先日、市外から新患の患者さんが受診されました。一見してアトピー性皮膚炎を考える状況でした。
その患者さんはまず、在住している某市の小児科を受診されたそうです。良くならないため、当院とは反対方向の20キロ程離れた大きな総合病院の小児科を受診されました。いずれも、“乳児湿疹”と診断されていました。
当院へは反対方向に40キロ行ったところに位置しています。通院しても改善がないため困っていたところ、先日の放映を見て当院を受診されたのだそうです。
毎度のことですが、アトピー性皮膚炎のガイドラインを開いて、診断基準を示し、アトピー性皮膚炎と診断されることをまず理解して頂きます。ステロイド軟膏の使用をガイドラインが推奨していることをお話しし、これも大事なのですが軟膏の塗り方を説明します。
これもいつも言っていることですが、診断が正しければ、いまは医学が進歩してきているので治療方針を決めることができます。診断ができない、もしくは間違っていれば、患者さんを誤った方向にいざなうことになってしまいます。
当然ながら親御さんも自分のお子さんがかわいい訳ですから、いくら知名度の高い病院であっても、通っても良くならなければ見限ることになります。本来、治療しても良くならなければ医師が専門医に紹介状を書くのが筋ですが、結局患者さんの判断で、医療機関を変えるので、医師は自分が誤った判断をしていたことに気付かないということに至ります。ぜんそくをマイコプラズマと誤診して点滴を繰り返している小児科医も存在しますが、誰も間違いを指摘しないからこういうことが起こるのでしょう。
先日の放映の様子が8日からネット上で見られるようになります。新潟県内に限らず、全国で見たい方が見られるようになるのです。緊張した様子を多くの方の目に触れさせるのは恥ずかしいのですが、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と診断されるケースがあまりに多いため、患者さんに限らず、医療関係者にも見て頂かざるを得ないと思っています。
アトピー性皮膚炎はかなり頻度が高く、多くの皮膚科や小児科で扱う病気ではありますが、もっとアトピー性皮膚炎はこういう風に診断して、こう言ったことに注意するということ、ステロイド軟膏は中途半端に使われることが多いが故に改善も思わしくないので、使い方を具体的に示せばもっと良い結果が得られるはずです。アレルギー専門医なら誰でも普通にやっていることです。
特に同業者は、今回の放映を集客のためなどという人もいるかもしれませんが、そういう低レベルな見方はして欲しくないと思います。別に当院を受診して欲しいと思っているのではなく、通院しても改善がなければ、果たして自分は適切な治療を受けているのだろうとかと考えるきっかけになって欲しいのです。
研修先や学会活動を通じて知った日本の第一人者の先生方が「日本のアトピー性皮膚炎の医療を良くしたい」という高い目標を持ってガイドラインを作成されているにもかかわらず、ガイドラインを尊重してないような診療をしている現状に一石を投じたいと思いました。
いまはアレルギーの病気にそれぞれにガイドラインが存在します。私はアレルギー関係の学会には年に3回以上は参加し、時代に取り残されないようにしているつもりですし、学会でもガイドライン通りの診療を推奨していますので、ガイドラインに沿って診断し、治療法を決定しています。
私が診ても症状を落ち着かせるのが難しい患者さんも存在しますが、多くはガイドラインが有効であるということを私の診療経験が示していると思います。ところが先に述べた通り、ガイドラインが用いられていないとしか思えないのは不思議でなりません。
困っている患者さんを守るためには、アトピー性皮膚炎についてもガイドラインが存在することを広めるしかないのだろうと思っています。そういう意味で、少しでも私の思惑通りの方向に進んでくれたら、成功と言えるのだろうと思っています。


