大阪の学会から戻りました。
16日の学会開始から17日の終了まで、フルに参加してきました。16日は休診にしてしまい、かかりつけの患者さんにはご迷惑をお掛けしました。
学会に参加すると、いつも感じることがあります。自分には知らないことが一杯あるんだなということです。
そりゃ、専門医として必要最低限の知識は持っているつもりです。学会では最新情報であったり、新たな試みだったりを聞くことができる訳ですが、否が応でも知らないことが多いと気付かされます。
最先端過ぎて難解な話もありますが、「こういう患者さんを診た時は、こういうことに注意しないとダメなんだ」というようなすぐに診療に役立つような話も聞くことができます。どの病院が今どういう研究に力を入れているかも分かります。
また、浜松の川田先生だったり、同じ専門分野を持ち頑張っている先生と話もでき、多くの刺激をもらうこともできるのです。私にとって、学会に参加する時間は、ちょっと大袈裟かもしれませんが、夢のような時間を送ることができます。
ただ、また月曜から“夢”から現実に引き戻されます。また「孤独な戦い」が始まります。
毎日のようにぜんそくなのにぜんそくと診断されていない、アトピー性皮膚炎なのにアトピーと診断されていないような患者さんが当院を受診されています。こういう患者さんに会うたびに、「医療って宗教だな」と思わされます。患者さんはドクターを一方的に信用して通院しているような状況によく出会います。医師が患者さんの期待に応えようとしていないとしか思えないような対応をしているのです。
学会の話を聞いていると、例えば咳が長引いていると専門医に紹介するという話がよく出てきます。自分の知識を越えていれば、専門家に紹介するには当たり前です。ところが、地元ではほとんどありません。患者さんの方が、前医に見切りをつけて当院を受診されるのです。
自分で治療できていると思っているのか、分かっていて引っ張っているのか、そこまでは分かりません。いずれにしても、多くは専門医が診れば、パッと分かり、すぐに症状を改善させられるようなレベルの病態です。紹介状を書いて頂ければ、答を書いてお返しするので、医師も同じミスはしなくなると思うのですが…。
そういう意味でも、医師同士がお互いの専門分野を尊重し、困ったらお互い様の精神で紹介するという私にとっては“夢”のような体制が、やはり夢でしかない現実に引き戻されてしまうのです。
私自身、専門医としてもっと努力しなければならないと、学会参加後にいつも思い知らされます。自分の無力さを知る訳ですが、一方で、患者さんが専門医と非専門医の知識の差があまりにも大きいこと、何度通っても良くならなければ、それは病気が重いのではなく、診断や治療が適切でない可能性があることなどなど、医療にまつわる様々な問題点を知って頂く努力をしなければならないと思っています。
医療は、少なくとも2件回って初めて、比較することができます。当院に来られる患者さんは「こんなに説明してもらったのは初めてだ」とか「軟膏の塗り方を初めて教わった」、「ようやく病気の状態を納得できた」などと言われます。中には「これまでの時間とお金を使った“医療”は何だったんだろう?」と言う親御さんもいらっしゃいます。
名の通った医院さんなど何となくかかり始め、その後もずっと通っている、とおっしゃる患者さんも多いのですが、是非とも複数の医療機関を受診されることをお薦めします。もしかしたら、自分のお子さんを守るためには、必要なプロセスかと思います。
自分も新しいことを学びつつ、患者さんに医療の現実を知ってもらう努力を、気持ちも新たに今日からやっていこうと思っています。


