小児科 すこやかアレルギークリニック

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逃げなかった つもり(その1)
2011年03月03日 更新

当院のホームページのこのトピックでは、開院当初は食物アレルギーの話題が多かったと思います。

アレルギー検査の値のみで食べられる・食べられないと思っている親御さんが多く、小児科医でさえ、そう考えているからです。周囲の誤解から、食べられるものさえ、食べられない患者さんが多くを占めている新潟県の現状を打破したいと思い、食物アレルギーの話題を出すことが多かったのです。

上越の地に開院してみて、徐々に食物アレルギーだけが問題でないことに気付きます。ぜんそくもアトピー性皮膚炎も「こんなに正しく診断されず、治療もされていないんだ…」と把握するに至り、ぜんそくやアトピーについても触れるようになりました。

更には、小児科医の腕の見せどころである感染症でさえも、マイコプラズマの検査の理解不足から、何度もマイコプラズマと診断され、点滴を繰り返されている患者さんが少なくないことに気づき、乳幼児が重症化しやすいRSウィルス感染症も医院で調べると検査費用が医院の持ち出しになってしまうため、地元の感染症情報から“亡き者”にされていたり、ウィルス感染で熱が続いているのに、細菌感染にしか効かない抗生剤の点滴を連日繰り返されていたり等々、何かと問題が多いことが分かり、その辺も指摘しています。

日本は「国民皆保険制度」により、国民が平等に質の高い医療が受けられるはずになっていますが、それは“親切”な医師が“良心的”な医療を行って初めて達成されます。私も勉強不足で、まだまだ努力しないといけないのですが、医師の実力にとても大きな差が生じています。経験豊富なベテランの医療をする医師もいれば、地元では名は知られているものの研修医レベルの医師もいます。

しかも、「3時間待ちの3分診療」という言葉があるように、診療時間が短いことも問題のひとつです。患者が大勢で、そうせざるを得ない医療機関もあるでしょうが、日本は“大勢診た者勝ち”(大勢診た方が収益が上がる)というシステムになっているため、多くを診るために一人当たりの診療がおろそかになっていることも多々あるように感じています。

その結果、よく書いているように症状が良くなっていないにもかかわらず、同じ薬を出し続け、「なぜ良くならないか」と医師が悩まなければならないのに、診断や治療を見直すこともなかなか行われていません。手に負えなければ、専門医に紹介すべきなのに、収入減を嫌ってか、紹介をしない方針の医師もいます。入院の適応なのに、1週間も点滴に通院させる子どもの医院さんも存在します。

先程、“親切”、“良心的”と書きましたが、少なくとも、若干要求水準の高いかもしれない私の目から見て、そう思える医療をやっている開業医は、非常に少ないと思います。患者さんには分かりにくく、“親切”、“良心的”に見えるのかもしれませんが、明らかにおかしいと思えることを繰り返しているところも目につきます。

他の地域や県はよく分かりませんが、日頃診療していて、日本の医療のあり方を考えさせられます。皆保険制度は,医師が常に勉強をして、良心的に医療を行うことによって光り輝くものであって、不祥事を起こす医師が後を絶たないことが示している通り、この制度下でいかに効率よく稼ごうなんて思っている医師も存在するのだと思います。明らかに説明不足であり、良心的とは言えない診療が行われていることが多いと思っています。

私が感じているのは、そのしわ寄せをくっているのがアレルギーだと思っています。特にアトピー性皮膚炎は、その最たるものでしょう。

アトピー性皮膚炎の診断が適確に行われていないにもかかわらず、小児科医や皮膚科医はステロイド軟膏処方しています。アルメタなどのステロイドを何の説明もなく処方している医師もいます。巷にはステロイドを嫌う患者さんもいます。いわゆる“食わず嫌い”な方も多いようですが、多かれ少なかれ使用に不安を感じておられます。

私の場合は、アトピーのガイドラインを示し、アトピー性皮膚炎の診断基準を満たしていることを理解して頂き、治療のページに「ステロイドを適切に使う」と書いてありますので、そういう意味ではやりやすいのです。そもそも皮膚に炎症があり、その部分に炎症を抑える薬を使えば、治療としては理にかなっていると思います。それがたまたまというかステロイド軟膏な訳です。

ガイドラインが存在するお陰で、アトピーと診断すれば、治療まで説明はスムーズに進みます。逆に、患者さんの皮疹をアトピーと診断していない医師は、小児科医であれ、皮膚科医であれステロイドを使う根拠を示さなければいけないはずです。しかも、患者さんひとりひとりに対し、ステロイドに対する不安を取り除く説明をしなければならないと思っています。

皮疹が良くなっていなくても、「取りあえず塗っておきなさい」なんて感じでステロイドを出し続ける医師も少なくないと思いますが、信頼を寄せていたはずの医師に、徐々に患者さんの方で不信感が芽生えているのだと思います。

特に田舎の患者さんは、周囲に医療機関が少ないため、我慢強くひとつの医院に通うケースが多いと思います。上越も決して都会とは言えないのですが、お子さんの皮疹が良くならず、当院が3件目、4件目とおっしゃる親御さんも少なくありません。市外から当院を受診される患者さんさえ、そんなに珍しくありません。

明日はもう少し掘り下げて、触れていきたいと思っています。