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医師志望
2012年08月04日 更新

この1週間は、少し前にも書きましたが、地元の中学生が職場体験として当院に見学にきていました。

当院には二人きていて、診察室と事務室に交互に入り、私も含め、看護スタッフ、事務スタッフの仕事ぶりを見学していました。

私の方も、ただ見ているだけでは面白くないだろうと思い、何かしなければと思いました。忙しい診療の中で、将来のある学生さんに何ができるのか?と考えました。地元では、手足口病が流行っています。あまり感染症もかからなくなった中学生は、手足口病なんて言葉も聞いたことがあるかどうかといったところでしょう。

ご存知でしょうが、読んで字の如く、手と足と口に小さな水ぶくれができる病気です。見せるのは簡単なので、患者さんに協力して頂き、一緒に水ぶくれが手と足、口にあるかどうか確認してもらうことにしました。

ただ、外来が混雑すると、ゆっくりそんなこともしていられません。また申し訳ないと思いつつも、学生さんに声をかけてあげる余裕もなくなります。その代わりと言っては何ですが、親御さんに病状について説明していますので、それは聞くことができると思っています。

更に、「食物負荷試験」も見学して頂きました。食物アレルギーで患者さんが困っていることを知らなければ、「何で医院で卵焼きを食べているんだろう?」と思うことでしょう。これについてはスタッフから説明がありました。

残念ながら、新潟県内では多くの小児科医がこの検査をやっておらず、長岡など他の市から、この検査のために受診があるという現状も話しました。中学生ならば、病気になったら近くの医療機関を受診するものと思っているでしょうから、当院が専門性を活かして、困っている患者さんのために真面目に診療に取り組んでいる様子が伝わればいいなと思っていました。

今週は、運動負荷試験もありました。シーフードカレーとナンを食べて、ジョギングをしたところ、アナフィラキシー症状を呈した患者さんの原因検索をする必要がありました。食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病気を考えているのですが、確かにアナフィラキシーを起こしやすいため、運動負荷試験を慎重に行なうべきとされます。ただ、専門でない医師の手にかかれば、過剰な除去やおかしな指導をされる可能性が高く、それでは美味しいものを食べたり、マラソンが趣味である患者さんのこれからの生活は、場合によっては苦痛を伴うものになってしまいます。

であれば、私が一肌脱ごうと思いました。前回は小麦を食べて、走っても何も起きませんでした。食物依存性運動誘発アナフィラキシーは原因食品が、小麦が60%、甲殻類が28%くらいだったと思いますが、エビの可能性も捨てきれず、エビを食べて走ったらどうなるかを確認する必要がありました。

トレッドミルという、言わばベルトコンベアーの上で走る装置を使い、心拍数を上げて、運動負荷をかけます。この検査の目的も、スタッフから既に説明がありました。この間は診療を中止して、検査を実施しますが、この様子も学生さんに見学して頂きました。普通、開業医でやる検査ではないし、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの運動負荷検査も、総合病院であってもほとんどやられていない検査でしょう。

この患者さんの将来を考えると、ここまでやらざるを得ませんでした。医師が患者さんの将来を思い、普段やらないような検査を敢えて行なっているところも、中学生にはやや難しかったかもしれませんが、その想いというか、気持ちが伝わればいいなと思っていました。

実習最終日の金曜は、珍しく外来が混雑していませんでした。専門外来に来られた咳の長引いている患者さんにいろいろ説明したあと、学生さんに今の患者さんが新潟市から受診していたことを伝えました。

地元の小児科に通院しても改善がなく、当院に期待して受診されたこと、それを理解し、納得いくまで時間をかけて説明したこと、見通しとしては次回までは症状が改善しているであろうことを学生さんに話しました。

最終日になって、見学にきている学生さんのうちの一人が医師志望という話を聞きました。

この期間中は、高熱を出し、受診される患者さんが多かったでした。お母さんの気持ちとしては、熱が出て、翌日になっても下がらないと不安になると思っています。そういうケースでは採血をさせて頂くようにしています。採血結果が「いかにも夏風邪」というものであれば、抗生剤は効かず、待つしかないのです。

解熱剤を使っても、また上がってくることもあり、いつ下がるかは誰にも分かりません。採血は子どもは痛いので、嫌な検査ではありますが、親御さんにしてみれば「下がるのを待つしかない」と分かるのと、そうでないのでは大きな差があります。方向性が分からなくては、意外と元気そうに見えていても、「重症な病気ではないのか?」、「後遺症が残るのではないか?」と不安は尽きません。

発熱の患者さんが多く、採血が立て込んだ日もありましたが、私がそういう意図で検査をし、なるべく親御さんの不安を取り去るように努力しているという考えを、学生さんにお話ししました。

中学生には、母親がどれだけ子どものことを心配しているかを推し量ることは難しいでしょう。ですから、私のやっていることは十分に理解することは難しかっただろうと思っています。ただ、アレルギーであれ、その他の病気であれ、ブレることなく親御さんの心配を極力減らすよう努力していることが伝わってくれれば有り難いし、彼女の将来に少しは参考になってくれるのではと思っています。