最近、登園許可書を書くことがあります。
病名のところには溶連菌感染症と書くこともありますが、「ロタウィルス胃腸炎」と書くこともあります。
ここ最近は、地元では胃腸炎が流行っていて、繰り返す嘔吐や下痢のお子さんが受診されています。当院は、アレルギーだけでなく感染症でも正しく診断しようと心掛けているつもりです。
便が白っぽかったり、症状が強めの場合は、便を検査するとロタウィルスが検出されることがあります。日頃診療していると、嘔吐や下痢といった胃腸症状があれば、胃腸炎と判断されますが、多くは症状が軽いのです。症状の強くない患者さんからはロタウィルスは検出されませんが、「これは」と思い調べると、それなりの頻度でロタウィルス胃腸炎と診断されます。
園の感染症のガイドラインを見ると、保育所で問題となる主な感染症のところには、麻疹、インフルエンザ、病原性大腸菌、ノロウィルスが挙げられています。ロタウィルスは触れられていません。好発年齢が2歳未満だからなのでしょうか?。
少し前にも触れましたが、多くの小児科医が勤務医時代にロタウィルスの尋常でない感染力の強さは経験済みだと思います。ロタウィルスの検出されないような軽い胃腸炎は、あっという間に治ってしまいますし、ロタは結構長引きます。市内のある園ではロタウィルスが蔓延してしまい、登園自粛になったところもあると聞いています。
市内の感染症情報を見ても、胃腸炎が流行っているとしか触れてないものもあり、今は親御さんや園関係者も多くがロタウィルスはご存知なので、ロタウィルスが原因かどうかを明らかにするのが小児科医の役目だと思っています。私の指摘で「ロタウィルスが多いようです」なんて書かれたこともありましたが、時々書かれてもって思っています。
私は、手間がかかろうが患者さんには正しい真実を伝えるべきだと思っています。ロタのような有名はウィルスが便から検出されれば、先ほど言った園のように蔓延させないように、より配慮できると思うのです。確かに診察して、検査をして、また診察室に入ってもらって説明すれば時間も取られます。ただ、患者さんに適切な指導を行なうために時間を割かないのは、レベルの低い医療と言えます。これもモラルの低下だと思っています。
4年半前に当院がこの地に開院しましたが、多くの園関係者がRSウィルスを知らない状況でした。RSウィルスは乳幼児がかかりやすく、かかると高熱が続き、ぜんそくでもないのにゼーゼーして呼吸困難を起こすことがあります。ぜんそくをお持ちのお子さんがかかると、入院することもあります。
RSウィルスは外来で調べると、検査費用が患者さんから請求できないため、調べらない傾向にあります。それが地元にRSウィルスの知識が欠如していた主な要因だと考えていますが、私はお金の問題じゃないし、危険なウィルスを知るべきと思い、患者さんや園関係者に知ってもらう努力もしてきました。それが「患者教育」というものだと思うからです。
今回のロタウィルスに関しても、調べない医師もいますが、脱水を招き、入院するリスクも高く、感染力も極めて強いウィルスを検査し、患者さんに正しい情報を提供するのが地元の小児科医の責務であると思っています。
当院は、地元の方からはアレルギーの病院という捉え方をされていたようですが、毎年のように感染症について講演して欲しいという希望も頂いております。
いつもはアレルギーの病気について正しく診断されず、適切に治療もされず困り果てて当院を受診される患者さんが多いと書いていますが、感染症についても医師のモラルが問われていると思っています。
そもそも園から感染症の講演依頼があるのは、複数の医師が様々なことを言うので現場が困り果てているというのが理由です。ロタウィルスやRSウィルスを調べない医師がいるが故に知識も広まらないのであれば、キチンとやっている医師がどれだけ良心的に医療に取り組んでいるか知って頂くチャンスと言えます。医療には「質」に差があるのです。
地元の感染症のレベルアップのために一肌脱ぐつもりですが、聞いて下さる方には“違いの分かる人”になって欲しいと思っています。


