小児科 すこやかアレルギークリニック

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2011年02月21日 更新

19日は私の誕生日でした。

ちょうど、その日が食物アレルギー研究会があり、私もエントリーしていたため、診療も忙しく、準備期間も少ない状態で発表もせざえるを得ませんでした(汗)。

学会は車で行くことが多く、東京、横浜ならまず車で行くのですが、23日にアレルギーの講演があり、研究会の帰りに発表の準備をしようと思っていたので、珍しく新幹線で行くことにしました。

電車は地元の駅を6時発車だったので、5時起き…。普段は爆睡中なので、生活のリズムのパターンが異なってしまいます。電車を乗り継ぎ、研究会の開始ころに予定通り会場に到着しました。

私の発表は午後からだったので、正直落ち着きません。直前になると、尚更「あそこをこうすれば良かった」などと悩んだりします。ここ最近、年に2回くらいは全国規模の学会で発表をしていますが、なかなか慣れません(汗)。

会場は小児科医、看護師、栄養士、患者家族、食物アレルギーの親の会、養護教諭、食品業界の方など諸々の方が参加しており、通常の学会は医師がほとんどだったりしますから、雰囲気がかなり異なります。医師も食物アレルギーに理解のある人がほとんどでしょうから、参加者全員が演者の話に注目し、集中して聴いています。

今年から園で統一した食物アレルギーの診断書が使われ始める予定なので、その説明もありました。日頃から食物アレルギーに理解のある医師の少なさを嘆いていますが、養護の先生やアレルギー対応食は、企業としては“不採算”な部門であるにもかかわらず、真面目に取り組んでいる企業の方の話があったり、またAED(除細動器)が認知されてきたように、エピペン(食物アレルギーのアナフィラキシー改善薬)を広めようとしている消防隊の取り組みの話も聞くことができました。

今回は一般演題の発表が多く、私も恩師が会長ということもあり、張り切って2つ出していたのですが、一つに絞って欲しいと言われる程でした。小児科医の発表もほかにもあり、どの先生も患者さんのために誠心誠意取り組んでいるという感じでした。

いつも言っているように、食物アレルギーは一生懸命やれば、医師の側からすれば時間も手間もかかります。アレルギー検査の結果だけで食べられる・食べられないの判断はできるものではないにもかかわらず、多くの小児科医がそう説明しており、未だに「医師の言うことは絶対」なんて風潮もあるものですから、“間違った考え”が世の中を支配しています。

食物アレルギーは、乳幼児の5~10%に見られると言われ、予想するに多くの開業医が対応しているはずです。その開業医の多くが“間違った考え”を持っている可能性が高く、しかも「食物負荷試験」で食べられる・食べられないの判断をすべきなのに、血液検査のみで“診断”しているのが現状です。「食物負荷試験」の存在すら患者さんが伝えていないのは、敢えて言えば誠実さが足りていないのです。

医者のやることは、企業と違い、営利目的ではないはずです。一部の医者と思いたいのですが、食物アレルギーに限らず、利益になることは優先してやる一方で、こういう不採算なことになると、知らんぷりを決め込むとしか思えない対応をしている医院さんも存在するようです。

食物アレルギーと分かると、すぐに自院の栄養士に回してしまう医師もいます。医師が栄養士を食物アレルギーに対応できるように育てなければならないはずですから、米の数値の高い食物アレルギーの赤ちゃんに「毎日うどんを離乳食として与えて下さい」なんて常識から外れた“栄養指導”をしてしまっています。これじゃあ、診療代、栄養指導費は患者さんに請求できないはずです。

これだけ医療が細分化してくると、医師も「分かりませんので、専門家に紹介します」と言うことは決して恥ずかしいことではありません。逆に、間違った説明をしてしまう方が恥ずかしいことですし、医院の評判を大きく落としてしまうことでしょう。現状では、正直、真面目に取り組む者が損をする、という風潮は食物アレルギーの分野ではありありと見て取れます。

今回の研究会の会場で、近くの小児科でまともに対応してもらえず、何度も医者を替え、ようやく専門医に辿り着いたという患者さんの親御さんにもお会いしました。実は当院のホームページをご覧になったりしており、既に存じ上げている方だったりします。

そういった親御さん達は、我が子のために食物アレルギーの現状を勉強したいと思い、こういう研究会にも参加していらっしゃるのです。普通の小児科医顔負けの知識を持っています。まさに“母は強し”でしょう。でもよく考えてみると、小児科医よりも医師に頼るべき患者さんの方が詳しいことがよくあるのが、食物アレルギーの特徴でもあると思います。

格差社会と言われて久しいですが、真面目に取り組む医師を含め、様々な職種の方とそうでない方々の知識の“格差”がものすごく大きいと思います。理解のない園や学校の先生の心ない言葉が患者さんを傷つけることも少なくないでしょうし、医師の“誤診”も後を絶ちません。食物アレルギー研究会は、逆に食物アレルギーに専門的知識を持たない医師が参加すべきと考えています。

私の発表もあっという間に終わり、研究会自体が終わった時には午後6児半近くになっていました。今回の会長をなさった恩師とも話ができればと思っていたので、場所を移して行われた懇親会にも参加してきました。ただ、帰りの新幹線の時間が迫っていたので、結局ちょっと顔を出しただけで帰らざるを得ませんでした。

帰りの新幹線で、23日の講演の準備をと思っていましたが、生活のリズムがずれてしまったのと、発表の気疲れなどでちょっと爆睡してしまいました(涙)。

結局、自宅に着いたのが夜の10時半ころ。家族も寝る直前で、誕生日と言うことで冷蔵庫の中にとってあった小さなケーキを一人寂しく食べたという2月19日でした。

本来なら、土曜日は診療があります。当院は土曜が特に受診が多く、市外から受診される患者さんも多いのです。あまりこういう言い方は好きではないですが、“稼ぎ時”と言えましょう。要は収入を減らしてまで、多少無理をしてでも最新情報を学びに、学会に出かけてきました。当院は利益を追求するようなスタンスで診療していないので、今後も学会には参加していきたいと考えています。

ただ、専門でない医院さんに食物アレルギーの患者さんが集まっているようですし、大変勉強になりましたが、ある意味で寂しい誕生日を送ったということもあり、世の中って理不尽だなとちょっと思ってしまいました。

食物アレルギーは尚更ですが、ぜんそくもアトピー性皮膚炎も誤った診断をして、適切でない治療をしている医師も少なくないと思われ、定期的に学会に参加しないと「アレルギー科」の看板を挙げられないようにするシステムも必要なのだろうと思っています。

そうしなけば、格差がどんどん大きくなり、信頼して通ってみたものの、“ハズレ”だったなんてことになり、患者さんがまた専門医に辿り着くまでご苦労されるということが繰り返されてしまいます。

そんなシステムは、何かが大きく変わらなければまずできるはずがないので、せめて困っている患者さんに適切な情報を与えられるようなシステムが作られることが急務でしょう。

結局、食物アレルギーは、一部の専門医の良心で成り立っている部分も大きく、当院だけでなく、なかなか同業者の紹介もないのが現実のようです。食物アレルギーも“構造改革”が求められていると思っています。それまでは、当院は当院なりに、情報を発信していきたいと考えています。