先日、魚類、甲殻類、軟体類、貝類を合わせた魚介類をすべて除去している、という患者さんが受診されました。
以前、他の小児科でアレルギー検査で数値が高かったために、すべてを除去しているそうです。
患者さんにしてみれば、医師の言うことは“絶対”です。ただ、この場でいつも指摘しているように、医師の言うことは全然“絶対”ではないと思います。ましてや食物アレルギーとなると、小児科医の言うことはかなりバラツキがあり、根拠が薄かったりします。結果として、食べられるものを一生懸命除去している患者さんも少なくないのが現実でしょう。
申し訳ないですが、この患者さんに関しても、「すべて除去する必要があるのだろうか?」と思っています。
まず、アレルギー検査をさせて頂きました。アレルギー検査は一度に調べられる項目数が決まっているため、その範囲内で魚類、甲殻類、軟体類、貝類を選んで検査してみました。結果は、クラス2以上が陽性とされますが、見事と言っては失礼ですが、すべての項目が陽性でした。
専門でない先生であっても、卵や牛乳は治りやすく、魚類、甲殻類、ピーナッツ、ソバなどの成人に多いアレルゲンは治りづらいことは理解していると思います。では、調べた項目すべてが陽性という結果を踏まえて、これらをすべて完全に除去しないといけないかと言われれば、やってみなければ分かりませんが、私は「ノーだろう」と考えます。
一般的に、魚の場合、抗体価(クラス2とか3とか書いてある隣の数値)が20以上なら食べてみると症状が出る可能性が高いと言われています。実は、今回の患者さんは魚は20以下になっていました。であれば、私のよく言う「食物負荷試験」の適応となります。
申し訳ないですが、専門でない医師は「検査がすべて陽性だから、除去しなさい」となるでしょうが、「食物負荷試験」のできる専門医だと、「食べてみないと分からないから、負荷してみましょう」となると思います。
負荷試験に当たり、プリックテストと言われる皮膚テストもやってみました。腕にいくつかの魚のエキスを垂らし、そこを小針で傷を付けます。その傷からエキスが染み込み、アレルギーがあれば、そこが蚊に刺されたように腫れるという検査です。
結果は、調べた魚11項目は、全部腫れました。魚に対して過敏であることを示しています。もしかしたら、負荷試験で症状が誘発されてしまうかもしれません。ただ、疑陽性と言って、皮膚テストで腫れても、食べても何ともないこともあります。結局は、やはり負荷試験をやってみなければ分からないのです。
私には秘策があります。専門医の間では常識なのですが、魚は缶詰だと抗原性はかなり低下していますので、食べられる可能性があると考えています。学校では魚のダシも除去しているようですが、ダシまで除去が必要なのは相当重症な魚アレルギーの患者さんだと思います。
小学生にもなると、「魚は食べられないもの」という頭があるでしょうから、そうではないことを示し、自信をつけてもらわなければなりません。刺身や焼き魚は無理でも、抗原性の落ちた缶詰、干物、練り製品辺りは何とか食べてもらいたいと思っています。いや、是が非でも食べて頂きたいと考えています。


