小児科 すこやかアレルギークリニック

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卵も食べていないのに
2012年03月28日 更新

卵を食べていなければ、その後に起きたアレルギー症状を誰も「卵アレルギー」とは考えません。これって当たり前の話ですよね?。

この大原則が守られていない現状に、ガッカリしています。何のことかと言いますと、この辺でも最近明らかに増えてきたスギ花粉症の話です。雪の多い新潟県は、花粉の飛散が関東よりも遅いのです。

テレビでも天気予報の際に花粉症情報が流れることもあります。それを見ると「あー、花粉の飛ぶ時期なんだ」と感じると思います。「そういえばうちの子、最近鼻が出るな」、「目をこすったりしているな」と考えると「花粉症かしら?」と疑うのはある意味、自然の流れだろうと思います。

いつも言っているように、医師は根拠のある診療をやらなければなりません。残念ながら、「最近鼻が出るんです」と小児科や耳鼻科に行くと、即座に「花粉症でしょう」と診断されるケースが多いようです。

果たして、そう診断していいのでしょうか?。

ここで花粉症について整理しておきましょう。花粉症はアレルゲンが鼻や目に入ってアレルギー症状を起こすのですが、実は花粉と言ってもいろいろあります。スギが有名ですが、ハルガヤ、カモガヤなどの初夏にかけての花粉もあれば、ブタクサ、ヨモギなどの秋の花粉もあります。これらによって引き起こされる総称が「花粉症」であって、この時期にみられるのは「スギ花粉症」と診断されるべきです。

食べ物でアレルギーを起こすものを「食物アレルギー」といい、その中で卵を食べることによって誘発されるものを「卵アレルギー」と言うのと関係は似ています。食物アレルギーの中に、卵アレルギーがその一種として含まれる関係です。

冒頭に出したように、誰も卵を食べていなければ、卵アレルギーを疑いません。私が気になっているのは、この時期に鼻が出る、目が痒いからと言って、即座に「スギ花粉症」と診断していいのかと言うことです。

ご存知のように、花粉は家の外に存在し、雨の日はあまり飛ばず、天気のいい日に広く飛散します。外に出た時にスギ花粉にさらされる訳ですから、そうなって初めて症状が起こるはずです。

それに関係なく、鼻が出る、目が痒いと言った場合、いわゆるダニやハウスダストによって起きているのかもしれません。ダニやハウスダストによって引き起こされるのなら、スギは関係ないため、スギ花粉症とは言わず、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎と診断されます。

そもそも花粉症の診断では、アレルゲンの特定をする努力が不可欠です。一般的には、採血で特異的IgE抗体を証明することになります。もしくは、皮膚テスト、鼻誘発テストを行ないます。皮膚テストとは皮膚にスギのエキスを垂らし、小針で皮膚に傷を付け、傷から染み込んだエキスが皮膚を腫らせば、アレルギーを起こす証明ができます。鼻誘発テストとは、スギのエキスを染み込ませた紙を鼻に入れて、それで鼻炎症状が誘発されるかどうかを確認する方法ですが、あまりやっている施設は聞いたことがありません。

食物アレルギーのように、アレルギー検査がクラス0であっても症状が出ることがあるのかもしれませんが、一般的にはアレルギー検査が陽性であれば、スギに弱い体質であることが分かりますし、アレルゲンが特定できるのだと思います。

こういったプロセスなしに、この時期鼻が出た、目が痒いと聞いた途端に「花粉症です」という小児科医、耳鼻科医が少なくないように感じています。昨年も、耳鼻科でスギ花粉症と診断された患者さんに、話を詳細に聞いてみると、外に出て症状が出ていないので、これは違うのではないかと感じたことがあります。アレルギー検査で確認したところ、スギは陰性でした。つまり、スギが原因とは特定できなかったので、スギ花粉症とは診断できない状況でした。

特に小児科医は、食物アレルギーと考えるとアレルギー検査をしたがりますが、花粉症を疑った場合は、アレルゲンを特定しようとせずに感覚的に花粉症と断定しているところが気になります。

この卵も食べていないのに、卵アレルギーと診断されているような現状を何とかしなければと思っています。