食物アレルギーの患者さんへの対応を、どうしたら現在の最低レベルから上げることができるかいつも考えています。
エピペンの問題は最たるものです。県内の多くの小児科医がエピペンを処方すらできないのが現状です。「医者なのになぜ?」とお思いでしょうが、エピペンを処方するためにはアレルギー関係の学会に参加して、取り扱い法を習得しなければ処方できないという決まりがあります。学会に参加する小児科医が少ないので、処方できない医師が多い、そうなっています。
そこからつまずいているのであって、その結果エピペンを処方されるべき患者さんに処方すらされていない現実もあります。アナフィラキシーを何度も繰り返しているにもかかわらずです。
つまり、多くの医師が食物アレルギーを軽くみているところからボタンを掛け違えており、それにすら気付いていない…、それが現状だろうと思っています。
何もしなくは何も変わらない、当たり前のことです。そんな状況に風穴をあけるべく、いろいろ活動しています。まず私自身がエピペンの適応を判断した患者さんにエピペンを処方するということ、処方した患者さんの通う園や学校に出向いて、どんな時に使用すべきか、使用しなくてもいいかという話をしています。
多くの先生方にエピペンの存在や使い方を知って頂くことで、学校や園の先生方は横のつながりが強いので、より一層広まることも期待しています。
エピペンの適応を食物アレルギーのみとお考えの方も多いかもしれませんが、日本に導入されたきっかけは、ハチ毒に対するアナフィラキシーショックでなくなった人がいたからです。
アナフィラキシーショック時には30分以内に治療をする必要があると言われています。山奥で仕事をしていて急にアナフィラキシーショック状態になって救急車を要請しても、30分以内に病院に搬送されることはまずないと思われます。
以前、日本アレルギー学会に参加した時に、林野庁の職員の方だったように思いますがエピペンについて講演されていて、エピペン導入の前後でショック死が減ったという話をされていました。
ネットで調べてみると、昭和59年から平成10年までの15年間に549人もの死亡があったそうです。エピペンが試験的に導入され、アナフィラキシー時の15件使用され、死亡は1例のみだったそうです。
それ以来、平成15年に本格的に導入され、効果を挙げています。更にアナフィラキシーショックを起こすのはハチ毒だけでなく、食物アレルギーや薬物アレルギーなどでも起こり得ることから、平成17年にこれらに対しても処方できるようになりました。
また、エピペンは0.3mgと0.15mgの2規格がありますが、体重が30kg以上の子どもから大人は0.3mgが、15kg以上30kg未満の小児は0.15mgが適応となっています。同じ年から0.15mgのタイプも使えるようになり、小児の食物アレルギーにも適応が拡大されているのです。
それからもう7年が経っています。私にしてみれば、適応になった頃から興味を持ち、患者さんにいつでも処方できるようにと準備してきました。それ以来、当院だけで数十人に処方しています。1本も処方したことのない医師も多く、その権利すら持っていない小児科医も多いでしょうし、この差は小さくないのかなと思っています。
そういう意味でも、私自身がエピペンの認識を広める立場にあるのだろうと思っています。ちなみにゴールデンウィーク中の5月2日にも中越地方にエピペンの講習に出掛ける予定になっています。


