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「死んでしまう」
2011年05月10日 更新

アトピーがあると、小児科か皮膚科に行くと思います。

鼻が出ると、小児科か耳鼻科に行く親御さんが多いのではないでしょうか?。咳でも耳鼻科に行く方もいるようですが、ちょっとどうかなと思います。

それは、ぜんそくがある場合です。耳鼻科の正式名称は耳鼻咽喉科で、文字通り「耳」と「鼻」、「咽頭」、「喉頭」が守備範囲であることを表します。「咽頭」はのどの奥の壁、「喉頭」はその更に少し奥で、「気管」よりは上です。

ぜんそくも正式名称は気管支ぜんそくであり、「気管」に病気の主体があります。一般的には、耳鼻科の先生の守備範囲ではないと思います。中には優秀な先生もいらっしゃるでしょうが、ぜんそくなのに、「鼻が気管に落ちて咳の原因になっている」と誤解している先生もいらっしゃるようです。

じゃあ、小児科が「気管」に詳しいかと言えば、そうでないことも多いようです。実は、ある小児科の医院さんに咳でかかっていて、“風邪”と診断されたいたんだけれど、良くならないので耳鼻科に行ったら「これは小児科の病気だ」と言われたそうです。多分ぜんそくを見抜いておられたようです。お母さんが「いや、これまで小児科の○○医院に行ってたんですけど」と言ったら、「別の(キチンと診断できる)小児科に行きなさい」と言って下さったそうです。本来は、専門である小児科医よりも耳鼻科の先生の方が知識が上回っていた訳です。

長引く咳の場合、耳鼻科や小児科を転々とする患者さんも時々目にしますが、ちょっと“たらい回し”になっているような気の毒な患者さんもいらっしゃいます。ちょうど「境界領域」とも言え、先程のように「小児科に行った方がいい」と言ってくれる耳鼻科医は稀のように思います。

当院で診ているぜんそくの患者さんが、鼻が気になりある耳鼻科に行ったら、当院の治療を必要ないと言われたそうです。私も普段食物アレルギーのことを中心に書いていますが、元々はぜんそく発作のために入院を繰り返す子ども達を何とかできないかと思い、福岡のアレルギー専門病院で研修させて頂きましたので、ぜんそくにはかなりこだわっています。聞き捨てならない言葉です。

その先生の“理論”は、「蓄膿症があり、鼻が気管に落ちて咳になっている。」というものです。つまり、ぜんそくではないと言いたげのようです。

ぜんそく発作時の気管は、気管が狭くなり、粘膜が腫れ、痰の分泌が増した状態になっています。例えが悪いかもしれませんが、サビた水道管を想像して頂ければ分かりやすいと思います。つまり、サビが内側に積もっていき、水の流れを邪魔してしまいます。つまりがひどくなると、水がチョロチョロとしか流れなくなります。

これを気管に当てはめると、気管の内側が狭くなり、更に痰がつまりそうになります。気管は酸素を体に運ぶ大事なルートですから、酸素不足になり、体にとって危機的な状況になってきます。

こんな一大事のときは、体が強い咳をして、溜まった痰を吹き飛ばそうとします。大人なら痰を切る咳払いをしますが、子どもには無理なのです。ただし、どんな赤ちゃんも、咳き込んで痰を吹き飛ばす反応が備わっています。

この咳を止めようとすることは、生体反応に反することになるので、それはいけません。私のこの患者さんに行っていた治療には抗炎症作用と、気管支収縮抑制作用があるため、要は気管支を広げて、呼吸を楽にするようにしていました。咳を無理に止めるようなことは一切していません。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーで困っている患者さんが初めて当院を受診されると、20~30分話し込むことも多いのですが、先程述べた通り、ぜんそくにも普通の小児科の先生の何倍もこだわりを持っているつもりです。この患者さんの親御さんへも、それまでぜんそくがあることさえ見逃されていましたので、ある程度時間をかけて、ぜんそくであることを説明した上で、私の選択した治療が有効であることを理解して頂いていました。

先日、この患者さんがいわゆるぜんそく発作の状態で当院を受診されました。ゼーゼー言っており、苦しそうです。ぜんそくは風邪などを引くと、それをきっかけに発作が誘発されることはよく経験します。

親御さんには、間違った考えを持って欲しくなかったので、「これって、鼻だけの問題だと思いますか?」と聞いてみましたが、「鼻の治療だけしていたら、死んでしまいます」と返事をして下さいました。

同じ病気をみても、医師によって判断が違ったりします。大事なことは、お子さんが咳が出て困っているようなら、咳の出る原因を突き止め、速やかに症状を止めることです。確かに鼻が落ちて咳長引くという「副鼻腔気管症候群」という病気は存在しますが、この病気の場合はぜんそくの治療が効かないのです。ぜんそくの治療をして有効であれば、ぜんそくがあると考えるのは自然ですし、私の目から見て典型的なぜんそくなので、なぜ私の診断にクレームを付けられたのか、よく分かりません。

足を引っ張るのではなく、小児科医や耳鼻科医が上手に連携して、お互いの得意分野を活かしながら地域の患者さんを守ることが求められているのだと思っています。