相撲界が大変なことになっています。
以前からウワサは絶えず、私自身も「火のないところに煙は立たない」と思っていたので、観念のし時なのかもしれません。
普段から根拠のない医療をすべきでない、と言っていますので、テレビのデータを拝借すると、千秋楽に7勝7敗の力士が勝って勝ち越す確率は8割なのだそうです。異常な高さです。すごろくを振って、1の目が出続けるようなものです。
怪我などで勝ち星が残せないこともあるでしょう。同じ相撲界に入った仲間な訳ですから、困った時は星の貸し借りをする、それが八百長の始まりでしょう。“互助会”と考えると、「困った時はお互いさま」の精神で日常的に行われていたのだと推測しています。
ふと考えると、いろんな社会が同業者をかばう、“互助会”の体質があるのだと思います。ニュースになるところでは、警官が不祥事を起こしても、すぐには公表せずに、あとになって「公表するまでもないと判断した」なんてコメントがよく聞かれます。校内でイジメがあると、学校側もかたくなにイジメと認定しません。聞いていて、不自然なくらいです。これもテレビのコメンテーターが言っていたことですが、校長や教師の責任問題に発展してしまうからだそうです。かばい合いの体質があるように感じています。
医師の世界は、どうか?。大きな医療ミスがあると病院ぐるみでカルテを改ざんして隠蔽工作を図ったという報道は過去にあったように思います。こう見てみると、同業者をかばい、自分達の立場を守ろうとうす体質はどこにでもありそうです。ある意味、当たり前なのかなと思っています。
先日、市の乳幼児検診に行ってきました。1歳半検診だったのですが、一番の目的はちゃんと発育、発達しているかを確認することです。つい、私の専門であるアレルギーで困っていないかも目がいってしまいます。一般的に、アレルギー体質があると病気が出やすいのです。0歳でアトピー性皮膚炎と食物アレルギー、1歳でぜんそくが発症しやすいと言われています。
軽いのですが、何人もアトピー性皮膚炎が見逃されていました。かかった病気にマイコプラズマ、気管支炎と書いてあったので、聞いてみるとゼーゼーを繰り返しており、やはりぜんそくとしか診断できない状況でした。
先程、アトピーと食物アレルギーが合併しやすいと言いました。検診に来られた赤ちゃんの中に、アトピーと診断すべき状況を乳児湿疹と言われており、アレルギー検査で卵とミルクが陽性だったため、それだけの根拠で卵とミルクアレルギーと診断され、2歳まで食べてはいけないと指導されていたお子さんがいました。
当院のホームページをよくお読みになっている方はもうお分かりでしょうが、この医師の指導は疑わしいと言わざるを得ません。当院は食物アレルギーの患者さんを多く診ていますが、1歳で食べられる子もいますし、小学校に上がっても少量でもアレルギー症状を起こす子もいます。「2歳まで」とする根拠がないのです。そもそも、卵や乳製品を食べてみて、アレルギー症状を起こしていません。つまり、卵アレルギー、ミルクアレルギーは疑いでしかなく、除去する必要すらないのかもしれません。
成長期のお子さんに、「あれもダメ、これもダメ」と言って、親御さんを不安に陥れ、「何を食べさせていいか分からなくなった」と混乱して、当院を受診されるケースもよくあります。適切な指導をしていれば、こうはならないはずです。
このお子さんも本当に卵や乳製品を除去する必要があるのか疑問であり、それを確認するのが「食物負荷試験」です。子どものすこやかな発育を願う小児科医ならば、根拠もなく「あれもダメ、これもダメ」と言うのは、正しくないとしか言いようがありません。当院の負荷試験の経験からも、完全に除去する必要はまずないはずです。
実は、医師の間では、診断した医師の判断を尊重するという“しきたり”があります。しかし、専門でない先生が正しくない指導をしているのを、アレルギー専門医がみた場合、ほとんどの医師がそのまま見逃すことはしないと思います。心を痛め、「今はそういうことはしない」と適切なアドバイスを送ると思うのです。
患者さんは正しい医療を受ける権利がありますし、医師の知識不足により、必要のない除去を続けるのは患者さんが気の毒です。卵や乳成分はほとんどのお菓子に含まれており、それを2年以上も除去するのは、非常に大変な作業です。そう指導された患者さんの身になって考えることも必要で、「ご自分がやられてみて下さい」と言いたいくらいです。
先程の“しきたり”は、これだけ医療が細分化してくると患者さんにとっては、不必要なものになってくると思います。必要のない除去を日々していても、患者さんにとってメリットは何もありません。敢えて言えば、患者さんを専門医に紹介せずに、患者を手放さないで済む医師にメリットがあると言えるのかもしれません。
上越で小児科を立ち上げて3年半近くになりますが、当院は食物アレルギーの啓発に力を入れ、「食物負荷試験」をアピールし続けてきました。当院の活動を知っていて、それでもなおかつ「2歳まで」などという指導は、患者さんにとって良心的はないし、逆に“悪質”と言えるような風潮を作っていかなければならないのかもしれません。
「かばい合う」と言うのは、ある意味マイナスの方向性を持つものだと感じています。専門の医師が、“何らかの配慮”で適切な指導をためらうケースもあるのかもしれません。しかし、それでは正しい医療は広まっていかないと思います。何より患者さんのためになっていないのです。
特に小児科は、子どものほとんど全てを診ることを求められていますが、それは一人の医師には限りなく不可能なことです。私がアレルギーに興味を持ったように、各小児科医はこれなら負けないという分野を持っていたりします。当院の場合は、私の専門でない分野で対応に困ったら、その道の専門家にためらわず紹介しています。私の場合は、それで患者が減るとか、収入が減るとは全く考えていません。
地元の医師が互いに得意分野を活かし、相互に紹介し合うという「かばい合い」なら患者さんにはとっても大歓迎なのだと思います。


