小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

ピーナッツ負荷
2011年06月28日 更新

食物アレルギーは、卵や牛乳が頻度的に多いのですが、魚や甲殻類、ソバ、ナッツ類などでも起こり得ます。

卵や牛乳は治る可能性の高いアレルゲンですが、いま挙げたアレルゲンは成人に多く、治りづらいと言われています。しかし、100%治らないかと言えば、そうとは言い切れません。

ソバやピーナッツは強い反応を起こす可能性があるということで、怖くて食べさせたことがないとおっしゃる親御さんもいます。アレルギー検査の数値が下がってきたりすると、「食べられるようになったのでは?」と考え、これらの食品も食物負荷試験の対象になったりします。

先日、来年小学校に上がる予定のお子さんが、これまでピーナッツを除去しており、学校で給食に出るため、今のうちに食べられるかどうか確認したいと相談を受けました。ピーナッツのアレルギー検査の値はクラス3でした。

こういう場合、まず皮膚テストをやっています。結果は陽性でした。しかし、結局は食物負荷試験をやらなければ、食べられるかどうかの結論は得られません。ピーナッツはアナフィラキシーを起こす可能性もあり、負荷試験をやるなら慎重にやるべきです。

ピーナッツの負荷試験の合格ラインは、10粒とされることが多いと思います。10粒を目標に負荷試験をやることにしました。一度に多く食べさせて、強い症状を起こしては困るので、少量から進めていきます。

意外と症状は起こらず、結局10粒食べました。食べ終わって、少し様子をみても何も症状が起こらなければ、ピーナッツは食べてよいということになるのですが、実は徐々に症状が起きてしまいました。

鼻詰まり、腹痛、下痢が出て、少ししてから蕁麻疹が体に出てきました。強いアレルギー症状が出るかもしれず、いつでもボスミンという「エピペン」と同じ成分の注射薬を用意していました。症状の進行がゆっくりだったので、まずステロイド薬の内服を行ないました。これは幸いと言うべきですが、それ以上の悪化は見られませんでした。

食物アレルギーの専門医と言いながら、卵や牛乳だけの負荷試験をやるだけでは中途半端と言わざるを得ず、成長とともにアレルゲンは変化してきて、増えてくる甲殻類、魚類、ナッツ類、果物などの負荷試験も、それほど多くないですが、実施しています。

「ナッツくらい食べなくても困らないでしょ」と言って除去を指示する医師もいるようですが、食物アレルギーの治療の大原則は「必要最小限の除去」です。当院では、ピーナッツでアナフィラキシーを起こしても、クルミやカシューナッツは実際に食べて何ともないお子さんもいますし、クルミで強い症状を引き起こしても、ピーナッツは除去する必要のないお子さんもおります。

ナッツ類にアレルギーがあっても、ナッツ類でみな同じように症状を起こす訳ではないのです。ですから、一括りに、ナッツ類除去という指示はやり過ぎである可能性があるのです。結局は、慎重な態度は必要ですが、食物負荷試験にてシロクロをつける必要があります。

これまで、ピーナッツの負荷試験では症状の出ないお子さんが多かったのですが、今回アレルギー症状が誘発されてしまいました。10粒食べたのは食べたのですが、結局症状が出てしまったので、除去の継続と言うことになりました。

症状は出ないに越したことはないのですが、またしばらくの間はピーナッツの除去が必要であることが証明されました。別の患者さんでは、ピーナッツの検査結果がクラス2でしたが、食べて何ともないことを確認し、園や学校で除去の必要がないことを確認できたケースもあります。

「ピーナッツを食べさせるのは危険」という考えや、アレルギー検査が陽性だからという理由で除去を指示するのは、根拠がうすいと言わざるを得ません。もしかしたら、医師からそう言われていても、食べても何も起きないかもしれません。ただし、検査の数値が高過ぎると、食べられないことが多いようです。

確かに卵や牛乳と違い、治りにくいアレルゲンなので安易な負荷は危険を伴うことがあるかもしれませんが、数値も低く、医師の「除去しておいた方が無難」という考えだけなら、負荷試験をやってシロクロを付けた方がいいのかなと思っています。

過去にピーナッツでアナフィラキシーを起こしたことがあるなら、私自身も慎重になりますが、食べたことがなければ、もしかしたら解除できるかもしれません。同じナッツ類なら交差反応性と言って、似た成分が含まれるなら同様にアレルギー症状が出る可能性もありますが、同一ではないので食べても何ともないかもしれません。

ピーナッツが食べられないから、あれもこれもダメではなく、冷静に負荷試験で評価する必要があるのではないかと思います。ナッツ類を全て除去している方はご相談頂きたいと思っています。