小児科 すこやかアレルギークリニック

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もったいない話
2011年06月30日 更新

昨日、成人ではよく使われる「アドエア」というぜんそく治療薬が、小児でも使われているケースが増えてきたことをお話ししました。

ぜんそくでもないのに、こういう薬が処方されているのを見ると、本当にガッカリします。医師の責任って何だろうか?って思います。言い方は悪いですが、場当たり的に薬を出している医師もいると言うことを表しているのだと思います。

仮にぜんそくであっても、アドエアには使う順序というものがあります。これは私のよくいうガイドラインに明記されています。ガイドラインを理解していれば、どの小児科にかかっても、同じように処方されるはずなのですが…。

ぜんそくは、軽ければ軽症の、重ければ重症の治療になります。本当に軽ければ、薬の連用は必要ないと思います。しかし、ぜんそくは慢性の病気なため発作を繰り返すことが多いのです。ある程度の頻度で発作を起こせば、その都度、苦しくなり、咳き込みも強いので予防が必要になります。

順序はこうです。軽ければ、オノンやシングレアといったロイコトリエン受容体拮抗薬といった抗アレルギー薬で治療を開始します。それでも症状を抑えきれなければ、フルタイドなどの吸入ステロイド薬の適応となります。

ぜんそくも重い人はめっぽう重く、吸入ステロイド薬を使ったからと言って、症状をピタリと止めることはできません。その場合に、吸入ステロイド薬の量を増やすことになります。それでもイマイチなら、アドエアの出番となります。

これをみても分かる通り、アドエアを使うまでにはいくつかのハードルを越えて、ようやく出番となることが理解できます。それをいきなりポンと処方するのは、「?」マークがつくと思います。

ただ、当院を初めて受診された患者さんに「これはアドエアを使った方がいいな」と考え、初っ端から処方することがあります。もちろん、ぜんそくが重いと診断され、運動してゼーゼーしやすいなど、日常生活に制限が大きい患者さんに限ります。

いつも医療は、なるべく根拠のあることをやるべきだと言っています。

アドエアには、気管支拡張薬が配合されています。重いぜんそくの患者さんは、発作を繰り返すことで気管支にダメージが起こっています。その結果として、気管支が厚ぼったくなって、気管の内側が狭くなっていることもあります。こういう患者さんは、ガッチリ治療しないと大人になってもぜんそく発作で悩まされることが多いのです。

実は、発作を起こしていない状況で、気管支のダメージを図る方法があります。それが「肺機能検査」です。専門医はよく使っていますが、そうでない先生はまず行ないません。逆に、肺機能検査をやっている医師が“ぜんそくを分かっている”と言っても過言ではないでしょう。

非発作時でも気管支が狭くなっていれば、運動した時など相当に発作を起こしやすくなります。いつ発作を起こしてもおかしくない状況にあるので、常に気管支をこじ開けておかなければならないことになります。そう判断されれば、アドエアを使った方がいいのです。

発作時に行なうメプチン、ベネトリンという吸入薬は数時間で効果が切れてしまいますが、アドエアに含まれる気管支拡張薬は“長時間作動型”といって、言わば1回吸うと12時間効くので、1日2吸入することで、気管支を“こじ開けておける”のです。

小学生高学年、中学生、高校生で肺機能が悪く、実際に発作を起こしやすい患者さんには、初診であってもアドエアを処方しています。2回目に受診された時に必ずやっていることがあります。肺機能検査です。

肺機能検査も悪いから、アドエアを使って治療を始めた訳です。治療してまもなく効果が出てきます。運動しても苦しくなくなってきたなどの改善がみられるはずですが、と同時に悪かった肺機能も改善することが多いのです。

重いぜんそくの患者さんには、肺機能検査をやることで“見えてくること”があります。

最近、学校検尿で血尿や蛋白尿を指摘された患者さんが時々受診されますが、学校で体育の時にゼーゼー、ヒューヒューしやすいお子さんに肺機能検査をやれるようなシステムが作られることを望みます。

肺機能検査を行なうことで、思っている以上に“重い”患者さんが見つかることもあります。使わなくていい患者さんにアドエアを使うのでなく、重い患者さんというか、そういう治療の必要な患者さんに使うべきです。

小児ぜんそくの適切な治療につながる肺機能検査を一部の専門医のためのものだけにしておくのは、もったいないことだと思っています。