小児科 すこやかアレルギークリニック

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2011年06月14日 更新

先日、初診の患者さんが当院を受診されました。

アレルギーで困って、当院を頼りに受診されたのですが、その際、周囲のお母さんからアデノウィルスやRSウィルスの話は聞くけど、これまで行っていた小児科ではそんな話を聞いたことがない、とおっしゃっていました。のどに膿が付いていると言われ、点滴に通ったけれど、何日も熱が下がらなかったこともあったそうです。

この話を聞いて、熱の原因はアデノウィルスだったのかもと思いました。のどに膿がつく、高熱が下がらない、抗生剤の点滴を繰り返しても効果が見られない、ということですと、アデノウィルスが充分に疑える状況です。私ならアデノウィルスを調べたことでしょう。実際、この患者さんは、その後に目が赤くなってきて、眼科に行ったらアデノウィルスが原因であることが判明したそうです。

いつもこの場でアレルギーの話を書いていますが、もともとは子どもが好きで小児科を選びました。子どもが熱が続く場合は、親御さんは不安になります。

その不安を取り除く方法は、熱の原因を明らかにすることです。インフルエンザならタミフル、溶連菌なら抗生剤が著効します。しかし、他の疾患については薬の飲み始めて1~2日であっさりと解熱するような特効薬はないのだろうと思っています。

例えば、先のアデノウィルスは、必ずしものどに膿がつかないので、いわゆるのど風邪と区別がつきにくい場合がありますが、充分に疑える状況では、のどを綿棒でこすって、それを検体にすれば簡単に調べられますので、調べるべきでしょう。

“べき”とまで書いたのは、アデノウィルスはすぐに熱が下がることが期待できない病気だからです。平均で4~5日続くと言われており、のどが痛いせいで固形物を摂りにくくなります。特に小さいお子さんが5日も熱が続けば、親御さんは相当に不安のどん底に陥れられます。

私なら、どういうかと言うと「アデノウィルスが出ましたので、熱が5日くらい下がらないと思います。それが過ぎれば解熱し、元気になるでしょうから、気合いと根性で乗り切って下さい」と言っています。

患者さんは、“抗生剤は効く”ものという先入観をお持ちの方が多いと思いますが、ウィルスには全く効きません。ですから、アデノウィルスで熱が続いているお子さんに抗生剤の点滴を繰り返すことは意味のないことです。

でも実際には、アデノウィルスを調べれば無駄な治療は避けられるのに、調べもせずに抗生剤の点滴を繰り返されている子ども達は多いと思います。調べない医院さんは、細菌性の扁桃炎と思い込んでしまっているのだと思います。

RSウィルスも、これまた高熱が続くことが多く、私の経験の最高は10日間熱が続きました。ここまで続くと、親御さんも生きた心地がしなかったことでしょう。もちろん、入院して頂きましたが、入院してもすぐには熱は下がりませんでした。

親御さんを安心させるために、高熱の続く原因を調べなければなりません。ところが、検査費用が医院の持ち出しになることもあり、調べない方針の医院さんもあります。いや、調べない医院さんの方が圧倒的に多いと思います。

タミフルが出る前は、インフルエンザにかかると「5日くらいは熱が続くことを覚悟しておいて下さい」なんて説明していましたが、今は比較的速やかに解熱します。逆に私の思いつく、高熱の続く病気はアデノウィルスとRSウィルスです。ウィルス感染症であり、特効薬がないのが共通点です。

乳児がゼーゼーすれば、RSウィルスを疑うのが、私は当然だと思いますが、マイコプラズマと言って抗生剤の点滴を繰り返す、ビックリするような“治療”をしている医院さんもあります。これも思い込みなのか、戦略なのか、よく分かりません。

このアデノウィルスやRSウィルスは、小児科専門医にかかっていても調べられずに、熱が続くことを理由に抗生剤の点滴を繰り返されていることが少なくないのです。

高熱が続けば、単なる風邪でない可能性が高まる訳ですから、神経を研ぎすまし有名な病気、医院でも診断を確定できるような病気を疑い、積極的に調べるべきだと思います。熱が続いても、それが病気の特徴だと分かれば、不安も軽減できると思います。私は、それがかかりつけの患者さんの期待に応えるということではないかと考えています。

最近は感染性胃腸炎は減ってきましたが、その一部により症状が激しいロタウィルスが混じっていました。決して頻度は多くはなく、あくまで一部です。上越の感染症情報で、胃腸炎が流行っていて、その多くがロタウィルスと思われると言っている医院さんもありますが、マメに調べている当院の印象では、決してそうではないと思います。「ロタウィルスが多いと思われる」では情報としては不確かと言えます。

ロタウィルスも高熱が続くこともありますが、繰り返す激しい嘔吐、下痢が特徴です。普通の胃腸炎とは訳が違います。強い脱水症状を起こすので、子どもがかわいそうだから不必要な点滴をしない方針の当院でさえ、ロタウィルスが検出された患者さんの多くに点滴が必要でした。一方、普通の胃腸炎のほとんどには点滴は必要ありませんでした。ですから、ロタウィルスかそうでないかを確定することは、患者さんにとっても大きな意味のあることです。

自分の都合で、調べられるものを調べないのは、私には理解できません。原因を確定しようと調べることで、自分の診断能力を上げることができ、高熱が続く原因を患者さんに示すことができます。

いろんな方針の医院さんがあり、患者さんに与えられる情報が多かったり、少なかったりしています。アデノウィルスやRSウィルスは、小さい子を持つ親御さんが知っておくべき病気だと思っています。また、患者さんの症状を改善させる点滴なら歓迎ですが、理論的に正しくない点滴は患者さんにとっては大して意味があるとは思えないのです。

上越では、マイコプラズマではないのに、マイコプラズマと言われ、点滴を繰り返されている患者さんも多いのも事実です。近々行なわれる食物アレルギーの講演の際に、本当はこういった感染症についても医療機関によって差があることも触れたい気持ちもあります。ただ、それにより食物アレルギーの話をする時間が減っては本末転倒になってしまいます。

折角、講演の場を与えられた訳ですので、少なくともアレルギーや感染症など、医療についてよく考えて頂く場にしたいと思っています。