これは先日、当院を受診された患者さんのマイコプラズマの検査の結果です。
市内の小児科でゼーゼー言っているにもかかわらず、マイコプラズマと診断され、点滴も行われていましたが改善しないため、当院に救いを求めてこられました。
親御さんにはよく知っておいて頂きたいのですが、マイコプラズマにかかってもゼーゼーは言いません。あくまで、ゼーゼーする代表的な疾患はぜんそくであって、マイコプラズマ単独ではまずゼーゼーはしないのです。
当院にこうやって前医で改善せず受診される患者さんの多くが、マイコプラズマの診断を正しいと信じています。申\し訳ないですが、これが地元のレベルなのだろうと思っています。もちろん、真面目に正しく診断している小児科医もいます。そうでない場合もあるということです。
開院して4年。こういう患者さんはいまだに多く当院を受診されます。このレベルをどうにかして上げたいと、思い続けています。こうして旅先でも、上越の医療の問題を減らしたいと考えています。
患者さんにとって、正しく診断され、適切に治療されれば、お子さんの症状は速やかに軽減されます。マイコプラズマと間違って診断され、点滴や同じ内服薬を出され改善していない患者さんをこれまで大勢みてきました。つまり、同じことを繰り返している医院さんが存在するということです。私としては、我慢できない状況なのです。医師は失敗したら、それを反省し、同じミスを繰り返さないように努力しなければなりませんが、それがなされていないことになります。
よく食物アレルギーにおけるアレルギー検査は、それだけでは何も判断できないと言っています。参考にはなるけれど、それだけで食べられる•食べられないの判断はできません。医師もそう説明していることが多いし、患者さんも数値で示されると、信じてしまうというところがあるからでしょう。
ならば、マイコプラズマと診断されている患者さんに私の言うことを理解して頂くには、検査をして示すという対応も必要だろうと考えました。
以前も書きましたが、マイコプラズマの検査はいくつかありますが、開業医でその日のうちに結果の出る迅速検査は擬陽性が多いと言われてます。つまり、誤診されてしまうこともあるという意味です。一番ひどいと思ったのは、半年の間に3回もマイコプラズマと診断されていた患者さんもおりました。逆に、この前もマイコプラズマと診断したから、自分の判断が間違っているかもと顧みないといけないケースなはずです。
結局、古くから使われてるPA法が最も信頼のおける検査とされています。今回、某医院さんでぜーぜー繰り返しているにも関わらず、マイコプラズマと診断されている患者さんに、このPA法で調べさせて頂くことにしました。そうしたら、タイトルのLT40という結果が出たのです。
このPA法は40、80、160、320倍というように40の倍数で示されます。より高ければマイコプラズマである可能\性が高く、感度以下の場合は40倍未満となり、LT40と示されるのです。
もし某医院さんのマイコプラズマの診断が正しければ、抗体価は上がっているはずです。ところが「LT40」という結果でした。しばらくの間、マイコプラズマにはかかっていないという事実が判明したことになります。
患者さんにこの数値をそのまま示しました。ビックリしていたと同時に、裏切られたという思いもあったようです。実は、当院ではマイコプラズマと診断されていた患者さんに検査をさせて頂き、何度も「LT40」は経験しています。
私の知人が獣医をしており、病気のペットに必要な治療として点滴したり、薬を飲ませるのを「ペットは治療の意味も知らず、(自分を)嫌なことをする人に見えただろう。相当ストレスになったのでは?」と言っていました。でもこれって、まさに小児科医にも当てはまってしまいます。
新潟県の各地の小児科医がその地でどんな感染症が流行っているかを示しているホームページがあります。どの医師もマイコプラズマが流行っているとは書いていないのに、なぜか上越だけはいつも流行っていることになっています。この検査の誤差と関係があると私は睨んでいます。
私も判断ミスは起こすこともあります。ただ、繰り返さないように心がけているつもりです。“上越のマイコプラズマ”は患者さんのためにも何とかしなければと思っています。
先日、地元の養護の先生から講演依頼がありました。小児の呼吸器疾患について話して欲しいということでした。呼吸器疾患とは、ぜんそくと呼吸器感染症を指すそうです。“上越のマイコプラズマ”を正すよい機会を与えられたと思っています。
あいにく、木曜の午後らしく、診療がある当院は、その部分を休診にしないといけませんが、養護の先生に正しい理解を広め、と同時に医師に得手、不得手がありますから、子どもが呼吸器感染症にかかったらどの医療機関を受診すべきかを知って頂くチャンスだと思います。


