小児科 すこやかアレルギークリニック

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「打って搬送」
2012年06月07日 更新

昨日、市内のある小学校にエピペンの話をしに行ってきました。

この4月からもう10回目になります。そのほとんどが自ら学校に出向いて話に行っています。10回目となると、我ながら、少しは頑張っているのかなと思います。

「需要と供給」という言葉があります。私自身はアレルギーでなくても一生懸命診療していますので、水曜や土曜の半日でも疲れるし、1日働くと夕方にはもう疲労困憊となります。体を休める時間が欲しいくらいですが、それを削ってでも私が頑張れるのは、「需要」があるからです。

昨日は、前半に食物アレルギーの最新の考え方を話し、後半にアナフィラキシー時の対応を話しました。最後にエピペンの練習用のトレーナーを皆さんに手に取って頂き、打つ練習もしました。

講習に先立ち、一緒に参加されたお母さんから衝撃の事実を教えられていました。実は、つい先日も自宅でアナフィラキシーを起こしたのだそうです。今度外来で詳しい話を聞くことになっていますが、アナフィラキシーはアナフィラキシーでした。

これで2回目になりますが、1回目の時は、親御さんも何が起きたかよく分からず、正直慌てたはずです。慌てないはずがありません。以前、こういう時用にステロイドの内服薬とエピペンを処方していました。お母さんは冷静に、まず緊急時のステロイドを内服させ、それ以上の悪化があればエピペンを使う覚悟だったそうです。

ステロイドを飲ませ、病院に急ぎ、医師の診察を受け、対処して頂いたようです。ステロイドの内服により、症状は徐々に軽快したそうです。そういう意味では、冷静に適確に判断されたのだろうと思います。その時のエピソードを聞くと、やや呼吸困難も伴っていたようで、エピペンを使っても良かったとは思います。

その小学校では、養護の先生が理解があり、既にエピペンの使い方は学校職員に周知徹底をしてあったそうです。頭が下がります。

大切なのは、エピペンの打つタイミングです。最重症な状態に陥るよりは早く打って欲しいし、打たなくてもいい状況で打つのもどうかなと思います。使わないで何かあったら、学校側が槍玉にあげられるような時代になってきています。どうしても使わなければならない状況では、それを見極めて是非使って頂きたいのです。

話の中で、私の推奨するエピペン投与のタイミングを解説しています。それを受けて、養護の先生は「先日のエピソードがもし学校であったら、私ならエピペンを打ち、救急搬送をお願いしていたでしょう」とおっしゃいました。あまりこういう話はこれまで聞かなかったので、ちょっと驚きました。いかに積極的に取り組んでおられるかが見て取れます。

多くの学校職員が、やはり慣れないことはしたくないというのが正直なところでしょう。しかもエピペンを使うと言うことは、やはり特別なことだと思います。中にはキチンと勉強されて、子どもの命を守るために頑張っている先生もいるのだと思いました。

こういうイベントは、冒頭に4月から10件目だと言いましたが、中には話に行くとこちらから打診しても、返事のない学校もあります。それは例外で、多くの学校が医師が出向いて話をしてくれるなんて考えていないようで、ほとんどが話に乗ってきて下さいます。私自身も、自分の患者さんを守るためには、患者さんが学校にいれば、本当にいざという時は学校の先生方しか助けられる人はいないので、学校に話しに行くことくらいは当たり前のことと捉えています。こちらがお願いすること考えているからです。

私の話で、「いざという時は何とかやれそうだ」という感想をよく聞きます。養護の先生をはじめ、学校職員の方々が真面目に取り組んで下さり、私自身も「これならお願いできるな」と感じることができます。やる気がとても伝わってくるし、一体感を味わうこともできます。充実した時間を送れることができるのです。

ひるがえって、地元で子ども達にエピペンを処方しているのは当院くらいでしょうし、食物アレルギーはアレルギー検査の数値で食べられる・食べられないの判断をしている医師がいかに多いことか。「食物負荷試験」の存在を知っていて、それをおくびにも出さず、患者さんに「2歳まで食べてないけない」なんて根拠のないことを平気で言う小児科医さえおり、学校側の一生懸命な理解を感じる一方で、やる気の感じられない医師の態度は対照的ですらあります。

敢えて言えば、理解のない医師には頼れない、任せられないという風潮を広げていかなければならないのだろうと思っています。