小児ぜんそくの頻度は、7%くらいと言われています。
こども特有の疾患として、急激に発熱した時にけいれんを起こしてしまう「熱性けいれん」というものがあり、これも7%くらいの頻度であると言われており、「ぜんそくと同じなんだ」と思っていました。ただ、報告によっては3~5%というデータもあります。
いずれにしても、決して珍しい病気ではなく、毎年インフルエンザの流行期になると、1日に2人以上診ることもあります。インフルエンザは高熱の出る病気なので、熱性けいれんを誘発しやすいのです。
熱性けいれんは、成長とともに自然に起こさなくなると言われており、通常はてんかんなどのけいれんの病気に移行しないとされています。治る目安としては6歳くらいと言われています。
少し前に、当院にかかっている患者さんが夜の10時過ぎにけいれんを起こしたそうです。初めてのけいれんだったので、親御さんもかなり心配されたそうです。この時間帯は休日診療所はやっていません。ある総合病院ではない医療機関の電話すると、そこの看護師につながるシステムになっているようで、電話してみたのだそうです。
けいれんは数分で止まったようですが、熱はありました。電話口での指示は、解熱剤の座薬も使わずに、そのまま朝まで様子をみるように言われたそうです。
一般論として、熱性けいれんを起こせば、当たり前のことですが、小児科医に診察してもらい、判断されるべきです。熱性けいれんは繰り返すこともあるので、一度でも起こしたことがあれば、それが熱性けいれんであると判断できます。ただし、初めて起こした場合は、それが熱性けいれんであるとは限りません。
けいれんを起こした場合、怖い、重い病気も想定しておく必要があります。近頃、肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンの接種が再開されました。あれは肺炎球菌やインフルエンザ菌が頭に回って起こす細菌性髄膜炎を予防するためのものです。けいれんを起こすこともあります。また、インフルエンザウィルスによりインフルエンザ脳症になった場合も、けいれんや意識障害を起こすこともあります。
これらの病気は、夜だから様子をみるのではなく、医師から診察を受け、的確に診断してもらい、もしそうなら一刻も早く治療を開始しなければ、後遺症を起こしたり、命を落とすことも有り得ます。けいれんは、意識を失うことも多く、深刻な事態です。
私が小児科医として駆け出しの頃は、初めてけいれんを起こした子を診たら、入院が原則と教えられました。ただし、小児科医として経験を積んでくると、ダイアップというけいれん予防の座薬があり、それを使うとそれ以降のけいれんを予防することができますので、小児科医が診察し「熱性けいれんで、髄膜炎や脳症ではない」ことが確認できれば、つまり典型的な熱性けいれんと診断されれば、必ずしも入院は必要がないようです。
もし、そういう電話がかかってきたなら、私なら「うちは夜間でやっていないので、申し訳ないけれど、総合病院に行って診察してもらって下さい。髄膜炎やインフルエンザ脳症もけいれんの原因として挙げられるので、朝まで待たずに病院にすぐに行った方がいいでしょう。熱性けいれんであっても、熱が下がらなければ、またけいれんを起こしうるので、けいれん予防の座薬をもらった方がいいですよ。」と言ったと思います。
その患者さんは、そこで言われた通り、翌朝に当院を受診されましたが、幸い2度目のけいれんは起こしていませんでした。解熱剤も使われていませんでしたが、熱が続いた場合は、けいれんを立て続けに起こすこともあるので、何も起こらずラッキーだったと考えるべきでしょう。なぜすぐに病院に行くようアドバイスを行わなかったのかは、不明です。
ほとんどの小児科医が、すぐに小児科医に診てもらうようにアドバイスをすると思いますので、申し訳ないですが、通常は先に述べたような対応をするのが普通であると説明しました。電話口での対応で、最悪のケースだったとしたら、誰が責任を取るのでしょうか?。逆に、責任を取れないようなことはすべきではないと私は思います。
当院を受診された時に、親御さんには2度目のけいれんを起こす可能性は充分あり、またけいれんを起こしたら、すぐに総合病院を受診した方がいいこと、けいれんが長引いたりすれば、救急車を呼ぶ必要があることなどをアドバイスしました。けいれんを2度起こした場合は、2度あることは3度ある、という諺がある通り、繰り返しやすいと判断し、前述のダイアップという座薬を家に常備しておいてもらい、発熱時に自宅で速やかに投与するのが普通です。
もしかして、けいれんを起こしても様子をみていいもの、なんて思っている親御さんが多いかもしれず、地元の子どもを守るのが小児科医の役目ですから、アレルギーだけでなく、真面目な小児科医が通常行うような指導を広めなければいけないと思っています。
なぜか、熱性けいれんに限らず、我流の指導が行われているお子さんを時々目にします。尿路感染症は、尿を培養し、細菌が規定数以上検出されることがポイントで、本物の場合は入院加療し、しっかり治療することが求められていますが、精査もされず、外来点滴が繰り返されている場合もありますし、以前も触れましたが、熱が続くと「デカドロン」というステロイドの点滴が使っている所もあります。通常は、こういう強い薬は感染症には使わないと思います。軽い胃腸症状でも、血液中の「アセトン」を測定し、「異常だから点滴が必要」と言われているようですが、通常、小児科医は採血してアセトンは調べないと思います。他にもあります。
昨日も言った通り、医療には根拠のあることをするのが原則です。理論的に正しいことをやれば、症状は速やかに改善することが多いのです。見慣れない、「根拠なんてあるの?」という治療をされているケースもあり、当院がアレルギーに限らず、感染症に関しても正しい情報を発信していかなければならないと思っています。


