昨日も、市役所の方が来られて食物アレルギーの勉強会を企画されていると言うことで、協力要請がありましたので、喜んで協力させて頂くことにしました。
9月中旬に開催される小児アレルギー学会で、当院の負荷試験の成果についての講演の準備をやるヒマがあるのかと心配になるくらいです(汗)。
さて、ハッキリ言って、地元の医療は“宗教化”しています。
いつも言うように、医師がガイドラインに沿って診断や治療をしていれば、どの医療機関に行っても同じ診療がなされるはずです。しかし、現状は医師によって診断すらマチマチです。根拠のある医療をやっている医師と、やっていない医師がいることを表しており、親としては子どものために最大限の努力をしているつもりでも、場合によっては根拠のないお粗末な医療が行なわれており、患者さんからすれば、そんなこととはつゆ知らず、まさに「知らぬが仏」なんて感じです。
多くの患者さんが、病気になった時に受診する「かかりつけ医」を持っているでしょうが、通院しても症状の改善が思わしくなければ、「どうぞ医者を代えて下さい」と言いたいと思います。
多くの方が改善がなくても、「治りにくい病気なんだ」と思っているでしょうが、あまり「治療が悪い」とは思わないはずです。とくにアレルギーに関しては、多くは「治療が悪い」のだと感じています。ルール通りのガイドラインに沿った対応をされていないのです。2カ所以上の医療機関に行って初めて、“比べる”ということが可能となります。そこで初めて、これまでおかしな医療を受けていたことに気付かされることもあります。「信じていたのに、裏切られた」と感じることもあるでしょう。
食物アレルギーは専門医が極めて少ないため、多くの患者さんが根拠のない説明、指導を受けています。しなくてもいい除去を強要されていたりします。私がどれだけ地元で「食物負荷試験」に力を入れ、時間をかけて、アナフィラキシーのリスクを背負って食べさせる努力をしていても、平気で「数値が高いから食べてはいけない」のひと言で片付けている医師もいます。医師の良心なんて、こんなものなのかと思わざるを得ないのです。
講演の機会が多ければ、そういうことを知らしめるチャンスを与えられたということを指します。地元の医療レベルをアップさせるためには、講演の機会を増やすしかありません。そういう意味では、当院に追い風が吹いているのかなと思っています。
アレルギーだけならまだしも、感染症も小児科の教科書に載っていないようなことをやっている医師もいて、困っています。そもそも、先月末に市内の園で感染症の講演を依頼された理由も、診断や登園基準が主治医によって異なるため、現場である園が混乱しているがためでした。園では「お医者さんによって、いろいろな考えがありますから」とフォローしていたそうですが、「そんなんじゃ困るんです」と言いたいし、地元のレベルの低さを嘆きたくなります。
先日、その園からお礼の手紙を頂きました。「プロ」の仕事をしていると感じたと書かれていました。決して私が特別なことをしている訳ではなく、アレルギーでやっているように、感染症に関しても根拠のある医療を心掛けているだけです。
まず診断をつけ、ウィルス感染症ならインフルエンザと水痘以外は特効薬がありませんから、熱が続いても抗生剤は出さないという話もしました。県内の真面目な小児科医は、そうやっているはずです。ということは、残念ながら「アマチュア」の医師もいるということになります。「治療が先」という小児科医もいるようですが、診断が適切でなければ治療も間違います。余計な薬を使えば、経営は潤うことになります。
当日の講演で話したことは、「根拠のある診断をしてもらおう」、「根拠のある治療を受けましょう」ということでした。
人間の体はうまくできていて、体に菌やウィルスが入ると熱を出すことで、菌やウィルスを追い出そうとします。胃腸炎の時に嘔吐や下痢がみられますが、体の中で増殖するウィルスを追い払おうとする働きを持つので、無理矢理止めることは理にかなっていないのです。ぜんそくの時の痰がらみの咳も、体の外に排出するのが目的ですから、無理矢理止めてはいけないのです。
従来言われていた、38.5度になったら解熱剤の「アンヒバ」座薬を使うと指導している医院さんもあるようですが、これも居心地がよくなり、菌やウィルスが喜ぶ結果になり兼ねません。胃腸炎で下痢がひどい時に「ロペミン」という薬を出す医師もいますが、体にウィルスがとどまってしまう可能性もありますし、腹痛の原因になるので使わないことになっているはずです。
具体的な薬剤名を挙げて話したのですが、先日頂いた手紙の中に親御さんからの感想が書いてあり、「家に帰って、急いでお薬手帳を見た」というものもあったそうです。「医療について考えさせられた」という意見も多かったようで、プロジェクターの調子が悪く、途中で話が中断したというアクシデントもありましたが、私の当初の目的は少しは達成されたのかなと思っています。
これまでの地域医療は、閉ざされたものだったように思います。いろんな医師がいろんな医療をしても許された感があります。その結果、無駄な医療費が支払われてきた部分もあるでしょうし、根拠のある医療を広め、おかしな医療を“淘汰”させなければなりません。世代交代とともに、当院の取り組むべき課題として頑張っていこうと思っています。


