小児科 すこやかアレルギークリニック

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「エピペンを預かる」ということ
2011年10月13日 更新

食物アレルギーの症状は、軽いものから重いものまで様々です。

口の周りに発赤が出る程度のものから、アナフィラキシーショックという生命の危機的な状態に至るものまであります。

治療についても、当然ピンキリになります。様子をみて良いものから、様子をみてはいけず、救命処置が必要なこともあります。

一般的には、発赤程度なら様子をみているうちに消えてしいますし、もう少し症状が強いと抗ヒスタミン薬、更に強いとステロイド薬を内服すると、徐々に消失してしまうこともあるでしょう。

全身にじんましんが広がり、呼吸苦があれば、アナフィラキシーという状態で食物アレルギーとしては重症なタイプです。この時は「エピペン」という“自己”注射薬の適応となります。食物アレルギーは乳幼児にはともすると10%くらいあると考えられており、小学、中学生となるにつれて頻度は減ります。つまり、成長とともに重篤な症状を呈するお子さんは減ることになります。

病気は、どれもそうでしょうが、重症な患者さんは少なく、軽症が多いのです。つまり、エピペンを使わなければならないケースは決して多くはないのですが、あるとしたら、自分では打てない幼児期が相対的に多いと言えます。先程、“自己”注射と書いたのは、自分の身を守る薬ではあるものの、自分ではどうにもならないという意味です。

幼稚園や保育園児で、重症な食物アレルギーのお子さんがいるとしましょう。普段、家庭では、その子の病気のことをよく分かったお母さんが食事を作ることが多いでしょうから、いわゆる「誤食」は滅多に起きないはずです。

一方、昼食は園で摂ることが多く、お母さん程はその子の病気のことを把握していない園の先生が食事を与えることになります。給食なら、別の栄養士、調理員が対応することになりますが、多くの人がかかわることで、誤食の危険性は増すと言わざるを得ません。現場では食物アレルギーの知識を充分に持った人は少ないため、充分な配慮が必要になります。

昼食は、他の園児と一緒に食べるでしょうから、その子の給食を“除去食”で対応していても、人のやることですから残念ながら誤食は起こり得ます。誤配膳といって、他児の給食を渡してしまうかもしれません。配膳ミスがなくても、隣の子が自分の分を分け与えてしまうかもしれません。

アレルゲンがいつくもあると、弁当対応のこともあるでしょう。つまり、その子のことを分かり切ったお母さんが弁当を持たせてくれたら、誤食の危険性は減ります。しかし、やはり隣の子が「これ、あげる」なんて、食べられないものを親切に与えることもあるかもしれません。「じゃあ、個室で食べさせるしかない」という発想も出てくるでしょうが、食育という点でも問題はあるのだと思います。

アナフィラキシーを起こす場所は、実は、意外にも自宅が最多になっています。分かっているはずのご家族のケアレスミスで、そうなってしまうのだと思います。となると、「園で起きないはずがない」と思っていた方が賢明だと思っています。

体に入った量が少なく、誘発される症状が軽ければ、お母さんに電話して、来てもらい対応することでも間に合うでしょう。最近は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を園で預かっておき、症状が出てしまった場合に、お母さんに電話して許可を得て、飲ませてもらうという対応をすることもあります。それを“医療行為”と断る園もあるようですが、お子さんを預かる時点で、管理責任もあるでしょうから、協力的な態度が望ましいと思います。

軽ければいいのですが、その子が重症だった場合は、状況が変わってきます(つづく)。