病院の役割は、診療もそうですが、「教育」という部分もあると思います。
病院によっては役割は変わっていて、大学病院であれば、医学部の学生を教育しなければならないでしょう。一般病院や開業医なら、「患者教育」という言葉があるように、患者さんに病気のことを知ってもらう努力も必要でしょう。
私の場合も、それには力を入れています。患者さんには、ある程度時間をかけて説明しているつもりですし、啓発活動も行っています。そうするのは医師の務めだと思っていますが、多くの医師がそうはしておらず、他院から移ってきた患者さんの病気に関する理解が極めて低いことに驚くことも多々あります。
患者さんも、低レベルな医療を受けていても、それに気付いておらず、「医療の質」の差が大きいと言うことを知って頂く努力も必要だと思っています。それが開業医と大病院というものではなく、例えば上越市の開業医同士でも驚く程の差があり、身近なところで医療レベルの差が存在しています。
当院は、特に子どものアレルギーに力を入れています。地元の養護の先生や園の先生方にはそのことは確実に広まっており、何度も講演を依頼されています。自分で言うのも何ですが、一度話を聞いて分かりづらければ、何度も講演は頼まれないでしょうから、それなりに理解はしやすいのかなと勝手に思っています。私は話が上手とは思いませんが、伝えたい気持ちは人一倍だと考えています。
私自身は、同じ話はしたくないと思っています。同じ人間が話すのですから、似たような話になるのは致し方ありません。全く同じスライドを使って話すことはないと言ったらいいでしょうか?。以前と同じスライドを使って話せば、手抜きになってしまうと思います。ですから、講演を依頼されると、必ず新しい話を入れています。最近、学会で注目されている考え方、診療で経験したケースなどを話に含めるようにしています。
話すためには、自分がよく理解していなければならず、中途半端な理解では聞き手に伝わらないため、勉強し直すこともあります。ですから、講演を依頼されるということは、自分の勉強にもなるし、自分の知識を深めるチャンスとも言える訳です。
講演の際に、結構評判がいいのは、自分の経験したケースを話に組み込むことです。一般的な話をしても、小難しかったら頭に入ってこず、実際のケースを交えると理解が深まることはよくある話でしょう。今年も既に講演の依頼をお受けしており、診療中に「これは講演に使えそう」とか思うこともあります。
更に画像も説得力があります。テレビ番組でアトピー性皮膚炎の話をした時も、当院での治療のビフォーアフターを示しました。適切に治療すれば1週間であそこまで良くできる訳です。それを示すことは、例えば現在、皮膚科や小児科に何度も通院しても改善が思わしくなければ「医者を代えようか」という発想につながります。
また、アトピーの重い患者さんに「しっかり治療するとこんなに改善するんだよ」と示すことができるので、説得力が増すことになります。もちろん、個人を特定できないように配慮しますが、講演にも使わせて欲しい旨を伝え、了解が得られれば患部の写真を撮らせて頂いています。
先日、ネコアレルギーの患者さんが受診しました。診察してみて、一見して目が赤くなっていました。よく見ると、白目の部分が少しゼリー状になっていました。話を聞くと、ネコを触ったようです。ネコを触った手で、痒くなった目をこすったため、ネコのフケが目に入り込んで、そんな状態になったのだと思います。ネコアレルギーなら、アレルギー検査でネコのフケ(皮屑)が陽性化しているはずですから、採血もさせて頂きました。
最近は、ペットブームであり、イヌやネコを室内で飼うケースが増えています。アレルギーの体質があれば、飼う時点で検査は陰性であっても、長期に接触しているうちに検査が陽性化し、アレルギー症状が出てくる可能性が高まります。
講演の中で「ネコアレルギーが増えている」と話すだけでは伝わりにくく、そういった白目が赤く腫れている画像を示せば、こんな症状が出るんだと分かりますし、目の腫れた状態のお子さんを見れば「ペットに触れたのかな」と予想もつきます。
これからも患者さんに撮影の依頼をすることがあるかもしれませんが、有効に使わせて頂き、地域のレベルアップに活用させて頂こうと思っています。


