なでしこジャパンが世界一になりました。
私だけかもしれませんが、当初は日本での注目はさほど高くなかったように思います。ワールドカップを2連覇している強豪ドイツを破ってから、日本でも大きく取り上げられたようです。
もちろん、選手達の日々の努力が大きいのでしょうが、“何か”が乗り移ったかのように、その後の強豪スウェーデン、世界ランク1位のアメリカさえも下してしまっての優勝でした。アメリカとは20数回対戦して一回も勝ったことさえなかったため、アメリカからすれば「今回はもらった」と思っていたに違いありません。そんな中、互角以上の戦いをして、勝ってしまいます。神懸かり的なものを感じたのは私だけではなかったと思います。
私はサッカーは詳しくないですが、男子の試合よりは気持ちが前にいっていたように感じており、攻めの気持ちがなければ、あれだけの得点を積み重ねることはできなかったと思います。チームワークも世界一だったのだろうと思っています。
試合は朝早く、リアルタイムには観ていませんでしたが、朝起きてワイドショーなどで大きく取り上げられており、それを観ても鳥肌が立つくらいでした。いずれにしても、選手達が一生懸命で、フェアプレーに徹し正々堂々と戦ったが故に、観る者にも感動を与えたのでしょう。
ところで、医療も時に感動を与えることもあると思います。たまにテレビでやっているように、病気や怪我で危険な状態になり、成功率の低い手術を受けざるを得ない状況になり、もちろん患者さん自身の生命力というか頑張りもあるのですが、素晴らしいチームワークで無事に手術が成功するというケースです。
特に外科系だと手術は成功と失敗がハッキリしているので、素人である患者さんにも分かりやすいのだと思います。最近は、病院ごとに手術の成功率を提示したりしています。ところが内科だと、とても分かりにくい状況だと思います。
当院は、アレルギーで困っている患者さんが受診されることが多いのですが、当院に「良くならないから何とかして欲しい」と言って受診されるケースの多くが誤診されています。いつも言っているように、ぜんそくを“風邪”や“マイコプラズマ”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”や“乾燥肌”と言われています。
患者さんの方から前医に見切りを付けて「医者を替えよう」と思い受診されますので、敢えて言いますが、同じ医院さんが同じミスを重ねています。親御さんの口からは「有名だから通っていた」とか「信じていたのに…」という言葉がよく聞かれます。
当院は上越市のみならず、市外からの患者さんも多いのですが、これは患者さんを守るために言わなければならないのですが、「有名だから、正しい医療をしているとは限らない」、「アレルギー科の看板を掲げているから、アレルギーの専門医とは限らない」、「病児保育をやっているから感染症に詳しいとは限らない」などなど、知っておかなければならないことは少なくないのです。
同業者のやっていることなら、やっていることの意図が手に取るように分かります。患者さんに一生懸命やっている医師もしますが、これは患者さんに分かりづらいでしょうが、点滴や検査が多いなど経営に傾いていたり、“待ち時間を減らすため”に、本来説明しなければならないことを端折っているところもあります。分からないことを「分からない」と言ってくれる誠実な医師もいますが、よく分かっておらず、そのために症状が改善していないのに、同じ薬を延々と処方する医院さんもあります。
いつも言っているように、最近はどの医療分野にもガイドラインは存在していると思います。どこの医者に行っても、同じ“適切”な医療が受けられるはずです。ところが巷では「○○医院は腕は確かだ」とか「××医院に通ってもちっとも良くならない」などとウワサされています。火のないところに煙は立ちませんから、真面目に医療に取り組んでいる医師と、ガイドラインなんて一切無視なんていう医院さんも存在します。
サッカーなどスポーツは、同じルールのもとでフェアプレーをするからこそ感動があります。医療は、同じガイドラインのもとで“フェアプレー”すれば、どこの医療機関でも同じ、質の高い医療が受けられるはずです。
例えば、男子サッカーならJ1とJ2、プロ野球でも1軍と2軍があります。力の差は歴然としていますので、J2の力ではJ1相手には戦えなかったりします。医学は奥が深いため、例えばアレルギーの分野なら、専門医の“常識”と非専門医の“常識”は大きく異なります。J1とJ2くらいの差があると考えると分かりやすいと思います。
結局、患者さんからすれば、医師は「正しい医療をやってくれるもの」という思いが先行しており、各医師が実際どれだけフェアプレーをやっているかは、患者さんには分からないのだと思います。正直、「これって“アンフェアー”では?」って思うこともよくあります。
ですから、小児科であれば、自分のお子さんを守るためには、医師がどれだけフェアプレーをやってくれるのかを見極めるだけの“眼”を養わないといけないと思うのです。先程の例のように、通院しても良くならなければ、その分野においてかかりつけ医がJ1なのかJ2なのかを確認する必要もあることでしょう。
開業医のやれることには限界がありますが、ガイドラインができたおかげで、「開業医だからレベルが高くなくても仕方ない」ということはなくなってきています。開業医であってもフェアプレーをやるべきだし、自分の手に負えないケースは専門科に紹介するのもフェアプレーの一部だと思います。
医師を“盲目的”に信用している親御さんも少なくないですが、なでしこジャパン世界一の余韻もさめやらぬうちに、医療の“フェアプレー”についても考えて頂きたいと思っています。


