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「自民党をぶっ壊す」
2011年02月28日 更新

タイトルの言葉は、以前大人気を誇った皆さんご存知の元首相の言葉です。

いつも言っているように、当院には毎日アレルギーで困り果てた患者さんが市内のみならず、市外からも受診されています。診断すらついておらず、咳が長引いていたり、湿疹を痒がっているのを“仕方ない”と諦めているものの、諦めきれずに望みを託すような気持ちを持って、当院を受診されているように感じます。

そういった患者さんのほとんどが、実は他院に通われています。れっきとした医療機関に通っていて、良くなっていないのです。しかも、結構名の通った医院さんだったりします。

私はよくこの場で出している「ガイドライン」はぜんそくもアトピー性皮膚炎、食物アレルギーにもそれぞれの病気毎に完備されています。決してアレルギー専門医のみのものではなく、逆に専門でない先生のためにあるといっても過言ではないと思います。専門医なら、学会などで学んでいるうちに、お薦めの治療方針が定まってきます。アレルギーの症状を良くしたいと思えば、治療法は似たものになってくると思うのです。

ただ、おかしなことに診断を間違ったり、適切でない治療をしても罰則はないため、症状が改善せず、良くならなくても、自分が正しくないことをしていることに気付いていない医師もいるようです。皮肉なことですが、症状が改善せずに何度も医院に通ってくれた方が、経営が潤うなんてことになってしまっています。

「ウィキペディア」というさまざまな言葉を検索できるサイトがあります。「花粉症」と入れてみると、これでもかっと言うくらいいろいろな花粉症にまつわる情報が出てきます。私さえも勉強になるくらいの内容も含まれます。その治療のところにこんな文言が出てきます。

「ただし、アレルギー科を標榜している医療機関に必ずアレルギー専門医がいるとは限らない。」

何も知らない患者さんからすれば、衝撃的な言葉と言えるかもしれません。これは全国的に言えることでしょうが、「アレルギー科」の標榜は自由なので、私が苦労して取得した日本アレルギー学会認定の「アレルギー専門医」の資格を持っていることを表していません。

都道府県によりまちまちで、他県では本当に専門医しか標榜していない、患者さんに優しい、分かりやすいところもあるようです。新潟では、アレルギー科の標榜については“無政府状態”です。実際に市内外から当院を受診される患者さんの多くが「アレルギー科」を標榜するところで診療を受けていています。

中には、敢えて言いますが、研修医以下の医療レベルなのに、患者さんが「あそこはアレルギーもできる」と勝手に信用して通院されています。この場でたまに書いている、「お医者さんに任せておけば良い」という時代はとうに終わっています。アレルギーに限らず、その道の専門医に任せなければ、子どもの健康は守れない時代に突入しています。

アレルギーが専門ではないのに、なぜアレルギー科を標榜するのか?。それは各医院さんによって理由はことなるのかもしれません。子どものアレルギーは極めて多い状態で、開業医であってもアレルギーを診ない訳にはいかないというのはあると思います。確かにぜんそくやアトピーでも軽症なら、専門医でなくても対応できたりします。

しかし、“軽症”だと風邪や乳児湿疹と区別がつかない医師がいるのも確かです。症状が良くならないと、医師がおかしいと思うべきですが、当院へは患者さんがおかしいと思って、受診されています。残念ながら、病気を診断できない人が正しい治療を行えるはずはないのです。

特に開業医は、ある意味競争社会で、多く診た方が経営に有利です。症状が良くならなくても、同じ薬が延々と出されており、患者さんもそれを信用しているという図式が出来上がっています。もともとが軽症なので、“風邪”や“乳児湿疹”という対応で良くなっているケースもあることでしょう。

ちなみに、ウィキペディアには、「アレルギー専門医を調べるには、日本アレルギー学会や日本アレルギー協会に問い合わせるとよい(アレルギー学会のサイトにて調べることもできる)。なお、自治体の保健所などが相談体制を整えつつあるので、まずはそこで相談するのもよい。」と記載されています。

一番気の毒なのは、重症の場合です。過小治療によって、より重症化してしまっても、「仕方ない」と諦めている患者さんもいらっしゃいます。重症で、診断はできていても、「ガイドライン」に沿った治療がなされていないのです。

当院に来られる患者さんは、診断も治療も適切でないことが多いので、時間をかけて「ガイドライン」を片手に診断名と治療法を説明しています。当然、前医を信頼して通院していたので、診断や治療が正しくなかったという現実を目の当たりにされることになります。

「信用していたのに…」と悔しさをにじませる患者さんがいかに多いことか。ただ、冷静に考えると、患者さんは、その先生がアレルギーに詳しいかどうかを全く知らずに、一方的に信用していただけなのです。

すべての医師が正しいことをやる時代は終わっているのです。なかなか良くならなくても「これ以上は私では手に負えないので、専門医に紹介します」と言ってくれる医師はまずいません。これが現実だと思います。医師によっては、プライドなり、経営のことも頭にあるのかもしれません。

アレルギーは奥が深く、私もまだまだ分からないことが多いので、もっと勉強しなければならないと日々思っています。ただ、上越では唯一の小児科医で、日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医の資格を持っています。地元の、アレルギーで困っている子ども達の多くに対応する覚悟も持っています。

他院に通院していた患者さんは、それ以降、ほとんどの患者さんが当院に通って下さっているようです。それまでかかっていた医療機関の選択理由は、「近いから」というのもあるでしょうが、「地元では有名だから」ということもあるようです。

小児科の医療は、感染症が中心です。有名と言うのは、手際が良かったり、優しかったりするのかもしれません。例えばインフルエンザの場合は、迅速診断キットで“診断してもらって”、あとはタミフルなどの抗インフルエンザ薬を処方するだけです。どの小児科医が診ても、有名であっても、有名でなくても同じ結果になります。

実は、「感染症の腕」と「アレルギーの腕」は全く異なります。「地元では有名だから」と言って、アレルギーで信用できるかどうかは別問題です。名の通った小児科や皮膚科、耳鼻科に通っていた患者さんにこれまでの治療内容を確認してみると、ビックリするような説明を受け、通院していた(させられていた?)患者さんもいらっしゃいます。

最初に「自民党をぶっ壊す」と書きましたが、田舎ならではと言えるのかもしれませんが、地元に根強い「有名だから、アレルギーも詳しいはず」という概念を“ぶっ壊す”ことが必要なのだと思っています。

一概には言えませんが、「ガイドライン」はここ10年で次々と出てきているため、若い医師の方が知っているのだと思います。逆に、ベテランの名の通った先生の方が我流の治療を通していることもありそうです。

最近は、開業医でもホームページを持ち、いろいろなカラーを打ち出しています。先程、「アレルギー科」を標榜してもアレルギーに詳しいとは限らないため、患者さんが学会や保健所に相談しなければいけないと書きました。医院の主義主張を表しているホームページを参照するのも手でしょう。つまり、アレルギーは専門医でなくても、「ガイドライン」に沿った治療をするのがルールになっています。ホームページを目を凝らして見ても、「ガイドライン」の“ガ”の字も出てこないページもあります。

患者さんは、どの医療機関にかかろうと“自由”ですが、ガイドラインを尊重しない医療をしている医療機関を頼り過ぎるのは、問題があると言わざるを得ません。当院に来られて、現実を知っても、失われた時間やお金は戻ってきません。

アレルギーのような慢性の病気は、早期発見、早期治療が最大のポイントです。地元の患者さんのためにも、“既成概念”をぶっ壊していかなければならないと思っています。