小児科 すこやかアレルギークリニック

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名前が出ましたね
2011年06月21日 更新

以前、ある石けんを使用したことが原因と思われる小麦アレルギーが、成人の間で急に広まったことについて触れたことがあります。

実は、メーカーの働きかけで、少し前に自主回収となりました。ネットニュースでも名前も出ていましたので、ここでも出しますが、「あなたの肌、諦めないで」の「茶のしずく石けん」です。

報告によると、茶のしずく石けんを使い始めて、数ヶ月から数年して小麦アレルギーを発症するようです。小麦を食べた時に、目や顔のかゆみや目の腫れなどの症状が出るそうです。特に小麦を食べて、運動した時に、例えば昼食にパスタを食べて、その後ジョギングやテニスをしたりすると、強いアナフィラキシーを起こすこともあります。これを食物依存性運動誘発アナフィラキシーといいます。場合によっては、呼吸困難、血圧低下など強力な症状を来すこともあります。

2009年くらいから、30代くらいの女性が小麦によるアナフィラキシー症状を起こして、アレルギー専門病院を受診されるケースが目立ってきていたようです。不思議なことに、これまでも小麦製品は食べていました。急に小麦アレルギーを引き起こしてしまったのです。最初は何が起きたのか分からなかったそうです。

次第に、それらの患者さんの共通項が明らかになってきました。ほぼ全員が女性で、茶のしずく石けんを使っていた人ばかりだったのです。石けんの中に小麦が入っているなんてと思うかもしれませんが、「加水分解小麦」が入っているそうです。それが小麦アレルギーを誘発しているのだと徐々に判明してきました。

石けんで顔を洗うと、皮膚や目、鼻の粘膜に小麦成分が入ることになり、毎日の洗顔で塵も積もれば山となるという感じだと思いますが、徐々に小麦アレルギーを起こす準備ができていたのだと思います。

最近、食物アレルギー専門医の間で注目されている理論があります。「経皮感作」と言われるものです。

人間は、食事を摂らなければ生きていけません。本来、食べ物は体にとっては異質なものです。人間の体は“よそ者”に対して、拒絶反応を起こします。しかし、その辺はうまくできているのですが、食べ物だけは拒否反応を起こさず、栄養になります。つまり、受容というか寛容してしまうのです。一方、皮膚から侵入した場合は“よそ者”として、受け入れずに拒否反応を起こしてしまいます。

今回の茶のしずく石けんに含まれた加水分解小麦も、皮膚や粘膜から侵入し、よそ者扱いされる敵と認識されてしまったのでしょう。パンや麺類を食べることで、アレルギー反応を起こすに至ったということです。

これは、最近注目されている「経皮感作」を後押しするものかもしれません。ついでに言えば、重症なアトピー性皮膚炎では、皮膚の状態が悪ければ「経皮感作」を起こし、食物アレルギーを増やす可能性があり、皮膚症状を速やかに軽快させた方がいいと言われています。

今のところ、全国で67名の患者さんが確認されているようですが、これだけではないでしょう。食物アレルギーは、内科の先生で詳しい先生は非常に少なく、小麦アレルギーと気付かれない可能性も充分考えられます。

また、以前から小麦は食べられていたため、小麦アレルギーと診断されていない可能性があります。アレルギー検査をしても小麦の項目が陰性のこともあるので、小麦アレルギーと特定されていない可能性もあるでしょう。仮に小麦が原因と特定できていても、茶のしずく石けんとの関連も知っていなければ、気付かれないことでしょう。

テレビでもコマーシャルは頻回に流されており、売り上げも多かったでしょうから、患者さんはまだまだ増えるものと思われます。実は、当院で診ているお子さんが、小麦でアナフィラキシーを起こし、茶のしずく石けんを使っていたので、これが原因しているか可能性を考えているケースもあります。

今回の内容を読んで、当院のお近くで、気になった方は相談に来て頂いて構いません。当院は、基本的に大人の喘息やアトピー性皮膚炎の患者さんを診ていません。それには理由があって、私は小児科医であり、アレルギー専門医であるため、アレルギーの子どもを治療するのが目的です。もし風呂敷を広げて、大人のアレルギーを診るようになると、今でさえ時間が足りないのに、更に私の診るべき子ども達を引き受けられなくなります。医院の経営の上では手広く診るのがいいのでしょうが、それが目的はないのです。

この件に関しては、キチンと対応してくれる内科や皮膚科も少ないのではないかと考えておりますので、例外的にお引き受けしようと思います。心配な方はご連絡頂きたいと思っています。