小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

思わぬ方向
2011年10月26日 更新

ふと気付くと、あれだけ力の入っていた「すこやか健康フェア」からもう1ヶ月経つなんてって感じです。

福岡の病院で研修させて頂いている時に、今回の講師の柴田先生などから「患者さんから逃げてはいけない」という姿勢を学ばせて頂きました。医療の知識や技術をいろいろと身につけることもできましたが、医師としてのとても大切な“姿勢”を教えて頂いたことは、私の財産になっていると思っています。

ところが、それが思わぬ方向に進んできているように感じています。

先日、こんなことがありました。ある患者さんが湿疹が治らないと当院を受診されました。カルテを見ると1年以上も当院にはかかっていません。

話を聞くと、足に湿疹が出て“かかりつけ”で診断名は告げられずに、ボアラという強めのステロイド軟膏とアレジオンというかゆみ止めの内服薬が出されていました。塗っても良くならないので、当院を受診したというのです。

診ると、カポジ水痘様発疹症が疑わしい状況でした。これは、水ぼうそうの親戚が悪さしているので、ステロイドを塗っても良くなりません。カポジ水痘様発疹症の皮疹の様子を医学書の写真で指し示し、「これにそっくりでしょう?。これはステロイドが効かない病気です。」と少し時間をかけて説明しました。内服も抗ウィルス薬を使うのが普通で、アレジオンはやはり効くとは思えません。

数日後、治療効果をみるために再診して頂きましたが、私からすれば当たり前の話ですが、“かかりつけ”の治療は効かなかったのに、当院の治療で速やかに湿疹が改善していました。

また、別の患者さんですが、やはり湿疹が出て、別の小児科を受診したそうです。「とびひ」と言われ塗り薬を出されたそうです。

この患者さんも治りが思わしくないと当院を受診されました。結果的には、とびひで良かったのですが、私のよく使う手法を追加しました。これで治りも良くなると思います。

この親御さんは、“かかりつけ”の先生を「イマイチ信用できなくて」なんて平気で言っていました。帰り際に「インフルエンザの予防接種を受けてもいいですか?」と聞かれたので、「どこで受けるのですか?」と聞くと、その“かかりつけ”で受けるのだそうです。

予防接種は、接種する医師がすべての責任を負うべきです。他院で受ける接種に私が口を出すべきではないし、責任も負えません。「それは“かかりつけ”で聞くべきことだと思いますが」と返答しておきました。

冒頭に述べたように、病気の子どもを何とかしようと、それを目の当たりにして困っている親御さんを何とかしようと、日々の診療では「逃げないように」しているつもりです。

その姿勢が周囲から評価されているのだと嬉しいのですが、“かかりつけ”はいるのに、困った時に当院を受診される患者さんが増えています。頼られるのは悪い気はしませんが、度を超えると「マナーの問題かな」と思います。困った時にこそ、頼るのが“かかりつけ”だと思っています。

今回のような親御さんは、“かかりつけ”を何だと思っているのでしょうか?。私も自分が子を持って初めて「親の気持ち」が分かった気がします。だから、アレルギーに限らず、カポジでもとびひでも、なるべく正確に診断して、的確に治療しようと思い、時間をかけて“根拠”を説明し、速やかに良くなって欲しいと願って診療してきたつもりです。信頼関係があって初めて、自分の子どもの健康を委ねることができるのだと思います。

何故こんなことが起きるのか?。それは、当院の待ち時間が長いからだと思います。仮に今回の例をA医院、B医院さんとしますと、いずれもあっという間に診察が終わってしまいます。聞きたいことも聞けなかったと漏らす親御さんも多いです。

県外のある小児科のホームページを見ていたら、この先生もアレルギーを専門に一生懸命診療されており、当院のように症状が良くならないと、“かかりつけ”をフッて受診される患者さんが少なくないようです。そこでは、近所にある「薬の自動販売機」という言葉が使われていました。ちょっと過激な表現ですが、体調が悪い時は、薬だけもらえばそれでいいと考える親御さんも少なくないのだと思います。

今回挙げたような例は、当院では日常茶飯事です。救急外来が「コンビニ化」しており、本当の救急患者さんが速やかに医療を受けられないという話題が時々テレビでも取り上げられていますが、これも一種の「コンビニ化」なのかなと思っています。

私は小児科医になって20年になりますが、患者さんからいろいろ学ばせて頂いてきました。すべてが医学書通りではないのです。「へー、こんなこともあるんだ」なんてことも時々あります。

困った時だけ、別の医師にかかっていると、“かかりつけ”の医師も学ぶ機会を逸してしまうと思います。医師は患者さんから学び、成長していかなければならないし、それで患者さんとの信頼関係も深まっていくと思っています。

逆に、治りが悪い時など困った時にこそ受診すれば、そこで医師の“本性”が分かると思います。真面目な医師だと「分からないから紹介状を書きましょう」となるはずだし、苦し紛れにテキトーなことを言う医師もいます。それで、今後お子さんの健康を任せられるかどうか判断すべきだと思います。

ついでに言うなら、極端な話、軽症の患者さんだけを集めて流れ作業で1~2分診療をやるのが一番儲かります。面倒くさい、重い患者は別の医療機関に行ってもらえば、タイムロスも減らせます。当院のように時間をかけて診療していると儲かりません。

当院にも私のことを信頼してくれて、当院にしか受診したことのないような“かかりつけ”の患者さんがいます。最近は、困った時だけ当院を受診される患者さんも多く、本当の“かかりつけ”の患者さんの待ち時間が長くなるなど影響が出ています。

こういうことが続けば、何からの当院なりの対応をも取らなければならないかもしれません。つまり、当院の本当の“かかりつけ”を守る方向に動かなければならないと思います。「お金を払っているのだし、どこにかかろうと自由だろう」という方もいらっしゃるでしょうが、マナーの良いかかり方だとは思えません。「もっと“かかりつけ”を信頼したらどうでしょう」と思ってしまいます。

開院して4年も経つと、どこの医療機関がどんな医療をしているかだいたい分かりますが、ビックリするような程度の医療をしているところもない訳ではありません。私は当院の“かかりつけ”を守る責任があると思うし、おかしな医療をする医師には指一本触れさせたくないくらいの気持ちでいます。

特にアレルギーは、ともするとアレルギー以外でも、医師には実力の差が大きいのは事実です。それを知ってもらうことが地元の医療のレベルアップにつながると、この場でもいろいろと書いてきました。困った時に“かかりつけ”でない方の受診が増えるのは、実力の差があることの理解が広まったという意味では、私の狙い通りなのかもしれませんが、と同時に弊害もあるように思います。

いずれにしても、“かかりつけ”についてよく考えて頂きたいと思っています。