当院で診ていたぜんそくのお子さんが、この春に関東の学校に進学することになりました。
ぜんそくの治療は、まだもう少し継続の必要があると考えていました。関東の某市の学校の付属の寮に住むそうなのですが、その市には私の知り合いの先生がいます。しかも小児ぜんそくのガイドラインの作成メンバーの先生ですので、日本の第一人者でもあります。
私よりも知識も経験もお持ちで、安心して治療をお任せできます。気になるのは、同じ市内とは言え、電車で定期的に通うことになるのですが、寮からは離れているという点です。
昨日も書きましたが、私が初めて診て「ぜんそくが隠れているな」と分かるくらいでも、かかりつけ医として何度も診ているにもかかわらず、それに気付かない医師もいます。ただ「小児科医」ということで寮の近くの小児科医に紹介しては、ぜんそくのことをよく分かっていない医師であれば、引き続きキチンと治療してもらえないことになります。
実際、県外から上越市に引っ越してきた患者さんが、名が通っているという理由で某小児科さんに通い始めたそうです。その先生は、この場でよく言っている「ガイドライン」とはかけ離れた独特の診療をする傾向があるため、県外のアレルギー専門医がこれまで吸入ステロイドを使ってキチンと治療してくださっていたのですが、「これは必要ないから中止して」と肝腎要の薬を中止してしまっています。
結局、症状が悪化し、ゼーゼーを繰り返してしまい、「この医師の言っていることはどうなんだろう?」と親御さんが疑問を感じて当院を受診されるケースが何度かありました。あいにく、ぜんそくをまともに診れない医師も存在すると言うことです。これまで手塩にかけて治療してきた患者さんを、守るためにも変な医師には紹介したくない、と考えました。
そういう理由で、多少離れていても安心して任せられる先生に紹介しなければならないと思ったのです。ただ、まだ10代前半ですし、親元を離れて慣れない都会での生活を始めるので、その中で定期的に通院できるかを、私の紹介した専門医の先生も気にかけてくださっています。
紹介状の返事には、寮生活の中で定期的に通院が難しいようであれば、寮近くの専門医にお願いすることも検討する。いずれにしても責任を持って対応したいと書かれていました。
ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーは慢性疾患ですし、すぐには改善が見込めません。中学生、高校生になっても、まだ治療が必要なこともあるかもしれません。私も心掛けていることですが、患者さんが地元にいる限りは、私が治療させて頂くつもりで対応しています。それぐらいの覚悟がなければ、アレルギーを診る資格はないとも言えましょう。「責任」を持ち続けることが大切ということです。
今回の関東の某市には、今回お願いした先生の他にもアレルギー専門医はいると思います。私はそこまでは詳しくないですし、寮の近辺にどんな先生がいるのかも把握していません。場合によっては、その辺りを熟知した先生にお願いし、より通いやすい、しかも安心してお任せできる先生に紹介し直して頂くことも、選択肢としてはあるということです。
いずれにしても「責任を持って対応させて頂きたい」という言葉に「この先生に紹介した良かった」と思いましたし、患者さん自身も安心したと思うのです。
先日、県内の某市から転居されたぜんそくの患者さんが、当院を初めて受診されてました。親御さんは元主治医から“紹介状”と称する一枚の紙を渡されたそうです。
見てみると、ぜんそく発作で入院した際のサマリーでした。つまり、何月何日からぜんそく発作が見られ、何日に入院し、どういう治療で改善したかを記載したものでした。残念ながら、ぜんそくの紹介状とは、何歳に発症して、過去に入院歴が何回あるとか、これまでどういう治療をして、症状が落ち着いているかどうか等を書くべきもので、1回の入院のサマリーだけでは、治療の流れも分からず、残念ながら紹介状にはなり得ません。
慢性疾患の場合は、先に述べたようにこれまで責任を持って治療してきた医師が、「引き続き責任を持って治療をお願いしたい」と次の医師にバトンタッチするためのものです。逆に紹介状を見れば、医師の患者さんへの思い入れや責任が感じられます。
当院に来られる患者さんは、紹介状を持たない患者さんが多いのですが、紹介されるべきレベルなのに、医師の判断でなく、患者さんが前医の診療に絶望して受診されるためです。敢えて言えば、前医の「責任」を感じにくいのです。持って来られる場合は、県外の病院から持ってこられるケースが多く、アレルギーの専門医など良心的な医師に限られます。
もっと「責任」を持ってかかわってくれる医師が増えなければいけないと思っています。


