小児科 すこやかアレルギークリニック

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手足口病
2011年09月03日 更新

当院は、4年前に上越の地に開院させて頂いたのですが、他の医療機関に通っていたアレルギーの患者さんが、どっと当院に移ってこられました。

毎日、ほとんどの患者さんがぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーだったので、熱を出して受診される患者さんはほとんどおりませんでした。今は感染症の患者さんも増え、4年前を懐かしく感じています。

普段から、根拠のある医療をと訴えています。いつも書いているように、ぜんそくを風邪やマイコプラズマ、アトピーを乳児湿疹などと診断を誤り、治療も誤っている患者さんを毎日のように診ていると、嘆かわしくなってきます。

感染症も、細菌感染なら抗生剤を使用しますが、ウィルス感染には使いません。効果がないので、使う根拠がないのです。にもかかわらず、相当の抗生剤が出され続けています。それが耐性菌を生むという悪循環を作っているのだと思います。

私も抗生剤は使います。細菌かウィルスか原因が特定されていない状況下で、細菌感染の可能性が捨てきれない時に使っているつもりです。例えば、今、流行中のヘルパンギーナや手足口病と診断されたら、それはコクサッキーやエンテロウィルスが原因となりますので、抗生剤は使う根拠がないことになります。

感染症の患者さんが増えたお陰で、いろいろ勉強させて頂いています。

たとえば、手足口病は文字通り手と足、口の中にブツブツができる病気です。ヘルパンギーナは口にのみブツブツができるので、いわば“口病”と言えるでしょうし、そっちの方が分かりやすいと思うのですが…。

ここ最近ですと、熱が出て、咳や鼻が出ていないと、まずヘルパンギーナや手足口病が頭に浮かびます。これらの病気ならのどに特徴的なブツブツができます。のどを診て、ブツブツがあるかどうか確認します。ブツがあると、今度は手足を診ます。例年は手のひら、足の裏に水泡ができるのですが、今年は肘や膝に見られやすいのです。

のどだけだとヘルパンギーナ、手足にも水泡があれば手足口病と診断しますが、一筋縄にはいきません。ヘルパンギーナと診断しておいて、翌日や翌々日に手足にブツブツができたと再診されるお子さんも時々いらっしゃいます。目を皿のようにして手足は見ていますので、その時にはなかったので、やや遅れて手足に水泡ができる場合も結構あるようです。

その一方で、小さい子が多いように思いますが、熱と手と足、口に同時に出るケースもあります。水泡のできるタイミングがこうも違うとは知りませんでした。

普通の風邪だと「のどが痛い」とはあまり言いませんが、こういった夏風邪だと咽頭痛の訴えは結構多いと思います。赤ちゃんだと、「いつもよりよだれが多い」とか、お子さんが「固形物は摂りたがらない」ということで気付くこともあります。

のどが痛いと食欲が落ちます。ただ、ひどい脱水になり点滴が必要になるケースは、あまりないと思います。今年は手足口病が全国的に流行しているといいますが、当院では点滴したケースはほとんどありません。

ヘルパンギーナや手足口病は、ウィルス感染なのですが、稀に髄膜炎や心筋炎を起こします。1997年にマレーシアで手足口病の大流行が見られ、患者さんの中には急激に悪化し死亡する例が30名以上報告されたそうです。その年、大阪でも3名のお子さんが死亡し、ウィルスによる急性脳炎が原因だったようです。

今年も、ある県で3歳のお子さんが熱を出したため、座薬で様子をみていたら、まもなく呼びかけに反応しなくなり、けいれんを起こしたのだそうです。病院到着時には心肺停止状態で、治療の甲斐なく5日目に亡くなったというケースがありました。のどからコクサッキーA6型というウィルスが検出されたそうです。

今年の手足口病は、膝などに大きな水泡が出やすく、典型的な症状とは異なります。手足口病は何種類ものウィルスが原因となるため、何度かかかることがあります。今年の手足口病の症状が激しいのは、原因ウィルスが異なるからでコクサッキーA6型が多いそうです。

毎日のようにこういった手足口病やヘルパンギーナの患者さんを診ていると、今まで私の診てきたお子さんはすべて軽症でしたので、「手足口病です。じきに治るでしょう。」と言って親御さんに安心して頂くようにしていました。中には稀ではありますが、重篤な症状を起こす可能性もあります。軽い病気と油断をせずに、見落としがないようにしていかなければと思っています。