この前の書いたように、最近は院内での診療以外のことが忙しかったりします。
診療自体も切れ間なく患者さんが来られますので決してはヒマではなく、その上で院外活動もこなさなければならないという状況です。
日曜も、今度某中学校にエピペンの話をしに行かなければなりませんが、そのスライドの準備をしていました。エピペンは、養護の先生だけが使い方を知っていればいい訳ではありません。たまたまその先生がお休みだった場合、何もできないことになります。
できるだけ多くの職員が知っておく必要があります。ただし、エピペンのことだけ知っていればいいのではなく、食物アレルギーという病気のこと、症状が出れば何でもエピペンという訳ではないでしょうから、症状が軽いときの対処法などなど、理解しておいて頂きたいことは沢山あります。
土曜日も、13時過ぎまで一般診療をやっていて、それから休む間もなくインフルエンザの予防接種に突入しました。接種のピークが11月なので、だいぶ接種する人数も減ってきました。それでも、仕事が終わり、医院をあとにするのは夕方になります。
この前の土曜は、市の休日診療所の勤務もありました。インフルエンザの予防接種が終わりヘトヘトのところで、休む間もなくデューティーをこなさなければなりません(涙)。
以前も触れたと思いますが、休日診療所の仕事は結構と力を入れています。何故なら、当院を受診している以外の患者さんが来られるからです。
もう1年くらい前になりますが、ものすごく咳き込みの強いお子さんが受診されました。市内の小児科で風邪だかマイコプラズマと診断されていたのですが、聴診器を当てるとゼーゼー聞こえます。
実は、ぜんそくで、しかも結構重かったのですが、前医ではよほど感染症にしたかったようで、重いぜんそくを見逃されていました。ぜんそくは、誤診されていると、ゼーゼーを繰り返し、更に重症化することがあります。この患者さんは、まさにその通りでした。
その時は重い発作だったので、病院に紹介し入院加療して頂きましたが、今は当院で継続治療しています。ここ最近は、発作もなく、あれだけゼーゼー言いやすかったのに、今年は平穏無事な年末年始が送れそうだと思っています。
このように、当院を受診して下さる患者さんは、診断が誤っていれば、違う旨をキチンと説明し、専門医と非専門医ではどれほど実力に差があるのかを理解して頂けるのですが、何の疑いもなくかかりつけに通院されている場合は、当院はアプローチのしようがありません。
ところが、休日診療所だと、あまりにおかしなことがされている場合は、修正するチャンスだと思っています。私にとって、自分で言うのも何ですが、“活躍の場”だったりします。この日も、何人か「修正」できたのかなと思っています。
まず、上の子が嘔吐をし、かかりつけで胃腸炎と診断され、点滴を受けたそうです。間もなく、下のお子さんが数回吐いたため、慌てて受診されたそうです。
お母さんがいうには、血液の中の何かの数値が高いのでひどい脱水だと言われたそうですが、普通の小児科医は使用しない、我流のやり方を思います。下のお子さんは、明らかに元気で、私は直感的に「点滴は必要ないな」と思いました。お母さんは、上の子は○○先生から点滴をしてもらったと、ちょっと強硬に主張されます。暗に「点滴をしてくれ」と言いたいようです。
話は少しそれますが、マイコプラズマの迅速検査は、診断を確定する程の信頼に足る検査法ではないとされています。それを知らないと、半年間で3回もマイコプラズマにかかったとおかしな診断されることになります。
「木を見て森を見ず」というような感じでしょう。「こんなに何度もマイコプラズマになるのはおかしい」と感じなければいけないはずなのですが、数値だけ見ているから、こういうことになってしまうのでしょう。
胃腸炎のときも、点滴が必要かどうか指標にならないような検査結果を見て、点滴をするのも、誤った判断のもとだと思います。医師は、検査の“数値”を見るのではなく“人間”を見なければ(診なければ)ならないのです。
こんな元気なのに点滴したら、この子が可哀想だと思いました。しかし、お母さんは目で「点滴してくれ」と訴えています。
私がどうしたかというと、当院は医院でもやっていることなのですが、頻回に吐いて、ぐったりしていれば、迷わず「これだと点滴しない方が可哀想だ」と考え、点滴を薦めます。「これは何とかなりそうだな」と感じたら、待合室で少量ずつ飲ませてみて、吐かなければ点滴はしないことにしています。
実際、胃腸炎のときは、一気に飲ませると「オエッ」となりますが、チビチビ飲ませた場合は、意外と吐きません。親御さんは、そういうことをご存知ありませんでした。胃腸炎は、あっという間に悪くなるけれど、改善も早いので、吐けばすぐに点滴なんてしていると、しなくても済む点滴を強いることになります。
お子さんが急に具合が悪くなると慌てるものでしょうが、こういう方法もあると教えることが、患者教育だと思っており、最終的には親御さんも納得して帰っていかれました。もちろん、点滴はしませんでした。
別の患者さんで、某医院さんでぜんそくと診断され、アドエアという強い吸入ステロイドを処方されているお子さんが、風邪症状で受診されました。
アドエアは、重症のぜんそく患者さんに使うべき薬なので、本当に必要なのか、ちょっと聞いてみました。ところが、本人も吸いたがらず、あまり使っていないとのこと。
かかりつけ医から、とにかく吸うように処方されているものの、親御さんはその薬を使い続ける理由を知りたいのに、診察室の雰囲気が聞きたくとも聞けないのだそうです。つい、ズルズル通っている状態だと話して下さいました。
小学校の高学年ともなると、ある程度は自分の意思というものが出てきますので、お子さん本人がアドエアを吸う意味を理解していないので、吸いたがらないのだそうです。更に、親御さんもそれをたしなめるだけの知識をお持ちでなかったことになります。
アレルギー専門医の間では、この年代のお子さんを診る場合、本人が治療の必要性を理解できるように努力することが推奨されています。残念ながらそれがなかったため、継続的な治療ができていなかったことになります。
その辺を指摘させて頂きましたが、診察についていた看護師さんの話によると、私の話を受け、親御さんも考えるところがあったようだと言っていました。
医師が「やれ、やれ」と言うだけでは、患者さんには「何も残らない」のかなと思います。そうしない方法を説明したり、何故その治療が必要かを知ってもらう努力が必要だと思っています。診察中にそういうことを説明しなければ、いけないはずなのですが…。
そうすることで、患者さんの理解も深まり、地元の医療レベルが上がっていくのだと信じています。


