少し前ですが、ぜんそくの10代の患者さんが、それまでかかっていたところから当院を頼って受診して下さいました。
症状はかなり悪い状態でした。既にかなりの治療をしていたのですが、夜間も咳き込んで起きてしまうなど、日常生活に影響を及ぼす程でした。
頼られれば、自分の持てる技術を駆使して何とかするのがプロだと思います。ぜんそくを治療して良くならない場合は、気道感染が足を引っ張っていることがあります。発熱があれば分かりやすいのですが、熱を伴わないことすらありますから、「何かおかしい」と気を回さなければなりません。
マイコプラズマやクラミジア肺炎、百日咳などが誘因になることが多いと思い調べてみましたが、残念ながらどれも陰性でした。
以前も書きましたが、日常生活が遅れない程に症状が重いと、入院して一旦症状を改善させ、外来治療に持っていくのが望ましいと思います。折角、期待して当院を受診して下さったのですが、やむを得ないということで、ある医療機関に紹介することにしました。紹介状には、ぜんそくにプラスαがあって症状が改善しないと思われると書きました。そのプラスαが分かれば知りたいと思いました。今後の私の診療にも役立つと思ったからです。
私も相当に気になっていましたが、その後どうなったのか情報はありませんでした。退院したら、また戻ってきて下さると思っていたのですが、ずっと受診はありませんでした。この地区には小児科でアレルギー専門医は私しかいませんので、それなりに専門的な知識や技術は持っているつもりですが、それ以上の治療ができて、患者さんを「元通り」にしてくれるのであれば、それは患者さんにとってはベストだろうと思っています。
ちなみに、この患者さんはウィンタースポーツに熱心に打ち込んでいました。ぜんそくが悪化すると「運動誘発ぜんそく」が見られやすくなります。このお子さんも例外ではなく、運動すると呼吸苦が出てしまい、スポーツどころではなくなっていたのです。
何ヶ月も経って、当院を訪れて下さいました。紹介状の返事には、当院で検査した時は陰性であったクラミジアが陽性で、治療したら劇的に改善したように書いてありました。肝心の日常生活が取り戻せたかということに関しては、運動誘発ぜんそくがでてしまい、運動ができていない状態でした。あいにく「元通り」になっていなかったのです。
この患者さんは、いわゆるアスリートで、ウィンタースポーツでは学校の先生からも期待されていたそうです。それが未だにできないとなると、問題です。結局、外来治療が困難と判断し、治療をお願いしたので、文句を言える立場ではないのですが、スポーツを含めて「元通り」になることが治療の目標のはずです。
紹介状の返事の診断のところには、慢性咳嗽と書いてありました。慢性咳嗽とは、咳が慢性的に続くという意味で、私のしていたぜんそくの治療が中止されていました。経過を見れば、ぜんそくは明らかだと思うのですが…。敢えて言いますが、もう少し「元通り」になることを意識して頂きたかったと思っています。呼吸器内科の先生にアドバイスをもらうなどはできたと思うのです。
入院して睡眠障害で夜に眠れないなどの症状が取れたのはありがたいのですが、クラミジアの影響が何ヶ月も残っているとは考えづらく、いろいろ考えながら治療をしていかなければなりません。
今まで何人も難治なぜんそく患者さんを診てきましたが、今回のケースは難しいように感じています。もしかしたら、昨日の話のように実際にスポーツをさせてみて、ぜんそく発作が誘発されることを証明しなければならないのかもしれません。
患者さんには、ウィンタースポーツに戻って頂きたいと思っています。それができず、辛い思いをさせてしまい、申し訳なく思っています。また治療のし直しになってしまいましたが、何とかしたい、しなければならないと思っています。
「元通り」の生活を取り戻すために、日本の第一人者の先生方に相談しながら、取り組んでいかなければならないと思っています。


