先日、小学生の食物アレルギーの患者さんが当院を初めて受診されました。
だいたい当院を初診される患者さんは、前医で処方された薬の内容やアレルギー検査の結果を持ってこられます。この患者さんは見慣れないものを持参されていました。
関東の専門病院で「食物負荷試験」を受けてこられたようで、その時の結果を示すものでした。当院に来られる患者さんの99%以上は「食物負荷試験」を受けたことがおりません。新潟市から引っ越してこられた患者さんが新潟市民病院の先生から紹介状をもらってきた時くらいです。
他県から引っ越してこられて、それ以前に負荷試験を受けたのかと思いきや、もともと上越の方なのに、地元の小児科の先生が紹介状を書いて、350キロ程離れた専門病院まで「食物負荷試験」を受けてこられたそうです。しかも、卵と牛乳の2回行かれたようです。
その話を聞いて、正直ガッカリしました。何故なら、私が日頃から「食物負荷試験」のことを強調しているのは、新潟県内の患者さんは「食物負荷試験」を受け、食べられる・食べられないを判断してもらうべきだと思っているからなのですが、地元の患者さんは地元の医師が守るべきだと思っているからです。
当院も開業医の立場でありながら、外来で「食物負荷試験」に力を入れており、場合によってはアレルギー専門の病院よりは数をこなしています。ましてや卵や牛乳は負荷し慣れており、当院でも対応しきれないほどの重症ではなかったからです。紹介した先生も当院が負荷試験に力を入れているのはご存知でしょうに、そこまでして当院に紹介したくないのかなとも思ってしまいました。
いずれにしても関東の専門病院を受診し、負荷試験までしてもらって、なぜ当院を受診したかというと、「何を食べていいかよく分からない」ということでした。もちろん専門病院ですから、負荷試験はキッチリと行われていましたが、卵は判定保留、牛乳は除去という結果でした。
負荷試験をやると、どれくらい食べられるかがある程度は判断できます。仮に卵焼きをある量、食べたところで症状が出ても、症状もなく食べられた量と同等の卵たんぱくを含む加工品は食べられると考えてよいと思っています。担当の先生と行き違いがあったのか分かりませんが、卵も牛乳もほとんど食べていない状況でした。
質問したくても350キロ離れていると、なかなか相談もしづらいものです。また、小学生くらいのなると、食物負荷試験は数ヶ月あけてもう一度やっても、劇的には変わるはずもなく、一旦診察終了になっていたそうです。地元のかかりつけの先生に聞こうにも、分からないから紹介状を書いてもらった訳で、困り果てて当院を受診されたという格好です。最初から当院に紹介してくれれば良かったのに…と思わずにはいられません。
残念ながら、せっかく行った食物負荷試験に基づいた解除がなされていなかったので、何とかしたいと考えました。卵に関しては卵焼きを食べている途中でアレルギー症状が誘発されたようで、卵を多く含む加工品を食べてもらいたいと思いましたので、まずはほぼ確実に食べられて、本人にも自信を持ってもらえるようにとカステラを使い、負荷試験を行うことにしました。
卵を食べられないものという先入観を持ったお子さんには、「ほら、食べられたでしょ」と自信を持ってもらうことが大切です。アレルギー症状が誘発されないであろう食材を使うことで、無事に完食し、自信を持ってもらうことができます。カステラを食べることができ、負荷試験の最中も満面の笑みを見せていました。よほど嬉しかったのでしょう。
牛乳についても、牛乳を飲んでいる途中でアレルギー症状が誘発されたので、やはり加工品を用いて、自信をつけて頂こうと思いっています。
当院でも対応しきれないような場合は、専門病院には知り合いもいますし、話もスムーズに進みます。患者さんにベストな治療をと思えば、県外の専門病院へということになるのかもしれませんが、皆が最重症という訳でもないでしょうから、患者さんの労力を考えると、地元の患者さんはなるべくは地元で何とかすべきだと考えています。
親御さんも「もっと早く受診していれば」とおっしゃって下さっており、小児科の先生も患者さんのことをよく考えて紹介先を選んで頂ければと思っています。


