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車屋と医者
2011年10月06日 更新

旧い車に乗っていると、結構修理すべき箇所が出てきます。

外車はよく壊れるが、日本車は壊れないなんて言われていましたが、日本車であっても、長く乗るにはメンテナンスや部品交換が必要ということでしょう。

時々、ひどいと思われる医療を紹介しています。車屋さんだって同じことが言えると思います。

例えば、走行距離を示すメーターの巻き戻し、事故車を巧妙に直し、事故歴なしとして販売することもあるでしょう。また、まだ使える部品を「念のため」といってあれもこれも交換すれば、部品代や工賃、いわば修理費を水増しできます。

最近は、車検証に走行距離が記載されることになっています。それも不正をなくすための対策でしょう。それでもおかしなことをやっている業者はなくならないと思います。

車を車検に出したり、故障して修理に出すと、最近目立つのは、修理したパーツの写真を納車時に提示して、説明されること。「この部品が壊れていました。ここですよね(と言って写真を指し示す)。交換しておきました。」なんて言われることも目立ってきました。

これって、部品交換の“根拠”を示されている訳です。悪徳業者は、普通はこんなことはしないでしょう。真面目な車屋さんがこうするのであり、お客への誠意だと思っています。こういうショップは信用するに足ると言えるでしょう。逆に、調子のいいことを言って、やたら修理費がかかったりすると、「この店、大丈夫だろうか?」って怪しむと思います。

今回は車屋さんを例に出しましたが、他の種類の店だっておかしなことをされると「怪しいな」と怪しむ冷静さを大抵の人は持っていると思います。ところが、医療はそうはいかないようです。

私から見れば、明らかにおかしいことをされていても気付かない患者さんが多いのです。医師の前だと萎縮してしまったり、病気で辛い時は冷静に判断ができないこともあるのかもしれません。

先日、ある患者さんがアレルギー検査の結果を持って、当院を受診されました。卵製品や乳製品を摂ったら、少し顔が赤くなったので、某小児科さんを受診したのだそうです。

専門医であれ、非専門医であれ、だいたい採血させて頂き、アレルギー検査をやると思います。次の受診で結果説明となるのですが、卵白とミルクがクラス2で出ていました。クラス2だと、中途半端な値です。卵やミルクアレルギーで発赤が出たのかもしれないし、たまたま何らかの理由で出て、アレルギーではないのかもしれない。

親御さんは、卵や乳製品を与えるのを怖がってしまい、場合によっては「食物負荷試験」でシロクロ付けてあげることも必要だと思います。除去する必要のないものを“濡れ衣”で食べないのは、本当に無駄な努力です。それは気の毒な話なので、何とか原因を特定し、「これは食べていい、これはダメ」と言ってあげるのが、子どもを守る小児科医の役目でしょう。私ならそうするし、アレルギー専門医なら大抵がこうすると思います。

ところが、親御さんが結果を聞きにいくと、卵やミルクがクラス2と記載されているアレルギー検査結果を示し、「こういう結果でした。何か質問はありますか?。」と言われたのだそうです。

何も言えずに帰ってきたそうです。それは何故か?。分からないことが多過ぎたのです。アレルギー検査の結果の見方やクラス2の表す意味、今後どういう食生活をしたらいいのか、知りたいことは山程ありました。

しかし、そういう言い方をされると、普通の人は何も言えないと思います。これが地元の医療レベルかと思うと、ゾッとします。結局、すぐに当院に来られ、20分以上は話したと思います。

当然、前医では「食物負荷試験」の話など出るはずもなく、当院に来てアレルギー検査の見方や「食物負荷試験」のことまで説明しました。先日、早速「食物負荷試験」も行ないました。根拠のある医療を提供できたと思っています。

悲しいかな、医療よりも車業界の方が、“根拠”のあることをやっているケースが多いと思います。人の健康や命を預かるはずの医療がこの様では、情けない限りです。

いつも書いているように、今の日本の医療は、医師側から見れば大勢診れば診る程、経営が有利です。おかしな医療をやっているところは、往々にして“有り得ないくらい”診療が早いと思います。私なら、必要な説明を端折って、仮に儲かっても嬉しくもありません。

「食物負荷試験」も時間がかかる、アナフィラキシーの危険があるなどの理由で普及が進まないのだと思います。それでもガイドラインでは、「食物負荷試験」を推奨しています。経験を積めば、重篤なアナフィラキシーを起こす危険性は減らすことができますし、専門医ほど、「リスクはない訳ではないが、決して危険な検査ではない」と言うと思います。

信用してかかっても、今回のような対応では、少なくとも患者さんの期待は裏切られていると言っても過言ではないでしょう。医師がみな良心的であれば、説明もある程度キチンと行なわれ、治療方針も同じ方向性になるはずです。ところが現実は、“1分診療”だったり、“20分診療”だったりし、負荷試験の有無でこんなにも差が出てきます。

患者さんには、もっと医師を見る目を養って頂きたいと思います。敢えて言えば、ちょっと疑ってかかる方が、丁度いいのかもしれませんん。