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アトピーの課題
2011年02月15日 更新

最近は、感染症の患者さんも多いのですが、アトピー性皮膚炎の新患の患者さんも目立ちます。

赤ちゃんで湿疹があると、小児科や皮膚科を受診することが多いと思います。とても不思議なのですが、ほとんどが乳児湿疹と診断、もしくは診断名は告げられず、ステロイド軟膏が処方されています。親御さんに「アトピーですか?」と聞かれても、「まだアトピーとは言わない」と答えています。

私が診て、一見してアトピー性皮膚炎なのに、アトピーとほとんど診断されていないのは、私にとって“衝撃”です。ただ、こんなことはしょっちゅう経験していますので、最近は“慣れっこ”になってしまっていますが…。

いつも言っているように、診断を間違えば、治療も間違います。どのケースでも、キチンとした説明もなく、ステロイド軟膏が処方されています。以前に比べればかなり減りましたが、ステロイドと聞いただけで拒否反応を示す患者さんもいらっしゃいます。

ほぼ100%ステロイド軟膏が出されているにもかかわらず、時間がないのか、面倒なのか、よく分かりませんが、ステロイドに関する説明はまず行われていません。まず、そこが問題だと思います。患者さんの方も漠然とステロイドに対する恐怖心が残っており、それで症状が改善しないと、不安や不満が大きくなり、医者を替えようと考えるのでしょう。

たいていの患者さんが、そうやって医療機関を転々とされるのでしょう。医師からすれば、医療機関を替えてばかりいるのは患者さん側に問題があると考えがちですが、日本の第一人者の先生方はもちろん、学会で見かけるような専門医は、その辺をキチンと説明していると思います。そこが「一丁目一番地」だと思うので、そこに時間をかけない方がおかしいと思っています。

アレルギーの専門医は、ツボを抑えた対応をしていると思います。ネット社会で、医療の問題が取り上げられたりして、以前の「お医者さんが間違うはずがない」という考え方が大きく変わってきたと思います。私自身も、当院に移ってこられた患者さんから前医の対応を聞き、アトピー性皮膚炎の診療に関してですが、自然と信用できる医師とそうでない医師に評価が分かれてしまっています。

アトピー性皮膚炎の治療をする場合、ステロイド軟膏が使うべき薬かどうか、どのように使うのか、巷で言われる副作用はどうなのか、などをクリアしなければ、前に進んでいかないことをアレルギー専門医は知っていると思います。

そうしなければ、途中で恐くなって塗るのを止めてしまい、その結果、当然の如く悪化します。頼らざるを得ず、また小児科や皮膚科に行くと、塗るのが恐いなんて言えずに、不真面目な患者のレッテルを貼られてしまうこともあるでしょう。叱られたりすることもあることと思います。

以前も書きましたが、皮膚科に行った時に「ステロイドは使いたくない」と言った途端に「うちじゃ診れない。帰ってくれ。」と言われたり、お子さんだけ処置室に連れて行き、ステロイドを塗られてしまった、ケースもありました。「医者ってそんなに偉いのか?」と思います。勘違いしている医師が少ないのかもしれません。自分にとって、聞き分けの良い、都合のいい患者さんを集めるのは、医療とは言えないと思います。

今の医療はインフォームドコンセント、といって説明し、患者さんの同意してもらって初めて、次のステップに進むことができます。ことアトピー性皮膚炎に関しては、診断も間違い、治療も間違い、ステロイドの説明もなく、誤解が解かれることもまずありません。医師と患者さんの間に信頼関係が築かれることもなく、医療不信に陥っている患者さんがいかに多いことか。

当院でも100%の対応とは言えないと思いますが、患者さんが何を悩んでいるのかを考えながら受け答えをしているつもりです。患者さんは納得いかなければ、医者を替えます。当院を初めて受診された時に「3軒目」とか「4軒目」だったりします。今のところ、その後、患者さんが他に移られることはあまりなさそうです。

私もまだ修行の身ではありますが、ポイントを抑えれば、信頼関係を築くことはさほど難しくないと思っています。自分にとって都合のいい患者さんを集めるのでなく、自分が患者さんに合わせることも必要でしょう。とはいえ、多少時間をかけ、一通り患者さんが不安に思うような項目を説明するだけで、新たに質問を受けることはあまりありません。

小児科も皮膚科も、このような時間を掛けなければならない患者さんに時間を掛けなさ過ぎます。よく「忙しいから時間を掛けられない」と書いている医師がいますが、詭弁でしかないと思います。3分診療で慢性疾患のまともな対応は不可能です。自分にとって都合のいい患者さんを集めるのは、医療ではなく、営業だと思います。

患者さんが多くて、時間を掛けられないのならば、時間をかけてくれる専門医に紹介すべきですが、逆にそういう医院さんは全くと言っていい程、紹介はしてきません。予想するに、自院の患者さんが減るからだろうと思っています。そういう診療ができなければ、できないと言った方が患者さんにとってもいいと思うのです。「アレルギー科」の看板を挙げているのであれば、必要最低限のことは行う義務があるのですが、放棄しているとしか思えないケースもよく目にします。

当院はアトピー性皮膚炎の患者さんが多いので、いろんな患者さんに対応しなければなりません。患者さんによって、多少は対応を替える必要があることもありますが、基本的には誠実に、時間を掛けて対応することで、不安は軽減させることはできるようです。新潟はアレルギーの専門医が少ないため、同じようなスタイルでアトピーの診療をしている小児科や皮膚科は少ないように思います。

アトピー性皮膚炎は有病率が高く、要はアトピーを持っている患者さんは赤ちゃんから大人までかなりの頻度で見かけます。そういう患者さんたちがどういった医療を受けているのか、とても気になっています。私が対応することで、もっと患者さんの不安を減らすことができるケースは少なくないのだろうと思います。そういう患者さんを何とかしたいと思うし、現在の対応に不満があれば、相談に乗りたいと思っています。