当院は、普通の小児科と比べるとやや特殊なのかもしれません。
春休みになった途端に外来が混雑しているようです。インフルエンザも確実に減っているため、普通なら受診は多くないはずです。さすがに半日で100人程の受診があると、待ち時間も長くなってしまい申し訳なく思っています。
ヘトヘトになって診療が終わったのですが、その後、春休みということで予約を入れている「気道過敏性試験」を2人やりました。ぜんそくの治療を止めてもいいか判断する高度な検査です。こんな感じだと、冬の忙しかった時期の疲れが取れにくいことでしょう(汗)。
ちょうど1週間前になりますが、大学時代の友人が当院の「食物負荷試験」の見学に来られました。これまで携わってきた小児の救急では、県内の小児科医と比べてもトップクラスであり、その上で食物アレルギーでも根拠のある医療を行ないたいというどん欲な姿勢に頭が下がります。
当院は、負荷試験は午前中に行なっています。午後にやって、当院の終わった時間帯に具合が悪くなっても対応できないからです。午前中は4件の負荷試験があり、蕁麻疹が広がったケースもあり、一方、何も起きずにすんなり終了したケースもありました。友人にとって、少しは収穫があったのかなと思っています。
午後は、負荷試験はやっていませんが、せっかく休診にして当院に見学に来られましたので、なるべくはアレルギーの患者さんの対応を見て頂こうと思いました。
この場で、アトピー性皮膚炎の診療が低レベルな医院さんも少なくないと問題提起しています。私の友人はアレルギー専門医ではありませんが、かなりキチンとやっているようです。ぜんそくも、なるべくガイドラインに沿って対応しているそうです。
私の診療を見て、どこまで役立つのだろうとは思いましたが、皮膚テストなどのテクニックなども見て欲しいと思っていました。
いざ、午後の診療が始まると、私と同じ小児科医歴20年の目があると思うと、普段の診療の時にはない緊張感はあります(笑)。ただ、いつもとは違う“よそ行き”の診療をしても意味はないので、いつも通りの診療を心掛けました。
日頃、ここで若干偉そうなことを書いているのかもしれませんが、やはり医師たる者、根拠のある医療をすべきです。この場で指摘している通り、根拠もへったくれもない、哀れと思えるような医療をしている医院さんもいますし、この人は経営が優先なんだなとしか思えない医院さんもあります。
アレルギーに限らず、今はさまざまなガイドラインがあり、皆が新しいことを学び、真面目に医療を行なえば、どこの医院に行っても同じ診断名が付き、同レベルの医療が提供されるはずです。ところが、全くそうではない現実があります。
この時点で、日本の保険診療は破綻していると言えると思うのです。どこで診てもらっても診療点数は一緒ですから、各医師がキチンと勉強して、医院の儲けを一切考えずに良心的に診療して、速やかに症状を軽減させる努力をして初めて、保険診療が成り立つと考えています。
「ガイドラインをほとんど守っていない」、「アレルギーならアレルギー関係の学会に一切参加もしていない」、「治らない方が何度も来てくれて、医院の利益が上がる」、「診断を間違っても医師には何のペナルティもない」などの現状で、良い医療が行なえるはずはないのです。
私のやっていることは100点満点ではないですが、患者さんのために誠実に取り組んでいるつもりです。分からなものは「分からない」と言っていますし、自信がなければ、その道の専門家に紹介するようにしています。
ですから、友人が私の診療を後で見ていても、いつも通りのやり方でやろうと思いました。友人でなくても、その他の誰かに見られても、そんなに恥ずかしくない医療をやっているつもりです。
中には、患者さんの窓口での支払が530円であることをいいことに、不必要な検査や点滴を繰り返している医院さんもあります。私はこういう行為を許せないと思っていますが、ものすごく悪質でない限り引っかからないようになっているようです。こういうことが野放しになっており、不要な医療費が支払われる結果となっていると考えています。
今回の友人の訪問で思いついたことがあります。プライバシーの問題などで実現不可能でしょうが、各医療機関の診察室にカメラが設置されればいいのにと思います。そして抜き打ちで、医療関係者が診療の様子を見られるようにしておくのです。
医療は、ある意味密室で行なわれているので、おかしな医療をやっていても分かりづらいのです。患者さんも病気のことは分からないので、医師に“丸投げ”のことが多く、やりたい放題の医師もいない訳ではありません。
おかしな医療をやれば証拠として残りますし、その場合、医療費は医院に支払われないようにします。そうなると経営が立ち行かない医院さんも出てくるので、医師は必死で勉強するという格好です。医療の世界だけではないでしょうが、「正直者が馬鹿を見る」となっている現状はおかしいと言わざるを得ないのです。それくらいの緊張感がなければ、医療は良くならないと思っています。
医師からは猛反対されるでしょうが、患者さんにとっては悪い話ではないと思っています。


