小児科 すこやかアレルギークリニック

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かけていない
2012年01月30日 更新

先日、20代の患者さんが久々に当院を受診されました。

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーがあるのですが、大人になって魚が食べられなくなってきたため、当院に相談に来られていたのです。

当時は地元の皮膚科に行っても埒があかないので、70キロ離れた某市の一番人気の皮膚科にも行ったそうですが、2時間以上待たされた上、「治らない」のひと言で帰されたそうです。

成人の食物アレルギーは治りづらいのは確かです。そんな遠くから救いを求めて受診している訳だから、同業者として「もう少し空気を読んで対応してくれ」って思います。結局当院に相談に来られ、皮膚テストも示した上で、多くの魚にアレルギーがあることを理解して頂けるよう時間をかけて説明しました。ただ、魚がダメだと言っても缶詰は食べられることは多いので、その辺りも話しました。

最終的には「治らない」という同じ結論であっても、魚アレルギーは徐々に発症してくることもあり、その辺りを時間をかけて理解して頂くかどうかは、大きな違いだと思っています。

その患者さんが、当時は学生だったのですが、今は社会人になって仕事をしているそうです。ストレスなのか、冬場で乾燥したせいかアトピー性皮膚炎がかなり悪化していました。

早期に来てくれればいいのに、本人に曰く「入ったと思ったら、すぐに出てこられる皮膚科に行った」そうです。コンビニのような便利な医療機関もあったものです。

結局、何の改善もないため、数年ぶりに当院を受診されたそうです。ここで考えて頂きたいのが、「仕事もできない程に重症化したアトピー性皮膚炎にもかかわらず、そんなに早く帰していいものか?」ということです。

軽い状態ならそれでも良いでしょう。それだけの症状を持った患者さんの苦しみや「何とかして欲しい」という気持ちを受け止めるには、時間は“かかってしまいます”。逆に「オレが何とかしてやる」という気持ちがあれば、そうはならないはずです。

医療は、「安かろう、悪かろう」では意味がないのです。この場合は「早かろう、悪かろう」となるでしょうが、診察時間が早い方が便利なのは確かですが、改善がなければ全く意味がないと言えます。

アトピー性皮膚炎は、特に重症では治療が難しいのは、専門医でも同じことです。ただ、全くの改善が得られないのはやり方の問題です。「もっと知恵を振り絞ってくれ」と言いたいです。

小児科ですと、例えば熱が続いたり、咳が止まらなかったりして、通院することがあります。いつも言っているように、ここで大した説明もなく同じ薬を出し続けるのは、医者としては不合格です。「自分の診断が間違っているのでは?」、「どうすれば改善させられるのか?」と悩むべきです。

この辺りで、医療の価値が分かれてくるのだと思います。私は最近低下していると言われる日本人のモラルは、医療にも当てはまると思っています。いい加減な思いで診療するのは、モラルの問題だと思っています。改善していないのに専門医に紹介しないのは嘆かわしい限りです。

今週土曜の昼にテレビの医療番組で乳児のアトピー性皮膚炎について話をします。その中で、他院で改善しなかった湿疹が、当院で治療して1週間後にどうなったかと画像で提示しています。

私が何でも対応できる訳ではありませんが、他院で治らず困っている湿疹が、短期でここまで改善するのは事実ですし、それは医師の知識や技術の差も小さくないのです。その差や、医師の医療にかける思いの差を理解して頂くきっかけになればいいと思っています。

今の医療は、大勢診た方が経営に有利になっており、特に開業医は患者さんが押し寄せるので、一人当たりに時間をかけられないのは事実でしょう。いや、“かけられない”のではなく、“かけていない”のだと思います。

結局、「行っても良くならなかった」と幻滅して、別の医療機関へ受診される患者さんもいます。当院は、経営ではなく、最後に頼りにされる方を選びたいと思っています。