昨年11月に、市内の園の先生方を対象に感染症のお話をさせて頂きました。
最初、この話を頂いた時に「なぜ、私が?」と思いました。私の場合は、上越地区では唯一のアレルギー専門医の資格を持った小児科医のため、アレルギーの話を頼まれると思ったからです。
先日も、N市から「食物負荷試験」を希望された患者さんが当院を受診されました。今の医療は、根拠のないことをやるべきではないと言われています。アレルギー検査のみで食べられる・食べられないの判断はできないにもかかわらず、「食物負荷試験」が全く普及していないのは、とても不自然なことです。申し訳ないですが、その点に関しては、多くの医師が根拠のないことをやっているということになります。
私はどうか分かりませんが、アレルギー専門の先生を見ていると、真面目な医師が多いように感じています。ぜんそくやアトピー性皮膚炎で困っている患者さんをみたら、ガイドラインに沿って治療しようとするし、食物アレルギーでも少なくともこれまでの食生活を詳細に聞いて、何が食べられて、何が食べられないかを判断しようとしていると思います。決して“3分診療”で済ませようとはしないことでしょう。
食物アレルギーは、各人がアレルゲンが異なるし、どれくらいの量を摂取してアレルギーを起こすかも異なります。寛解といって、食べられるようになる年齢も異なります。つまり、個別に対応するという細やかさが大切です。
それだけ、真面目に医療に取り組んでいる人が、他の分野に関してもいい加減なことはしないと思います。感染症でも、キチンと診断し、治療しようとすると思います。例えば、ウィルス感染は抗生剤が有効ではないのに、抗生剤の点滴をするような筋の通っていないことはしないと思うのです。
実際、園児はいろいろな医療機関を受診しています。園の先生の話では、感染症にしても登園許可の基準が医師によってまちまちであったり、指導も結構異なるようです。そういった現実に、園の先生は対応に苦慮されているそうです。
私自身は、感染症に関してもなるべく根拠のあることをしたいと思っています。必要のない点滴や検査など、おかしなことをやって医院の収益を上げようなんて思ってもいません。そういった姿勢を評価されて、感染症の講演を依頼されたようです。有り難いことです。
それだけ期待されているのですから、根拠のある話をしなければいけないと思い、講演会の1ヶ月以上前から準備をしていました。間違ったことは話せないし、どうしたら分かりやすく伝えられるかを考え、参考になりそうな感染症の本も、このために10冊近く買い込みました。
巷で聞く近隣の感染症情報は、やたらとマイコプラズマが流行っており、一方昨年大流行していたRSウィルスが全く流行っていないというもので、納得できないと感じていました。特にRSウィルスは乳幼児が重症化しやすく、呼吸困難を来たし、入院の確率が高いので、RSウィルスについても解説の時間を割かざるを得ませんでした。マイコプラズマの根拠のある診断法や、なぜRSウィルスが調べられないかなどもお話ししました。
余談ですが、RSウィルスは毎年冬から春にかけて見られやすいのですが、大流行した昨年に比べ、今シーズンはかなり少なかったにもかかわらず、私の講演の後の感染症情報では、昨年の数倍のRSウィルスが報告されています。とても不思議な現象が起きているようです。
つい先日、ある園の先生から感染症の講演の打診がありました。昨年の私の話を聞いて、是非その先生の勤める園でも親御さんに聞いて欲しいと思って下さったそうです。ただ、土曜の午前中しか講演会を開催できないそうで、土曜の午前中と言えば診療があるので、遠慮から他の方に依頼されたそうです。
確かに、土曜は診療があります。ただ、土曜の午前中であっても必要と考えれば、休診にしてでも話しに出掛けたと思います。診療を休めば、その分医院の収入は減りますが、感染症に関しても、しばしば根拠のないことが行われているようなので、地元の医療レベルを上げるために、私でよければ話をしたい、いやさせて頂きたいと思っています。
今週の月曜にも書きましたが、幼稚園や保育園でも「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が出ました。近い将来、各園でも対応せざるを得なくなると思います。普通の小児科医でも、記入は難しいと思いますので、マニュアルを読んだくらいでは、対応はできないはずです。
ちなみに、8月は平日を休診にして佐渡に行く予定になっています。しょっちゅうだと困ってしまいますが、休診にしてでも行かなければいけないこともあると思っていますので、とりあえず遠慮なく声をかけて頂ければと思います。


