小児科 すこやかアレルギークリニック

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手っ取り早いのは
2011年02月18日 更新

私のよく言うガイドラインは、各病気に関して診断法や治療法が明記されています。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどについても各ガイドラインがあります。食物アレルギーのガイドラインに、アレルギー検査の数値は参考になっても、食べられる・食べられないの判断根拠にはならないので、「食物負荷試験」をして判断しましょうと記載されています。

私の地元では、全く普及していません。そこでガイドラインを作成している学会側が、より丁寧な「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン」を作成し、専門医の間でも実施方法に微妙な差があるのは確かですが、その辺の擦り合わせを行い、より「食物負荷試験」を普及させようと努力しています。しかし、学会の努力とは裏腹に、末端の現場では「食物負荷試験」自体が患者さんに知らされていない状態が続いています。

先日当院を初めて受診された患者さんは、前医で「2歳まで完全除去」と指導されていました。

開業医の良いところは、病院と違って敷居が低いところだと思っています。いつも同じ医師が同じ目線で診てくれるところがポイントです。しかし、一人に医師がやれることには限界があります。小児科も扱う分野が広いので、特にアレルギーは専門かどうかで、患者さんが思っている以上の実力差があります。

しかも、開業医は、経営も大事です。個人事業なので、企業と同じで不採算部門は切り捨てることもあるでしょう。つまり、手間がかかり、リスクが高ければ、そんなのやっていられない、となってしまうのです。

私が思うに、まさしく「食物負荷試験」がそれに当たると思います。以前は、負荷試験をしても保険適応ではなかったので、まさに“慈善事業”でした。食物アレルギーのリーダーの先生方のお陰で、今は保険適応になっていますが、思ったよりも開業医に“旨味”がないため、ダンマリを決め込んでいる医院さんもあるようです。

本来なら、食物アレルギーで困っている患者さんをみたら、「今は食物負荷試験という検査法があり、もし希望するなら、やっている病院に紹介しますよ」というのが筋です。しかし、地元では「2歳まで卵製品は一切除去」なんて指導をしているところもあります。

日頃から見ていると、開業医もいろいろです。同業だと経営面をどれだけ重視しているか、手に取るように分かります。それが最重点項目であり、何があっても他院に紹介しないとしか思えない方針の医院さんもあるようです。

結局、医療はかかる医師によってどうにでも変わる、というのが現状でしょう。各医師は得意分野があるので、知識を持ち寄って相互に協力して、初めて意味のある地域医療が行えると思っています。絶対に紹介しないという方針では、患者さんが気の毒です。

私が逆の立場なら、分からなくもありません。一人紹介したら、患者さんがどんどん“流出”してしまうと思うかもしれません。専門医とそうでない医師には、明らかな技術の差があるのも事実ですから、なかなか目を向けにくいところです。しかし、どうやっても実力以上のものは出しにくいものです。

アレルギーとは関係ないのですが、先日、某市在住の患者さんが実家のある上越に来られた際に、私の診るところとなりました。しょっちゅう中耳炎を繰り返しているのだそうです。地元の小児科医院にかかっていたそうですが、その都度、抗生剤など治療を受けていました。

頻繁に繰り返しているのなら、抗生剤の効きにくい耐性菌が中耳炎の原因になっている可能性があります。今かかっている先生は、もしかしたら“流れ”をみていないのでしょう。カルテを見返してみれば、冷静に考えれば「こんなに繰り返すのはおかしい」と思うと思うのです。

その市には感染症を専門とする医師がいます。患者さんに聞くと、その先生にもかかったことがあるけれど、病院なので受診してもその先生に当たるとは限らないとおっしゃいます。しかし、今のままではらちがあかないのは明らかです。「専門の先生にかかった方がいいです」と断言しました。

親であれば、子どものことは心配だし、別にかかりつけの医師でなければダメという訳でなく、子どもにとって一番のことをやってくれる小児科医であれば、誰でもいいことでしょう。少なくとも、「何故繰り返すのか?」、「原因は何か?」、「どうしたら繰り返しの発症を抑えることができるのか?」と考え、冷静に分析できる小児科医でなければ、現状を打破できないと考えています。

食物アレルギーも同じです。「2歳まで完全除去」という指導は正しいとは思いません。結果的に2歳頃に卵焼きが食べられるようになるかもしれません。しかし、1歳のうちに食べられるお子さんが多いことも、実際に経験しています。

2年間、子育てしながら、一切の除去を継続するのは、患者さんにとってはとても重いことです。しかも、2年待って本当に食べられるのかは定かでなく、根拠のないことと言わざるを得ません。私からみれば、“思いやり”のない指導としか思えないのです。医療に、思いやりがなくなったら、医療ではなくなると私は思っています。

繰り返しになりますが、医師が何を重んじるかによって、医療はどうにでも変わる、それはまぎれもない事実でしょう。もし、各医師が医学を最優先に考えてくれるのなら、食物アレルギーであれば、「食物負荷試験」をやるということに収束するはずです。つまり、どの医師も口を揃えて「負荷試験をやりましょう」と言ってくれるはずです。そうなっていない事実が、食物アレルギーの現状を表していると思います。

中には、「食物負荷試験」をやっていないので、普及してもらったら困ると思っている医院さんもあることでしょう。そういう考え方は、患者さんにとってメリットは何かあるでしょうか?。いい加減にしてくれと思いますよね。

「2歳まで完全に」と言っている医院さんを中心に、地元には私が診ることで、食生活が変わる患者さんがまだまだ大勢いると思っています。医師のその言葉を信じて、日々3度の食事、それにおやつに細心の注意を継続している親御さんも多いと思っています。一日も早く、もっと楽にしてあげたいと考えています。

一番手っ取り早いのは、医師が患者さんの日々の苦悩に目を向け、これまでの指導を見直すことだと思います。