タカ アンド トシさんが司会をしているバラエティ番組に「コレってアリですか?」というものがあります。
小児ぜんそくは、治る場合と治らない場合があります。成人ぜんそくはまず治らないと言われていますので、是非とも子どものうちに治しておきたい、そう思っています。
最大のポイントが、その患者さんのぜんそくが重いか軽いかだと思います。つまり、重症度によって変わってきます。当然と言えば当然ですが、重症なら治りづらく、軽症なら治りやすいのです。
私のよくいうガイドラインには、重症度を見極める方法と、その重症度に見合ったお薦めの治療が載っています。まず、ぜんそくかどうかを診断し、その後に重症度を見極めます。
その重症度は、軽い発作か重い発作ということもあるでしょうが、日常生活に支障を来すような発作をどれくらいの頻度で起こすかで判断されます。ぜんそくは慢性の病気なので、アレルギー専門医ですと、「先月も発作を起こしたし、また近々発作を起こすようなら、今の治療では足りないので強化しないといけない。」と病気の“流れ”を見つつ、その患者さんに合った適切な治療法を見つけようとしています。
日頃から、ぜんそくを“風邪”や“マイコプラズマ”と誤診され、適切な治療をされていない患者さんが少なくないと繰り返していますが、医師の診断が間違っていて、ぜんそくを大人になっても持ち越してしまったら誰が責任を取るのだろう?と思っています。
子どものぜんそくは5~6割しか治らないというデータもありますので、中には「どうせ治るから」と言っている小児科医もいますが、それが正しくないことが分かります。それだけ高率なので、きっと私が診ていても大人にぜんそくを持ち越す患者さんもいらっしゃると思います。ただ、私はどの患者さんも100%治すつもりで治療に取り組んでいるつもりです。
当院で診ている患者さんで、ぜんそくの治療を受けているお子さんがいました。数ヶ月前にもぜんそく発作で受診しており、要注意だと思っていました。その後、受診がなかったので、落ち着いているものと思っていましたが、先日ゼーゼー言って受診されました。
前回から時間が少し空いていたので、「この間は調子は良かったの?」と聞いてみると、市内の某耳鼻科でぜんそくの薬を出してもらっていたとのこと。それを聞いて、驚きました。
数日前にも書きましたが、耳鼻科の正式名称は耳鼻咽喉科であり、「耳」と「鼻」、「咽頭」、「喉頭」の専門家であり、喉頭より下の「気管」は専門外となります。ぜんそくをある程度勉強している先生もいるかもしれませんが、私が日頃から言っている小児ぜんそくのガイドラインを熟知しているとは思えないのです。これは小児科というか、小児アレルギー専門医の役割分担だと思います。
鼻で某耳鼻科を受診した際に、当院の薬を“親切”にも出してくれたそうで、それが当院に来ていない間に何度かあったそうです。1週間ほど薬が出て、飲み切っては悪化することを繰り返していたようです。
ぜんそくは、繰り返しますが慢性の病気なので、発作を起こしやすい状態に陥ると、薬が切れるとまた発作を起こしてしまいます。中途半端な治療をすべきではありません。親御さんは、鼻の治療のついでにぜんそくの薬を出してもらえるので、「よかった」と思われていたようですが、当院の立場からすると、先程述べたぜんそくを診る上で重要な“流れ”をみることができず、治療を強化することさえもできませんでした。
既に他の医師がその病気について継続的に診療している時は、その医師に任せるという暗黙のルールがあります。患者さんが前医に見切りを付けて、受診されている場合は患者さんがどこで治療してもらうか決めるべきだと思いますが、ほとんどが通院先を当院に切り替えて下さっているように思います。
開業医は、患者さんを大勢集めて、短時間に診れば収入が上がります。暗黙のルールを破る医師もいてもおかしくはありません。実際、当院にかかっている患者さんに、4回も乳児検診に来なさいと電話をしてきた小児科の医院さんもあるくらいです。
私の専門分野であっても、私よりも確実に症状を改善してくれるのであれば、いくらでも紹介しまししょう。ただし、いい加減な気持ちで、同じ薬を出して終わり程度のやり方では患者さんに迷惑をかけてしまいます。患者さんには“親切”な医師に見えていてもです。
日頃から見ていると、慢性疾患に責任を持って医療をしてる医師が少ないのではないかと思ってしまいます。ぜんそくやアトピー性皮膚炎の診断も的確に行われておらず、症状が良くなっていなくても、お構いなしで同じ薬を出し続けられています。食物アレルギーもアレルギー検査だけで「食べないように」と診断し、食物負荷試験をやっている当院にまず紹介はないのです。
私の場合、アレルギー以外の分野で自分にはちょっと荷が重い、責任を持って診療ができないと思えば、その道の専門医に紹介状を書いています。細分化した医学の現状でそれがある意味、「プロ」なんだと思います。
医院にとっては患者が減ることになるので、収入の上では損になるのでしょうが、それを「損」と考えた時点で、良心的な医療はできなくなります。逆に、程度によっては“悪質”となると思えます。今回のケースも、私の立場からすれば安易な気持ちで、同じ薬を出しているように感じており、「コレってアリですか?」と思ってしまいます。
これは別の患者さんから聞いたのですが、私から見ればぜんそくとすぐに気付く患者さんに某耳鼻科でシングレアという薬が延々と処方されていたそうです。時々強い咳き込みが見られるため、お母さんがしびれを切らして「先生、もう少し効く薬はないですか?」と聞いたところ、「お母さんが神経質だから、病気が治らないんだ」と言われたそうです。
「コレってアリですか?」。


