インフルエンザが流行してきているのは確かですが、そんなに忙しくない状態が続いています。
発熱の患者さんも多いのですが、当院の場合はインフルエンザよりは溶連菌の方が多いような状況です。大雪のピークも過ぎたようですし、早くインフルエンザが減って欲しいものだと思っています。
例年、インフルエンザの流行期になると、当院のこだわっている「食物負荷試験」を休止せざるを得ませんが、現在も休止中です。県内には「食物負荷試験」を行っている小児科はほとんどないため、ニーズは確実にあり、食物アレルギーの患者さんにはご迷惑をお掛けしていると実感しております。早く再開したいと思っています。
週末は、土日と三条と加茂でアレルギーの勉強会があります。1日目はぜんそく、2日目は食物アレルギーが主題となっています。
私の恩師いわく、「以前は小児アレルギーの専門医と言えば、ぜんそくを診られればそれで良かったが、最近は食物アレルギーも診なければいけなくなった」そうです。確かにそう言う風潮はありました。
ぜんそくは、一般の方でもご存知のようにゼーゼー、ヒューヒューを繰り返す病気ですが、当院の場合は、ゼーゼー、ヒューヒューして小児科に行っても、“風邪”、“気管支炎”や“マイコプラズマ”なんて言われ、ぜんそくの治療が行われていないことが少なくありません。逆に患者さんの方が、薄々ぜんそくに気付いて、当院に救いを求めて受診されることが目立ちます。
医師の診断がまちまちですと、患者さんは何を信じていいか分からなくなることでしょう。当院の場合は、ぜんそくのガイドラインを示し、ぜんそくの定義を満たしていることを説明しています。もちろん、ぜんそくにもこだわっており、専門的知識も持っているつもりですから、その時点で私のことを信用して欲しいと思っています。
ただ、言い方は悪いのですが、医者は口がうまければどうにでもなります。これは事実でしょう。患者さんも症状が改善せずに困っている訳で、症状を改善させて初めて、本当に信頼を寄せて下さることだと思っています。
ぜんそくに“風邪薬”が出されていることも多く、当然のように効果はありません。そこでぜんそくの治療を開始すると、劇的に改善することもよくあります。当院では、未だにそんなことをよく経験します。当院は他院で治らなかった咳の患者さんを多く抱えており、恩師の話に反して、地元にいる分には、ぜんそくをキチンと診られるだけでも充分に専門医としてやっていけそうだと感じています。
ただ、食物アレルギーは放置はできません。これまでは、専門医も非専門医も食物アレルギーの対応は、原因となるアレルゲンの除去でした。つまり、知識の差はあっても、やっていることは“同じ”であった訳です。
しかし、小児アレルギー学会でも、医学的根拠のある医療を推奨しており、アレルギー検査が高くてもその食品を食べられることも少なくないため、「食物負荷試験」を広めようとしています。全国的にもぜんそくを中心に診ていたアレルギーの専門医の先生が食物アレルギーを診はじめてきています。ニーズが食物アレルギーを診られる小児科医を欲しているだと思っています。
「食物負荷試験」にはそれ相当の知識や技術が必要です。生半可な気持ちではできません。だってアレルギーを起こす食品を食べさせる訳ですから、不測の事態で強いアレルギー症状を起こすかもしれないからです。患者さんとの間にトラブルをかかえることになってしまうかもしれません。そこが、ほとんどの小児科医が「食物負荷試験」をやりたがたない理由だと思っています。
アレルギー検査の数値が高ければ、食べてアレルギー症状を起こす可能性があるのは事実でしょう。「食べるな」と言っておけば何も起きず、トラブルにも発展しません。医師側からすれば、リスクも伴わず、楽な訳です。
その一方で、疲弊するのは患者さんの方です。食べられるかもしれないものを、大袈裟に除去し続けるのは、大変な作業です。1日3食、それを何ヶ月も、何年も続けることを求められるから、出口の見えないトンネルに入った気持ちでしょう。
患者さんの立場に立てば、医師が多少のリスクを背負って、「検査が高くても食べられる可能性はあるので、一緒に食べられるものを探していきましょう」と言ってくれれば、「ヒーロー登場」って感じなのかなと思っています。
ぜんそくの場合もそうですが、本当なら“風邪”や“マイコプラズマ”と診断していて、治療しても改善がなければ、「自分の診断が間違っているのではないか?」と考えなければならないのです。あまりそうしている医師は多くないように感じています。私は症状が良くならなければ、同じ薬は出さないようにしています。同じ薬を出しても、改善しなかったのだから、今後も改善が期待できないと思うからです。患者さんの立場に立てば、同じ薬は出せなくなるはずなのです。
食物アレルギーに関しても、患者さんの側に立てば、検査の値だけで除去を続けるということはできなくなるはずです。食物アレルギーの患者さんを抱える医師はすべて「食物負荷試験」をやることになるはずですが、実際のところは「…」という感じです。かなりの技術とやる気が必要なので、できなければできる医師に紹介となるはずですが、それも「…」という感じです。
恩師の話にひとつ付け加えるとしたら、アトピー性皮膚炎もそれなりのレベルで診られないといけない、と思っています。食物アレルギーにアトピーを合併していることが多いし、皮膚科に通っても良くならないと言うアトピーの患者さんは大勢いらっしゃいます。
ということで、これからもアレルギー専門医であり続けるために、週末は泊まり込みでぜんそくと食物アレルギーの勉強に行ってきます。日本の第一人者の先生が講師として来られるので、楽しみにしています。
普段診療していて感じるのは、医師と患者さんの“温度差”です。患者さんはもっと良くなりたがっているのに、同じ薬を出して「様子をみて下さい」と言ったり、アレルギー検査結果だけで「除去を続けて下さい」と言われているように思います。医療で一番大事なのは、患者さんの立場に立つことだと思っています。


