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これでいいのかっ
2011年07月11日 更新

先日、某県で夜間に交通事故にあった患者さんが、12の病院に断られ、搬送に2時間半もかかり、最終的に亡くなるということがあったとニュースで取り上げられていました。

記事によると、事故があったのが22時過ぎなので、どの病院も救急外来での対応となると思います。気になったのが、12病院のうちの8カ所が断った理由として「専門医がいない」ことを挙げていました。

事故の詳細がよく分かりませんが、ここでいう専門医というのは整形外科、頭を打ったのなら脳外科、内臓損傷なら外科かなと思います。大きな病院なら、これらの科の医師がいないとはちょっと考えづらいのですが、「専門医がいない」というのは夜間だったら、不在なのは当たり前だと思うのです。

私も勤務医時代は、当直の先生が小児の患者さんを診てくれて、対応が難しいと判断すれば、病院から連絡が来るシステムになっていました。医師が複数いれば、当番制になっていて、呼び出しのある日とない日になっています。私が当番の日は、暑いとビールでも飲みたくなりますが、飲まずに自宅待機していました。

他の病院のシステムがどうなっているのかは分かりませんが、「専門医がいない」という意味が、本当に人材不足でいないのか、夜間なので各科の医師が自宅に帰っていて不在なのかを明らかにしなければならないと思います。

ちなみに、「専門医がいない」という以外の理由は「処置が困難」だったそうです。これも整形外科や外科の医師がいる病院であれば、断る理由としては弱い気がしています。例えば、既に受診している患者さんを緊急手術中というのであれば、手薄になっていますので、受け入れたくても断らざるを得ないと思うのです。

各病院の事情を確認しないといけないのですが、最近は、こういう受け入れ拒否とも捉えられかねない対応が時折ニュースで取り上げられています。以前も、妊婦さんでもこういう事態があったと思いますが、結局繰り返されてしまっています。本当なら、再発防止をして、救える命は救うようにしなければならないはずです。

地方なら、当番病院が決まっていて、どんな患者さんでも受け入るのが原則と決まっているので、拒否されることはまずないと思いますが、都会の場合は病院が多いでしょうから、万が一でも「うちが断っても、どこかの病院が引き受けてくれるのだろう」と思っているのであれば、それは「ちょっと違うだろう」と思ってしまいます。

医師は夜間に呼び出され、仮に緊急手術で夜に一睡もできていなくても、翌日も休めないことが多いので、「夜くらい休ませてくれ」ってことかもしれませんが、夜間にも病気になったり、事故は起き得ます。以前も、こういう事態をある政治家が“医師のモラルの低下”と言って問題になったことがあります。

医療は、どこか自己犠牲というか、患者さんのために尽くさなければならない部分を持っており、通常よりは高い“モラル”が求められるのかもしれません。自分の身を削って夜も働いている医師にしてみれば、“モラルの低下”なんて言われては、たまったものではないでしょう。キチンと検証しておく必要がありますが、場合によってはそう言わざるを得ないケースも存在するのかもしれません。

私は今は上越市で診療してますが、それまではいろんな地域の病院で診療してきました。小児科に限らず、いろんな医師のいろんな医療に触れてきました。敢えて言いますが、“モラルの低下”と感じてしまうような医療を目の当たりにしたこともありました。

子どもが鼻水を出すと、小児科もしくは耳鼻科を受診されると思います。一番ビックリしたのが、生後4ヶ月のお子さんを「蓄膿症」と診断し「治療に何年もかかるから、週に2回は通うように」と説明されていた患者さんを診た時です。蓄膿症は、「慢性副鼻腔炎」とも言われ、“慢性”に経過する病気です。産まれたばかりの赤ちゃんに、慢性の病気だと診断する根拠はどこにあるのでしょうか?。少なくともこのケースは、「病気を作り上げている」と言わざるを得ないのです。

本物の蓄膿症であっても、抗生剤を2~3ヶ月継続して内服すると70%軽快するという治療法があります。私もこの治療の効果は確認しています。蓄膿症は「膿がたまる」と書くので、菌をやっつける抗生剤を使うのは理にかなっています。にもかかわらず、抗生剤を使わずに何年も吸引に通わせる医院さんも存在するようです。有効な治療を行なわないのは、何故だろうかと思っています。

マイコプラズマに単独でかかってもゼーゼーはしないのに、マイコプラズマと診断して、点滴に何日も通わせる医院さんもあります。当院ではマイコプラズマを疑っても、点滴はしたことはまずありません。内服治療で充分に効果の得られることが多いからです。そもそも、点滴治療をしても効いていないケースが多いようなので、やはり「病気が作り上げられている」という印象が拭えません。

私は、医師は患者さんに対し、最短距離で病気を治す努力をするものだと思っていました。ところが、一部で病気を作り上げたり、治る治療を選択しなかったり、やたらと点滴などの処置が多く、頻回に通院させているとしか思えないような“医療”を目にします。

この場でも取り上げたことがありますが、病気をでっち上げて、心臓のカテーテル検査をしたり、不要な手術を行なったり、激安をうたい、レーシックという眼科手術を不衛生のまま大勢行ない、目の感染症を起こさせたり、整形外科で作り置きの痛み止めの点滴をして感染症で死亡させたりと、明らかな儲け主義で、明らかにモラルから外れた医療をしている医師も存在しています。

医療は、私がよく言うようにいろいろな病気にガイドラインが作成されています。副鼻腔炎のガイドラインには先に紹介した7割効く治療法が記載されており、ぜんそくのガイドラインには「ゼーゼーを繰り返せはぜんそくを考える」と書かれています。医学的根拠(エビデンス)のあることをすれば、だいたいは有効と思います。エビデンスのないことを繰り返す医師もいるような気がしてなりません。

当院は、特にアレルギーのガイドラインを広めたいと願っています。ガイドライン通りの医療を受けていなかった患者さんに、一通りの説明が終わった後に、「各医院さんがガイドラインに沿って医療をしていれば、うちに来る必要はなかったと思います」と言うようにしています。医師によって治療が異ならないように作られたのが、ガイドラインだからです。

ガイドラインは、各医師に強制力はないので、絶対にその通りにやらなければならない訳ではないのですが、お勧めの治療であり、ほとんどのケースで患者さんの症状は改善します。これは個人的な意見ですが、ガイドラインを参考にしない医療は“モラル”にかかわると言っていいのではないかと思っています。