小児科 すこやかアレルギークリニック

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(食物依存性運動誘発)アナフィラキシー
2012年07月06日 更新

先日、一日に二人、アナフィラキシーの患者さんが受診されました。

1人は、給食を食べている最中に、蕁麻疹、呼吸苦があった患者さんです。その日の給食はカレーだったそうです。

カレーでアナフィラキシーを起こした場合、ピーナッツアレルギーを考えます。何故なら隠し味としてピーナッツが使われていることがあるからです。ただ、そのお子さんは普段からピーナッツは食べていたそうです。

シーフードカレーなら、やはりアレルギーを起こしやすい甲殻類などが使われているでしょうが、普通のカレーでした。他の食材も普段食べているようなものでした。

症状が出たあと、慌てて皮膚科を受診されたようですが、しきりに運動したか?というようなことを聞かれたそうです。多分、茶のしずく石けんで有名になった「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を想定しての質問だったと思いますが、それは無理があります。

何故なら、午前中に運動したようですが、それから給食が始まり、食べている最中にアレルギー症状が出たからです。先の食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、原因食品を食べて、多くが1時間以内に運動してアナフィラキシー症状を起こすのです。ですから、この場合は、それは考えず、普通の食物アレルギーを考えるべきでしょう。

以前、給食後の昼休みに蕁麻疹が出て、ぜんそくがないのにゼーゼー言ったお子さんを診たことがあり、原因はカシューナッツでした。今回はカシューナッツも食べておらず、給食のメニューを見てもそれらしいものはないようです。甲殻類など好き嫌いなのか普段から口にしないものもあり、アレルギー症状を誘発しやすいアレルゲンをピックアップし血液検査をさせて頂くことにしました。

私の力不足のせいで、原因が特定できないこともあります。ただ、食べてアナフィラキシーを起こすとなると、原因を特定しなければ不安を抱えて生活していくことになります。何とか確定できるいいのですが…。

もう一人は、大人の方で下越地方から受診して下さいました。シーフードカレーとナン(ご存知でしょうが、小麦で作るパンのような平べったいもの)を食べて、マラソンをして皮膚の痒みと呼吸苦がみられたそうです。今回は、食べて、それから運動をしているので、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を考えるべきでしょう。

一般的に原因食品は小麦が最多で、甲殻類が次ぎます。これまでの報告では、それだけで大半を占めるくらいです。シーフードカレーですから、エビも貝類も入っています。被疑食品は複数あり、小麦とは決めつけられません。

アレルギー検査を調べることになりますが、検査が陰性のこともあり、皮膚テストを行なうこともあります。最終的には、食べて、運動するという負荷試験をして確定することになりますが、アナフィラキシーショックに至ることもあり、注意が必要ですし、その場合は専門病院に入院の上という形になると思います。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、一度目は急に発症するため、避けられないと言われています。ガイドラインには二度目をいかに避けるかと書かれていますが、繰り返して初めて、その病気が疑われることもあります。

当院でも何人か診ており、エピペンを処方している患者さんもおり、二人のうち一人が1回、もう1人が2回使用しています。ちなみに二人とも入院せずに済んでいます。

ネットで見ていたら、茶のしずく石けんを使っていた患者さんが小麦アレルギーの症状が出たため、皮膚科医に相談したところ「絶対に違う」と言われ、不信感を持ちヤフー知恵袋で相談されていました。

その皮膚科医の言い分は、現在は茶のしずく石けんを使っていないから、なのだそうです。とんだ勘違いで、しかも“絶対”に違うと言い切るのは問題です。石けんの使用により、小麦に弱い体質に変わってしまったため、石けんを中止したところで小麦アレルギーは軽快しません。病気のことをよく知らないのなら、安易に“絶対”なんて言うことは慎むべきでしょう。こういう医師ほど専門医に紹介しないのでしょう。ちなみに、ヤフー知恵袋では「医者を代えた方がいい」とアドバイスされていました。私も賛成です。

この患者さんは、運動が大好きで、その分「食べるのが楽しみ」とおっしゃっていました。好きなことを奪わないためにも、何とか原因を特定できればと思っています。

日頃、食物アレルギーの診療に力を入れていますが、「食物負荷試験」は主に低年齢の子に実施しています。今回のお二人は小学生と成人です。乳幼児の5~10%に比べれば頻度は減りますが、人間の楽しみである食事に直結しており、QOL(生活の質)に大きな影響を及ぼします。

引き続き、力を注いでいこうと思っています。