と診察室に入ることになります。

感染症だけでも多くの患者さんに対応しなければならず大変なのに、そんな中にアレルギーの初診の患者さんも混じることがあります。自分の中で「小児科モード」と「アレルギーモード」を切り替えなければなりません。

ぜんそくを見逃されていたり、過小治療で良くなっていなければ、「ぜんそくです。この薬を使って下さい。」では不親切です。ぜんそくは風邪ではありませんので、そんな一言で済むはずはなく、済ませてはならないのです。

だいたい、それまでかかりつけで治療を受けてきていますから、“風邪ではない”ことを理解してもらうことが大切です。風邪とぜんそくの違いを説明し、治療方針を伝えます。診察室の左手に置いてあるガイドラインを手にし、重症度とその患者さんに合った治療法を示し、今後どうやっていくべきかを説明しています。

慢性疾患の場合は、すぐには改善し安定しませんから、まずは“病気と付き合っていく”姿勢が重要です。他の医療機関で風邪と言われて、薬を出されている“すべて”を変えなければならず、しかも時間をある程度かけなければならず、その大変さを少し理解して頂けると幸いです。

アトピー性皮膚炎となると、こういう対応が多いのですが、診断名も告げられずに「これを塗っておいて」とステロイドの入った薬を出されて、それでおしまいというケースがかなり多い印象です。医師に不信感を持っているけれど、他の医師に頼らなければならないというケースもよく経験します。

医療機関を転々とされており、そういう行為は患者さんが悪いような印象を持つ医師が多いと思いますが、私は医師の対応に問題があるのだと思います。説明が足りない、症状が良くならないのに同じ薬を出すだけで診察が終わってしまえば、患者さんからすれば何のために通っているのか、分からなくなります。

アトピーも慢性疾患ですし、すぐには良くならず、しかもぜんそくと違い、症状が皮膚にあるため、目に見えます。小さいお子さんの場合は遠慮なく掻きむしるため、症状を安定させることは更に難しくなります。小手先の治療では良くなりません。

薬を出してもらい良くなっていなければ、患者さんは違う対応を求めます。しかし、これまでみてきたケースでは、同じ薬を出し続ける医師が多く、「それじゃあ、良くならないでしょ」と思ってしまいます。

そもそも、患者さんの場合、ステロイド軟膏を使うことを納得していないケースが多く、そこから説明しなければなりません。某市から来られた患者さんが皮膚科に行ったところ、「ステロイドはちょっと…」と言った途端、「うちじゃ診れないから、帰ってくれ」と言われたり、お子さんだけ奥に連れて行かれ、ステロイドを塗られたこともあったそうです。

それを聞いての感想は、「ひど過ぎる。医師のモラルもここまで落ちたか。」と思いました。本当にその患者さんを良くしたいと願えば、ステロイドに抵抗感がある方には、アトピーのガイドラインを示し、ステロイドの副作用についても説明し、同意を得た上で治療を開始しなければなりません。門前払いや、押しつけは「医療」とは言えないし、こんな医師がいるんだと悲しくなりました。

この患者さんは、お住まいはちょっと遠いのですが、現在は当院に通院し、ステロイド軟膏を使用されています。かなり時間をかけて、親御さんと議論した結果、「ここに通いたい」と希望があり、そうして頂いています。

「北風と太陽」という物語があります。北風と太陽がコートを着た人のコートを脱がせようと、それぞれがトライするのですが、北風は力づくでコートを吹き飛ばそうとします。しかし、飛ばされないようしっかりと抑えてしまい失敗します。一方、太陽がさんさんと照らすと、暑くなりコートを脱がせてしまうという話です。

“北風”的な治療は、結局は医師への不信感になりました。患者さんはもう二度と行かないだろうし、医師からすれば「二度とお断り」と思っていると思います。私が懸念しているのは、その医師が似たような患者さんに、同じ対応をしているのではないか?ということです。

「プロ」なら、ステロイドに対する不信感を払拭する努力をすべきなのに、自分にとって都合のいい患者さんを集め、異を唱える患者さんを拒絶するのは「プロ」とは言えないでしょう。

私の対応が、本当に“太陽”なのかは分かりませんが、少なくとも“北風”にはなりたくないし、「プロ」らしくありたいと思っています。