新潟県は広いため、上越市では先週が花見のラストチャンスだったようですが、また雪の残る地もあるようで、ネットで調べてみると開花も迎えていません。
私が福岡で勉強させて頂き、新潟に帰ってきた春は、3月中に福岡で桜が咲き、4月に新潟で花見と“2回”桜の季節を楽しめました。
それを考えると、恩師の退官記念講演会で福岡に行ったのが4月10日で、この時は満開から散りはじめでした。例年の10日以上花見のタイミングが遅れたのでしょう。
主な原因は、一向に来なかった春のせいだと思われます。寒暖の差も大きく、過ごしやすい日もあれば、肌寒く感じる日もありました。
この気候のせいか、感染症にも影響が出ているようです。感染症情報では、東北を中心にインフルエンザが再流行しているという話でした。上越でも、地域によってはインフルエンザBが猛威を振るっており、5月の声が聞こえるこの時期に「学級閉鎖」もあるし、「休校」の小学校もありました。また、なぜかインフルエンザAがメインに流行っている小学校もあります。
1月に流行り始めたインフルエンザA型は、情報によると新型インフルエンザという話でした。新型の特徴は、インフルエンザとしては弱い部類に入るため、タミフルなどの抗ウィルス薬が極めてよく効くという印象でした。最近のインフルエンザA型は情報がなく、新型なのか、季節性なのか分かりません。
B型は新型ではなく、いわゆる季節性なので、抗インフルエンザ薬の効果はイマイチのようです。2日程で熱が下がることもありますが、4日程熱がダラダラ出ることもあります。寒暖の差もあるのでしょうが、インフルエンザに罹患すると、ぜんそくのあるお子さんで調子を崩す子も見かけます。
更に、胃腸炎も流行しています。子ども達のために、なるべく点滴をしない方針の当院でさえ、嘔吐を繰り返し脱水に至っている患者さんには点滴をせざるを得ず、そういうケースが目立ちます。
調べてみると、ロタウィルスが検出されることもあります。ロタは、乳幼児がかかり、重症化するお子さんもいるイメージなのですが、6歳くらいで高熱、嘔吐で脱水になり、点滴が避けられないお子さんも目立ちます。
患者さんに説明する場合、ロタは胃腸炎の“親分”だと言っています。普通の胃腸炎だと、悪くなるのも早いが、短期間で改善することが多いのですが、ロタは“別格”だと思います。高熱も続きやすく、15回嘔吐し、10回下痢をして、点滴をしても改善なく、入院を余儀なくされたお子さんもいました。
ものすごく感染力が強いのが特徴で、勤務医時代にロタウィルス感染で入院したお子さんは、必ず個室に入って頂きました。同室の児に感染することもあり、院内感染は避けるべきだからです。
胃腸炎の患者さんを診た場合、便を検体として調べますから、下痢があれば、なるべくロタウィルスかどうか調べるようにしています。先程述べた通り、“別格”なので、兄弟にうつさないためにも、注意喚起として調べる必要があると考えています。
上越の感染症情報をみても、感染性胃腸炎などと書いてあるのみで、ロタウィルスの記載がない場合もあり、それでは分かりにくいし、患者さんへ注意を喚起していることにならないと思います。
確かにロタが原因であってもなくても、インフルエンザに対するタミフルのような特効薬がないため、調べても同じだったりするのかもしれません。でも、ロタウィルスという名前が特定されているというのは、重症化しやすいウィルスだからで、かかりつけ医から「お腹の風邪でしょう」と診断されても、何日も熱が続き、立て続けに何度も嘔吐すれば、不安になります。
乳幼児がかかりやすく、呼吸困難を起こしやすいRSウィルスを調べず、“風邪”などと診断している医院さんもあるようですが、RSウィルスが起こしやすい「細気管支炎」は、文字通り細い気管支に痰が詰まる病気で、酸素の取り込みが落ち、入院する確率のとても高い病気です。特効薬がないからと言って、原因検索をしないのは、努力不足と言わざるを得ません。熱が続き、何度も嘔吐や下痢がみられたり、赤ちゃんが痰がらみの強い咳がすれば、原因を特定する努力をするのが小児科医の役目だろうと思います。
いつも、ぜんそくを“風邪”、“マイコプラズマ”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”という診断し、治療して改善がないにも関わらず、診断や治療方針を変えようとしないのは不適切な対応だと繰り返しています。原因を特定しようとする気持ちが足りないと言わざるを得ません。感染症でも、原因をなるべく特定し、そういうウィルスが存在し、流行していますよ、と正しい感染症情報を流すのが、地元の小児科医のやるべきことだと思っています。
当院はアレルギーの患者さんが多く、他の医院さんよりは感染症の子どもが少ない傾向にあるとは思いますが、年々感染症の患者さんも増えてきて、それなりに正しい情報をつかんでいるつもりです。もちろん的確な感染症情報もあるのですが、中には正しくないと思われることもあるので、時々でも、感染症の情報も発信していかなければならないと思っています。


